「小児の先天性心疾患は手術で根治したと思っていても、数十年後に再発する恐れがあります。一生涯、定期的な経過観察が必要です」とNHKテレビが先日、ニュースで報道していました。小児の時に手術した心房切開、心室切開が原因になることもあり、心不全や不整脈などが起こるというのです。手術した小児科と大人になってから診療する循環器内科との連携が大切ですが、そうした連携ができている病院は少ないといわれています。
小児の先天性心疾患だけではなく、手術した患部の経過観察は他の病気でも必要だと思います。前立腺がんを発症した先輩の男性(74)は20年ほど前、白内障の手術を受け、右目に眼内レンズを入れました。担当医は腕の良い眼科医で、その後関西の公立医大の教授になりました。複数の他の眼科医が先輩の眼内レンズを診るたびに「きちんとした手術です。レンズはちゃんと収まっています」と言いました。先輩は「名医といわれる先生に手術してもらって良かった」と心から感謝していました。
それが、昨年春、眼内レンズが突然、水晶体の袋から外れ、硝子体の中に入ってしまいました。網膜を傷つけたら、取り返しのつかない事態になりかねません。病院で緊急手術を受け、硝子体に落ちた眼内レンズを取り出し、新しい眼内レンズを入れたといいます。
「名医の手術」でここ十数年間、定期的な経過観察は一度もしなかったそうです。20年ほど前、きちんと収まっていた眼内レンズも、目の筋肉・靭帯の衰えや水晶体の袋の変性もあり、体の強い振動で外れることもあるそうです。
「名医の手術だと思って、安心し切っていてはあかんぞ」が先輩の忠告です。タケちゃんは眼科の次の定期健診では、眼内レンズの収まり状況を尋ねてみようと考えています。