大阪造幣局の桜の通り抜けに行ってきました。大川沿いの造幣局の南門から北門までの約560mに129品種、354本の八重桜が今を盛りと咲き誇っていました。「きれいやな!」の歓声の中に、中国語、朝鮮語、英語も交じり、年々国際色豊かになる感じがします。昨年は東日本大震災の影響で中止となっただけに、2年ぶりの桜の通り抜けを楽しむ人たちで終日にぎわっていました。
大阪の春を彩る桜の通り抜けを心待ちにしているお年寄りは多く、車いすや杖をついて桜のトンネルを通る高齢者の姿が目につきました。「あと何回、この桜が見れるやろ」と問いかける車いすのおばあさんに、孫と思える娘さんが「さあー、何回見れるでしょうか」とのどかに答えていました。車いすのおばあさんや杖をついたおじいさんが来ると、桜の前に立っていた人たちが、お年寄りが桜がよく見れるように、さっと避けていたのが印象的でした。桜を愛でる気持ちが人々を心優しくするようです。
私が桜の通り抜けを初めて訪れたのは、大阪に来て数年後の、昭和57年のことでした。今から30年前の昔のことですが、そのときの驚きはいまでもはっきり覚えています。桜の花の色は桜色、つまり薄紅色とばかり思っていたのに、目の前に咲き誇る桜は黄緑だったからです。生まれて初めて見た黄緑の桜にびっくりし、見惚れてしまいました。
「黄緑の桜があるのか」という驚きでした。花の名前を見ると「御衣黄(ぎょいこう)」と書かれていました。別の種類の黄緑の桜もあり、それには「鬱金(うこん)」とありました。さらに「黄桜」という品種もあり、「お酒の名前といっしょやないか」と笑ってしまいました。当時は土の道で晴れても風のある日は土ぼこりが舞い、雨が降るとぬかるみの通り抜けとなりましたが、今では赤煉瓦で舗装され、快適に歩くことができます。