駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

本当に有難いこと

2020年10月22日 | 診療

        

 

 高血圧症や高コレステロールの治療は血管が詰まったり破れたりして重大な病気が起きる(時には命を落とす)のを防ぐために行っている。そして統計的には間違いなく有効な治療法で多くの人が脳梗塞や心筋梗塞になるのを防いでいる。しかし多くはないけれども中には運悪く治療をしていても脳梗塞や心筋梗塞になってしまわれる患者さんがおられる。有難いことにそうした患者さんの多くは多少の後遺症が残っても医院に戻ってこられる。何も恨みがましいことは言われない。折角通院していただいたのに申し訳ないという気持ちがあるのを見越しておられるのか、ここまで元気になりましたなどとにっこりされる。勿論、中には音沙汰なく戻ってこられない患者さんもいらっしゃるが、なんとなく気まずい気持ちあるいは力不足の医者と思われるのは当然というかやむを得ないと思うので諒としている。

 最悪の場合亡くなられる患者さんもおられる。そうした患者さんのご家族の中には長く父あるいは母がお世話になりましたと葬儀が終わった後、菓子折りを持って丁寧にお礼に来られる方もおられる。お悔やみの言葉もうまく言えずただ頭を下げるばかりだが、本当に有難いと思う。

 ご夫婦で通っておられ一方(多くはご主人)が先に亡くなられて残されたご主人や奥様が引き続き通って来られる症例も多い。連れ合いを診てくれていた医者そして家族ではないが連れ合いをよく知っている人物と思っておられるのが感じられることがあり、市井の医者の冥利を感じる。

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