『夢幻紳士 迷宮篇』 高橋葉介/早川書房
本日(あ、もう昨日か)のドラマ『星ひとつの夜』を
つい先に見てしまい、読むのを後回しにしてしまいました。
(ドラマ、素敵でしたよー。なんか玉木宏さんって色気ありすぎ)
古くは万葉の時代、
名前を問いそれに答える、ということは
求婚とそれに応じると言う意味を持っていたそうです。
そうでなくても、「名前を知られる」ことによって魔力を封じられる
という民話は、「大工の鬼六」や「ルンペルシュティルツヒェン」など
洋の東西を問わず存在しているんですよね。
だから、名乗りを上げるということは、すごく意味が重いのです。
ということを踏まえての本編。
早川書房版『夢幻紳士』三部作の完結編でもあります。
いやもう、1年間我慢して読まずにいた甲斐がありました!
この『迷宮篇』、一気読み推奨の作品だと思います。
いまのご時世で発売して大丈夫だったのか、というくらい、
人は死ぬし、血は流れるし、身体は引き裂かれるのですが、
何なんでしょう、この幸福感(誤解を招く表現ですな)。
大丈夫です、スプラッタなのは悪夢の中ですから。
(でも、実際に死んでいる人も数人いますね?)
何と言いますか、手の目も姫さまも好きだけれど、
やっぱり私は『幻想篇』の<僕>が好きなんだわ! と思いました。
魔実也さんにとっても<僕>は何だか特別のような気がするのです。
魔実也さんの中には<僕>の守護天使であるところの<彼>が
確かに生き続けており、そして<彼>とともに<僕>を愛しているように
思えてしまいました。そのせいか、今回の魔実也さんは、
<人の悪い黒い天使>という印象です。
(黒い小悪魔だの死に神だのとも呼ばれていましたけど)
『夢幻紳士』シリーズ初の長編は、ムンクの作品の引用が多く、
特に「思春期」は少女を少年に置き換えていてにやりとさせられます。
そういえば、この子のお母様は結局どうなったんだ? なんてのは
野暮な詮索ですね。それを言ったら手の目はどうしたのよ、だし。
最愛のカットは、銀座の街角にすらりと立つ魔実也さん!
最も笑ったのは、またしても「あとがき」の
「沼で釣りをしていたが、何だかとりこみ中だった」のくだり。
『怪奇篇』の「おまけ」を読んでいなかったら意味わかりません(笑)
それと、2話までの「ぐにゃっ」っていうのが結構好きでした。
帯にずらりと並んだ『幻想篇』『逢魔篇』『冒険活劇篇』『怪奇篇』が圧巻。
気まぐれで労働が嫌いで女たらしのあの人は、
いつかまた帰ってきてくれるのでしょうか。
…たぶん、10年後くらいにまた会えそうな気がするんですよ。
だって私たちは、彼の名前を知っているのですもの。なんてな。
本日(あ、もう昨日か)のドラマ『星ひとつの夜』を
つい先に見てしまい、読むのを後回しにしてしまいました。
(ドラマ、素敵でしたよー。なんか玉木宏さんって色気ありすぎ)
古くは万葉の時代、
名前を問いそれに答える、ということは
求婚とそれに応じると言う意味を持っていたそうです。
そうでなくても、「名前を知られる」ことによって魔力を封じられる
という民話は、「大工の鬼六」や「ルンペルシュティルツヒェン」など
洋の東西を問わず存在しているんですよね。
だから、名乗りを上げるということは、すごく意味が重いのです。
ということを踏まえての本編。
早川書房版『夢幻紳士』三部作の完結編でもあります。
いやもう、1年間我慢して読まずにいた甲斐がありました!
この『迷宮篇』、一気読み推奨の作品だと思います。
いまのご時世で発売して大丈夫だったのか、というくらい、
人は死ぬし、血は流れるし、身体は引き裂かれるのですが、
何なんでしょう、この幸福感(誤解を招く表現ですな)。
大丈夫です、スプラッタなのは悪夢の中ですから。
(でも、実際に死んでいる人も数人いますね?)
何と言いますか、手の目も姫さまも好きだけれど、
やっぱり私は『幻想篇』の<僕>が好きなんだわ! と思いました。
魔実也さんにとっても<僕>は何だか特別のような気がするのです。
魔実也さんの中には<僕>の守護天使であるところの<彼>が
確かに生き続けており、そして<彼>とともに<僕>を愛しているように
思えてしまいました。そのせいか、今回の魔実也さんは、
<人の悪い黒い天使>という印象です。
(黒い小悪魔だの死に神だのとも呼ばれていましたけど)
『夢幻紳士』シリーズ初の長編は、ムンクの作品の引用が多く、
特に「思春期」は少女を少年に置き換えていてにやりとさせられます。
そういえば、この子のお母様は結局どうなったんだ? なんてのは
野暮な詮索ですね。それを言ったら手の目はどうしたのよ、だし。
最愛のカットは、銀座の街角にすらりと立つ魔実也さん!
最も笑ったのは、またしても「あとがき」の
「沼で釣りをしていたが、何だかとりこみ中だった」のくだり。
『怪奇篇』の「おまけ」を読んでいなかったら意味わかりません(笑)
それと、2話までの「ぐにゃっ」っていうのが結構好きでした。
帯にずらりと並んだ『幻想篇』『逢魔篇』『冒険活劇篇』『怪奇篇』が圧巻。
気まぐれで労働が嫌いで女たらしのあの人は、
いつかまた帰ってきてくれるのでしょうか。
…たぶん、10年後くらいにまた会えそうな気がするんですよ。
だって私たちは、彼の名前を知っているのですもの。なんてな。