昨日1/29の日経新聞に「高速逆走、認知症が12%」という警視庁に取材した記事がありました。
「統計がある2010年以降、10%を超えたのは初めて」ということでした。
「全体では67.9%の152件で65歳以上の高齢者が運転手だった」そうですが、私はもっと多いかと思っていましたからちょっと驚きました。
そういえば先日のテレビニュースで50歳代の現役会社員が、「早く到着したかったから逆走した」とコメントしていましたから、考えられないような不届き者がいるのでしょうね。
それから、とんでもない無鉄砲な若者でしょうか?
と言いながらでも、正常な判断力がある人が高速道路を逆走するということをイメージするのは難しいですね。
さて肝心の認知症者の話です。
その高齢者のうちの17.8%(152件中27件)が認知症と判断されたそうです。
ということは逆に言えば、高速道路を逆走した高齢者のうちの80%以上は、認知症ではない。つまり正常なのに高速道路を逆走するような失敗を起こしてしまったことになりますね。
もしそれが正しいとしたら、高齢者は高速道路どころか一般道路でも運転させられない。考えてみたら怖くて運転させられないではないですか!
ところが、現実に目を向ければ、高齢だからという理由だけで運転させられないという主張には無理があります。
正常と認知症の線引きに問題があると考えられないでしょうか?
正常な判断能力があって、高速道路を逆走するはずがありません。
逆走するような高齢者は、正常な判断能力がない、瞬時の判断にかける、臨機応変な対応ができないのです。
これらの能力は、すべて前頭葉の機能です。
2012年の私のブログ記事です。
生涯現役その2
今回も、認知症の判断基準が実にあいまいです。
記事によると、つまり警視庁の説明だと「認知症は家族からの聴取など」でわかったとされています。
家族が、認知症と認識していなければ、もしくは認知症と認めなければ、認知症とは言われないということになります。
私たちには年齢を重ねるごとに、種々の機能低下が訪れます。体力、筋力、内臓機能、運動能力。見た目も(笑)
脳だって同様です。齢とともに、注意集中力や分配力の低下は起きるし、テキパキさに欠けたり根気が続かなくなったりします。それが正常老化の範囲なら笑いながら「齢のせい」と片付けます。
いっぽう、高齢者が、何らかのきっかけで生活が一変してしまうことがあります。退職、病気やけが、心配事の発生、親しい人との別れ、趣味ができなくなるなどで、それまでのイキイキとしたその人らしい生活ができなくなる。ナイナイ尽くしの生活になると脳の老化が加速されます。
最初に不合格領域に陥るのが前頭葉機能です。
その時には、日常生活や家庭生活はほとんど問題なく過ごせます。ただし状況判断、瞬時の判断に応じた臨機応変な対応、抑制などが不可欠な社会生活にはトラブルが起きてきます。
このような脳機能のレベルになると、高速道路を逆走するような事件を起こすのです。
エイジングライフ研究所では、このレベルを「小ボケ(軽度認知症)」といって、認知症のもっとも初期段階だと捉えます。
今回の調査の結果、「警察庁は75歳以上を対象に実施している認知機能検査を強化する方針」と報道されていますが、前頭葉機能に目を向けなければ、認知機能検査をしても・・・
そう、正常になってしまうのです。