毎年恒例の東京在住者中心の高校同期会がありました。私の出身高校は北九州市。東京オリンピックも成功裏に終わり高度成長期の真っただ中、昭和41年に私たちは卒業しました。
さあどのくらいの割合で東京の大学に進学したのかはっきり知りませんが、結構たくさん上京したと思います。
会場は日比谷公園に面したプレスセンタービル(丸屋根)
会場に到着してびっくり。今年は九州から上京した参加者が数人。初めての出席者が数人。
文字通り、卒業以来初めて会う人もいたわけですが、何となくわかるのですね、顔が。
ただし記憶もいい加減なもので、言われて初めて
「えっ、中学も一緒だったの!」と驚いたり。
ひそかに、同級生かどうか確認してみたり。
でも間違いなく、小学校や中学校も同窓の人たちのなつかしさは特別のものでした。
国会通りに面してます。確かにこの先は国会議事堂
前身が旧制中学校だったので、私たちが在学した時は男子が多い高校でした。今回も参加者は男性優位。
同期会に出席する気になる人は、基本的には体も脳も元気に決まってます。
それは皆さんの想像通りでしょう。
そしてほとんどの方が、めでたく定年退職を迎えています。
というと、仕事一筋の猛烈サラリーマンが定年退職後、妻にべったり張り付いてその行動に干渉したり、同一行動をとりたがったりする「恐怖のワシ族」「ぬれ落ち葉」などと揶揄される層とぴったり一致することになります。
プレスセンタービルの定礎の頃、若手としてモーレツに働いていたはず。
例年と同じように近況報告。
短いスピーチの中で、繰り返されるフレーズが「ボケ予防」!
私はひそかに笑って耳を傾けます。
そしてもう一つのフレーズは「生きがい」!
私は、内心「いいぞ!いいぞ!」と拍手を送ります。
うれしいことにスピーチでは、濡れ落ち葉どころか軽やかに舞っているさまざまな葉っぱの様子が見てとれました。
今日はそのことを、団塊世代の具体的なかくしゃくヒントとしてお話ししておこうと思います。
外壁の白煉瓦に刻印されたプレスセンタービルのマーク「日輪」
私たちの世代は、日本企業が海外に進出していった時期にちょうど重なります。
よく話を聞いてみると、多くの男子(なんだかちょっと無理がある表現ですが、同期生ということでお許しください)が海外駐在の体験があることに驚かされます。
もちろん、国内で頑張った人も多いのですが。
最初にお話ししてくれたM山さん
「現役時代の体験を生かして、何か世の中のためになることはないかと思ってちょっと模索した結果、住んでいる町の国際交流協会の世話役をやってます。その流れの中で日本語指導をやることになったら、それにはまって、日本語の勉強をするのが楽しい。勉強が『生きがい』になるなんて学生時代には考えられない体験ですが。外国の人のためというより自分の『ボケ予防』ですね」と笑いながらの報告。
まったく同じように日本語講座の講師をしている人がほかにもいたのです!
そして同じように「自分のためになる」と強調しました。
同期生の書家幕田さんの個展(銀座画廊)開催中
次のI野さん。もちろん笑いながら
「日付がわからなくなるのは危険と高槻さんがいったから、僕はゴミ出しを担当してます。曜日で厳密に決まってるし、これはなかなかいいアイディアなのでみんなに勧めたい。
それと『居眠りしながら水戸黄門』だけはしないように夫婦でお互い気を付けあってます」
気ままにやるのでなく、責任もって家事を分担すれば奥様が喜ばれるでしょ。夫婦円満の作業でもありますね。
K村さん
「幹事に誘われて、九州から上京してきました。少々費用が掛かっても、幸い時間はあるのでこういうことをすることが『ボケ予防』になると思って。東京時代はすぐ近所で働き懐かしい。いやあ来てよかったです」
何しろ脳の健康のためには、意欲がいちばん大切なのです。面白そうと思えるものがあることと、それを行動に移せることは前頭葉の活性化に直結します。
壁面いっぱいの大作(横16m!)
近況報告が続きます。
「定年後、何かしなくてはボケると思って、家裁の調停員になり、人生勉強してます」
信託銀行時代の経験が役立ってると以前聞きました。現役時代の体験が生かされるのは幸運ですね。
「現役時代に働いた国に行って、旧交を温めるのが楽しみ。
それから今年マスターズに出るんです、100m走で。15~16秒くらいを目標に、練習してます」
すごい・・・
「ソーシャルダンスを始めてはまってます。これはスポーツだから、今は2級だけど1級を目指してるから週5日くらい練習してます」
男子はモテるでしょ(笑)
百人一首を富士山の形にレイアウト
「ゴルフ三昧。ゴルフは人間形成のスポーツであるところが面白いんですよ。春から完全リタイアなので、今からワクワクしてます」
あのね。完全リタイアしたらどうやって時間を過ごせばいいのか想像もつかないという人たちがいっぱいいますよ。
幹事さんは最後に
「僕は今が一番幸せだと思ってます」と一言。
今ご紹介した発言は、今までのかくしゃくヒントに比べて格別なことでないと思われるかもしれません。
それぞれの前半生が千差万別である以上、それぞれの人が感じられる「生きがい」がまた千差万別であるのは当然でしょう。
講演とパフォーマンスも
出席者が現在や将来に向けて、自分らしいまっすぐな生き方を語れることに感動しました。そして前半生を上手に生かしていることにも感動しました。
「今」このような目標を持って生活をしていく。
その一日一日を積み上げていくことができれば、その先に「かくしゃく」がある。
もしも、今の「生きがい」が続けられないときには・・・
簡単です。それに替わる「自分が納得できる生きがい」を見つけるだけです。
退職した時、それまでの仕事に替わるものを見つけて「今」を充実させたではないですか!
かくしゃく候補生、がんばりましょうね。