今日の見出しは1週間ほど前に、厚生労働省研究班がまとめて発表したものです。正確には582万2000人。
愕然とした人もいるでしょうし、読み進めていくと9年前の予測値802万人に出会うことになり、はるかに低い数値に妙な安堵を抱いた人もいたかもしれません。
近所に咲いている蛇結茨(ジャケツイバラ)
ちなみにその理由として厚労省は「生活習慣病の改善や健康意識の変化などによって認知機能の低下が抑制された可能性がある」と説明しています。
この記事の後半に認知症の新しい薬であるレカネマブの治験の進捗状況にも触れられていますが、この薬は認知症発症の原因をアミロイドβ沈着に限局して、だから沈着する前に排除するという考えのもとに開発された薬ですが。
先の認知症高齢者の推定数減少の理由としてあげられた「生活習慣病の改善や健康意識の変化などによって認知機能の低下が抑制された可能性がある」と、いうことは、今まで開発してはその効果が否定されて消え去っていった種々の認知症治療薬(その開発費用は70兆円とも言われています)、その先のレカネマブがなくても認知症発症の原因とされているアミロイドβの沈着が起きないという意味でしょうか?それはアミロイドβが原因という前提が、もしかしたら違うということでしょうか?
一碧湖チョウジソウ
レカネマブの持っている大きな問題点はこのブログでも何度か書いていますので、目を通していただきたいのですが、「レカべマブは認知症に立ち向かう切り札」ではありません。
私たちは認知症は脳の使い方を誤った生活習慣病、廃用性の機能低下つまり誰にでもある脳機能の低下が加速されたものだと考えています。
中伊豆グリーンポケット ハンカチの木
サンショウバラ
たまたま遊びに来た友人が、「新聞に出ていた認知症患者の推定数のことだけど。どのくらいのレベルの人を認知症患者って数えてるのかな?小ボケ(真の早期認知症のレベル。一般的な認知機能は正常で前頭葉機能だけ低下が進んだ人たち)は入ってないよねえ」と呟きました。
介護にも携わらず、全く普通の生活をしている友人ですら、このような基本的な疑問を持つのに専門研究者の皆さんにはこのような疑問は浮かばなかったのでしょうか?
中伊豆グリーンポケットユキモチソウ
クレマチス
どういうことをする認知症者の数なのでしょうね?
そのレベルによって、地域での見守りも可能になります。
伊東アートビレッジ ナヨクサフジ
ところで、記事はさらに続いていました。
「物忘れなどの症状はあるものの、生活に支障がなく、認知症と診断されるまでには至らない『軽度認知障害
(MCI)』の人の将来の推計を初めて公表し、2040年には612万8000人にのぼる」というものです。
この軽度認知障害も問題ありです。
言葉だけ読むとわかった気持ちになりますが、目の前の高齢者が、物忘れを訴えれば軽度認知障害でしょうか?
逆に物忘れを自覚しない高齢者はまずいません。
「生活に支障がない」程度の失敗は、高齢者なら誰しもしでかしています。
線引きには脳機能という物差しが必須ですよ。
ナンジャモンジャノキ
私自身が、言葉や文章の深い意味を考えずに書かれたことを鵜呑みにして「理解」したつもりになるタイプなのですが、いくらなんでも同じ記事の中にこれだけ反対の主張や疑問がいっぱい湧いてしまうことが述べられているのには、ちょっと驚きました。
by 高槻絹子