北大阪病院の安田守孝副院長(脳神経外科)は日常診療の中で、認知症に直結しかねない「これは、キケン」と感じる患者さんの二人の生活を紹介しています。二人とも男性です。
朝8時ごろ、促されて起床。朝食。着る服は昨日と同じ。朝の内服薬も言われなければ、半分忘れている。醤油やソース、ドレッシングなどやたらに使用し、濃い味付けを好む。テレビの前に座って、見るまでもなく、気がつけばうたた寝。
昼食をすませて、またテレビ。妻のする洗濯や掃除を手伝うまでもなく、気が向かないと何もしない。「ヒマだから」とついタバコに手が伸びる。
別の男性は。「夕食、なんでもかまへん」。歩く、階段を極端に嫌がる。「膝、腰が痛い」。背中、腰が曲がり、歩く姿はお年寄り。夕食時もテレビ。食べこぼしも。入浴も「面倒だな」。夜、なかなか寝つけない。夜間、頻尿、トイレ頻々。
週三回の人工透析をしている80代の男性はパジャマ姿で送迎車に乗っていきます。病院に行くのにパジャマですから、おそらく一日中、パジャマで生活しているのでしょう。こうしたメリハリのない生活は認知症を促進するキケンな代物です。とはいえ「知らない人」ですから、声をかけるわけにはいきません。