定年後、嘱託として会社に残ったものの、週1日程度会社に行けばよい勤務となったため、暇になった時間を使って、日本中央競馬会(JRA)の競馬の勝ち馬を統計学や確率論を駆使して当てる研究をしている友人がおります。JRAがサラブレッドの若馬を育成・調教している日高養成牧場(北海道浦河町)に今夏、北海道観光も兼ねて奥さんと行ってきました。
予約すると、最寄りの駅からJRAがマイクロバスを出してくれるそうです。牧場へのバスは、よちよち歩きの女の赤ちゃんを抱いた若い夫婦と一緒でした。
牧場では、2か月前に仔馬を産んだサラブレッドの母馬を見学しました。ハプニングは、このとき起こりました。よちよち歩きの赤ちゃんが母馬に近づいてしまったのです。赤ちゃんが倒れそうになると、母馬は頭を下げて、赤ちゃんの体を支えました。転ばないよう助けの手ならぬ「助けの顔」を出していました。ガイド役の男性調教師が「母馬のこんな行動は見たことがありません。母性本能ですね」と感動した面持ちで話しました。赤ちゃんは母馬の顔をなでて、お母さんのもとに戻りました。
ひるがえって、人間は、というと、児童虐待の件数が21年連続で過去最多を更新しており、亡くなった子どもの4割が0歳といいます。厚生労働省の専門委員会が検証を始めた2003年7月から11年3月までに虐待死した子どもは437人。うち44%(193人)が0歳児でした。この中で39%(76人)は生まれたその日に亡くなっていました。加害者の約9割が実母で、「望まない妊娠をした」若い母親が大半でした。
このため、「望まない妊娠」に悩む母親への支援の動きが各地で始まっているそうです。7月27日付朝日新聞は「0歳の虐待死 防ぐため」という見出しで、大阪府立母子保健総合医療センターの「にんしんSOS」の取り組みを報道しています。浜松市でも同様の相談窓口が開設され、静岡県も今年10月、オープンを目指しているとのことです。
「望まない妊娠」の原因にはさまざまな理由があるでしょうが、少子化が日本の大きな課題というのに、せっかく誕生した赤ちゃんを育てられない世の中は哀しいです。「親はなくても子は育つ」というではありませんか。「望まない妊娠」で悩む母親は「にんしんSOS」(0725-51-7778、または「にんしんSOS」のHPからメールで)相談してください。