脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

嗚呼、注意分配力低下

2013年07月10日 | 前頭葉の働き

注意分配力は、注意集中力とともに、前頭葉機能の中核的な働きです。
そしてこの注意分配力や集中力は、生活のいろいろなシーンで主役級の働きをしているのですが、ふつうはあまり気づかれていません。

エキナセア
P1000014前頭葉機能のことは、脳の司令塔という言い方をすることもできます。
今の状況を理解して、何をどの順番になすべきかを決めるのが前頭葉の働きです。

今、自分がいるこの状況を理解するところがすべてのスタート。

赤ちゃんもおなかがすけば、空腹ということがわかって泣いてお乳を要求しますが、それはほとんど本能レベルの話。

大人が行動を起こすときにも、種々のレベルはあるわけです。
ボーと居眠りするときにいかほど前頭葉が関与しているかというと、残念ながらほとんど関与していない。
この暑さだし、寝不足だし、草取りしすぎて疲れたから、意識的にちょっと休もうというときには、前頭葉が状況を正しく理解して行動を決定したことになります。

紅アジサイ
P1000457おかれている状況の理解は、脳機能から言えばとっても高レベルの働きだということがわかったでしょ。

さて状況の理解ができ、行動の決断も行いました。
でも、決断してもやらないケースもありますよ。
スターターの役も前頭葉が担いますから、前頭葉機能低下群は、誰かから背中を押されなくては行動が始まりません。
小ボケにしても、前頭葉機能障害を持つ人にしても、前頭葉機能が万全でないと、「指示待ち人」になってしまうのです.

おかげさまで、スターターがしっかり働いてくれて、行動がスタートしました!

ところが、日常生活は、何か一つだけやるという状態はむしろ少ない。
鍋をかけて料理しながら、洗濯ものも取り込むし、玄関先の掃除だってします。
お風呂の水を入れながら、新聞を読むこともあるでしょう。

松本センノウ
P1000454どんな事件が勃発するか、もうわかりましたね。

鍋をすっかりこがしてしまった。
お風呂の水は大洪水・・・。
洗濯物を取り込まなかった。
そんな時に
「鍋をかけているのを忘れて・・・」
「お風呂に水を入れているのを忘れてしまって・・・」
「洗濯物を取り込むのを忘れて・・・」といいませんか?

これは物忘れ、記憶の問題ではありません。

野菜をゆでこぼして水を入れながら、冷ます間ちょっと別の用をする。(蛇口の閉め忘れ)
網戸にしてある窓を、夕食準備が済んでからガラス戸を閉めようと思う。(戸締り不備)
外出のついでに、所用を二つ三つ…と思う。(しない用事が必ず起きる)

しまったはずのものが見つからない(これはしまうときに注意を集中せず、ボーとしまった結果起きたこと)

こういうふうに、同時並行的に何かすると一つはつつがなくできるのに他のことがすっかり消えてなくなってしまう失敗は結構あると思いませんか?
みんな「忘れて」でかたずけられますが、それは違う!

メドウセージ
P1000020前頭葉の注意分配能力の低下によるものです。
一つのことだけに注意力が集中してしまって、他のことを行っていたり、行おうとしていたりシテいるにもかかわらず、そこに注意力を分配することができなかった結果、おきる過ちです。

日常何かしているときに、その行動とは別に前頭葉機能が司令塔のように目を光らせているというイメージが近いかもしれません。
その目が曇るんですね・・・歳とともに。
司令塔の構成メンバーの一部が、以前のように働けない状態と考えたらいいかもわかりません。

つまりある程度の年齢になると、生活の中でいろいろな事件が起きてくるのは、仕方ないことなのですよ。
いわゆる「歳のせい」です。
「前頭葉機能」ですから、「注意分配能力」が加齢とともに低下していくのは、これは受け入れざるを得ないことです。

ところで、「歳のせい」と笑い飛ばせるのはどの程度?と思われるでしょうね。
異常との差は「頻度」です。それとその失敗をどのようにリカバリーできるかどうかです。
それと生活していくときに「意欲」があるかどうかも、大切な指標です。


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