整骨院を運営していますと、いろいろな人たちが売り込みに来られます。金の販売、投資の勧誘員、保険の外務員、求人広告の採用プレゼンター、自動ドアの設置会社員、手づくりパンの販売スタッフら、様々な会社・業者の方たちが訪れます。
手があいていれば、少しの時間は話を伺うようにしています。世の中の動きが見えるし、訪問販売の人たちの「ノルマの達成」にも協力できるからです。ですから、訪ねたあかしに名刺をいただけたら、という申し出にも、よほど変な人でなければ手渡しています。
先日の夕方、LEDランプ販売スタッフの中年男性が訪れました。LEDランプがエコライフに役に立ち、消費電力が少なく、寿命も長いこともわかっているが、開院して間もないうえ、現在の蛍光灯が十分に機能しており、私は高齢者で今後10年も当院を運営する考えがないことを説明して、LEDを購入する考えがないことを伝えました。
ところが、男性は見積書だけでもつくらせてほしい、と言って、院内の蛍光灯は40Wが20本あることを確認して引き揚げました。
翌日の夕方、男性は、LEDランプ(直管形)2本と見積書を手に再び訪れました。LEDランプは家電量販店で見ているうえ、患者さんの施療中でしたので、LEDの点灯は遠慮してもらい、見積書を受け取りました。
見積書はA4判8ページ、LEDの寿命が50000時間、蛍光灯の寿命は8000時間として計算し、1日の点灯時間を8.5時間とすると、18.8年間で82万円の節約になるとはじいています。
驚きました。パソコンソフトに必要事項(私の整骨院の場合は40Wの蛍光灯20本)を打ち込めば、A4判8ページの見積書がこんなに簡単にできてしまうことです。これでは、計算したり、書類をまとめたりする事務職員は要らないな、と思いました。
ただ、見積書のデータはLED販売会社の都合の良いように書き換えています。蛍光灯20本はすでに取り付けてあるのに、新たに購入した計算になっているうえ、1本の費用が800円と実際の350円の倍以上の割高になっています。こうしたところを計算に入れれば、10年ではLEDが電気料金の大幅な節約にはならないでしょう。
それにしても、「蛍光灯40W20本」で詳細な見積書がつくられることにびっくりです。単純な事務作業のスタッフが要らなくなったということは、若い人たちの職がそれだけなくなることにつながります。とくに、教育・訓練を十分に受けていない若者たちを直撃するでしょう。ギリシャ、スペインのように、日本の若い人たちの失業率が20%を超える時代が近づいてきています。これからの若者たちは大変です。