雨の予報にもかかわらずお天気に恵まれ、初夏の北海道を満喫した旅でした。
めでたしめでたしという報告で終わらせたいのですが、正直者ですから失敗談を。「そんなことが!」とビックリする人と、「ある、ある」とニヤリとする人といると思います。
我が家のブーゲンビリア
千歳空港の手荷物検査場で順番を待っています。
飛行機には、まあ乗っている方だと思いますから、手順は承知しています。
注意することは、持ち込み手荷物の中に禁止物を入れていないこと。パソコンや腕時計等金属探知機にかかりそうなものを小物用トレイに出しておくこと。そして当たり前ですが搭乗券を提示できるようにしておくこと。承知していますとも!
けっこう長い行列でした。係りの人が何度も「○○便、富山行きのお客様いらっしゃいましたらこちらへお急ぎください」と声をかけるような長い行列。
いろいろと人間観察してみたりしているうち、少しずつ列が進んでいきます。
「バッグに入れているよりも、すぐ見せられるように」と考えて、搭乗券は手に持っていました。もうあと5人くらいで私の順番が来るというところまで来たときに「そうだ!念のためにバッグから携帯電話を取り出して、小物トレイに出しておこう」と突然思いつきました。そしてiPadミニが入っている小物トレイに携帯電話を出しました。用意万端整ってようやくもう一人のところまで進んで来ました。
「さあ、搭乗券」と思って手を見てびっくり!ない!なぜ!
「さっき携帯を取り出した時に、落とした」と思いました。列に並んでいた時に手に持った搭乗券を、意識して何回も確認していたから、その時は、結構冷静だったのです。次の人は夫でしたからその次の人に順番を譲って、ほんの2mくらい元に戻って床を確認します。
ない!!
今度は、本当に心底びっくり!!!です。
どうして。なぜ。何が起きたの。
「予約番号は控えているし、夫と一緒に発券してもらったからもう一度カウンターに行けば大丈夫、飛行機には乗れる」と、奈落の底に落ちた気はしなかったのですが、何しろ列が長いので「モタモタしていると迷惑をかけるし、やり直しをするとまた長い時間並ばないといけないし。それにしてもなぜ床に落ちていないの」といろいろな思いが駆け巡りました。
結論を言うと、バッグの携帯電話を入れていたポケットに搭乗券は鎮座ましましていました。
一人に順番を譲っただけで、無事に手荷物検査場を通過できたのですから、時間にしたらほんの1分か2分の出来事でした。
S塚さん宅の白花ネムノキ
搭乗券をバッグのポケットに入れた記憶が全くないのです。搭乗券を見てもなぜここにあるのか、もちろん私が手に持っていたのですから、私がいれた以外には考えられないのですが、それにしても???
夫が解説してくれます。
「こういう時みんな『忘れた』というけれど忘れたんじゃないよ。
齢を取ると、前頭葉の注意分配力が発揮できなくなってくるんだ。正常な老化でもね。携帯電話を出すことだけに注意を集中してしまったから、搭乗券の処理に注意を分配できなかったということ。
何かをする時には、意識的に『これをやって、あれをやって』と注意力を分配させるようにしないと、また失敗するよ」
「はい」というしかないではないですか。
ケマンソウ(洞爺)
この話には、オチが付きます。
新幹線に乗り換えて、帰路へ着きました。ようやく熱海駅着。新幹線改札口の前で今度は夫が「あれっ」と上着のポケットを探っています。
そうなのです。今度は夫の番(笑)まあ、1分も経たないうちに無事に切符を発見できましたけど。
何と言い訳をしたか、はっきりしません。だってあまり注意集中力を向ける気持ちがなかったからですが、たぶん
「いつもは必ずここのポケットに入れるんだけど、(何かの事情に注意力が向いてしまって)こっちのポケットに入れたんだなあ…」というようなことを言ったと思います。
注意集中力と注意分配力は、前頭葉の諸機能の中でも高次な機能なのです。
ルピナス(洞爺)
エイジングライフ研究所は、認知症のもっとも早期の段階を小ボケと言います。
脳機能の老化が加速されて認知症への道をたどり始めたときに、最初にうまく機能できなくなるのが前頭葉機能です。その後、前頭葉機能はさらに低下をすすめ、さらに脳の後半領域の機能低下も徐々に進行していきます。
前頭葉機能だけがうまく機能できなくなっている段階を小ボケというのです。
小ボケの症状に、「何度も鍋を焦がす」と訴えられることがよくありますが、まさに注意分配力不足の結果です。
「鍋をかけていたのを忘れてしまって…」と、本人は言いますが、「忘れた」のではなく「注意分配に失敗した」のです。鍋の前に立っていて焦がしてしまうのではありません。鍋をかけた後、別のことをし始めたときに鍋を焦がしてしまうのです。
このことも巷では「忘れた=記憶力」の問題ととらえられていることに、ご注意を。
ブログ村
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