60代後半の友人の男性は長年、変形性頸椎症による強い肩こり、頸の痛みに苦しんでいました。変形性頸椎症は、加齢に伴い、頸椎の椎間板の水分保持能力が低下し、内圧が減少することから、骨のトゲである骨棘ができたり、椎間関節がすり減ったりした結果、肩こり、頚痛や頭部の運動時痛が発症します。
友人は手術も考えましたが、頸部は神経が集まっていることから、行き付けの整形外科医からは「うちでは手術が難しい。手術を希望するならば、脳外科医を紹介します」と言われ、しばらく様子を見ることにしました。
それが、定年後、嘱託として勤めていた会社を辞め、悠々自適の生活に入りました。念願の四国八十八か所巡りもしました。数年後、気が付くと、あれだけひどかった肩こりや頚の痛みが消えていました。
整形外科医院でレントゲンを撮ると、変形性頸椎症の症状は出たままです。医師に尋ねると「ストレスがなくなったからではないでしょうか」と言われました。
「嘱託として勤めていた仕事は、それほどストレスを感じる職場ではないと思っていたのに。やはり、会社勤めのストレスは自分が感じている以上に大きいようだ」と友人は話していました。
確かに、ストレスを感じると、交感神経が働き、頸や肩の筋肉を収縮させます。硬くなった筋肉が神経に触れれば、痛みを発症します。友人には「ストレスが大きな原因だったのですか。ともかく、痛みがなくなつて良かったですね」と伝えました。