NHKの朝ドラ「ひらり」などを書いた脚本家の内館牧子さんの「夢を叶える夢を見た」(幻冬舎)を読んだら、たった一言が脚本家への道につながったことが書かれていました。
三菱重工業をやめてシナリオライターを始めた内館さんは日本テレビで単発2本の脚本が採用されたものの、脚本家としては「ひよっこ」だった1989年、TBSの女性ドラマプロデューサーから声がかかりました。
有名脚本家が共同脚本の一人に内館さんの名前をあげたといいます。40歳前のことです。一種の面接です。プロデューサーは経歴など一通りの質問をしましたが、関心を示した様子はなく「これは落ちたな」と思ったそうです。最後に言った一言が内館さんの運命を変えました。
「ヒロインはどなたがなさるのですか」
「新人女優ですから名前を言ってもわからないでしょう。松下由樹って子なんですがね」
「由樹ちゃんが主役をやるのですか。私、彼女をのことはよく知っています。由樹ちゃんの所属事務所の仕事をしていますし、一緒に食事したり、演劇を見に行ったりしています」
「無名のヒロインをよく知っているのは強い」とプロデューサーは言って採用が決まりました。
そこでできたのが連続ドラマ「オイシーのが好き」でヒット番組になりました。このプロデューサーと組んで「想い出が変わるまで」「クリスマスイブ」「あしたがあるから」と次々とヒット番組を飛ばし、脚本家としての地固めができたといいます。
「トレンディドラマから普通の女のドラマを求める時代に移っていました。会社で何年たってもお茶くみとコピー取りしかさせてもらえない普通の女の苦労はイヤってくらい体験していますから普通の女の気持ちはわかるのです」
時代も内館さんに見方をしたようです。
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