20代の男性が筋トレで腰を痛めた、と来院されました。ジムの筋トレで体を鍛えているといい、逆三角形のたくましい体をしています。床に置いたバーベルを膝を曲げてそのまま引き上げるデッドリフトを60キロから始め、100キロ、140キロ、180キロと重量を増やしていきました。そして、200キロを上げたところ、腰に痛みが走ったといいます。
デッドリフトは背筋、殿筋、脚の筋肉を鍛えるトレーニングです。体の太い筋肉を鍛錬するので、ベンチプレス、スクワットと並んで筋トレビッグ3と呼ばれています。男性は120キロのスクワット、100キロのベンチプレスをしたあと、デットリフトを始めたといいます。
デットリフトで気をつけなくてはいけないのは、腰を痛めやすいことです。背中は伸ばしたまま引き上げなくてはいけないのですが、背中が少しでも曲がったままだと、腰に過重な負担がかかります。男性の場合、腰に過重な力が加わり、痛めたようです。
ぎっくり腰の軽い症状を呈したと評価し、施療をしました。「筋肉が炎症を起こしていますから、痛みが治まるまで、デッドリフトは控えてください。痛みがなくなったら、デッドリフトを再開してもよいですが、重量は200キロの三分の一の60キロにとどめてください」と伝えました。
筋力は最大負荷の三分の一の重量で維持できるからです。腰は体重を支えているうえ、日常動作の中で負荷がかかりやすいところなので、治るのに時間がかかります。「痛みが出たら、炎症が起こったわけですから、そこでやめてください」と念を押しました。