「深夜、トイレで起きたら、右の足首が直角のまま曲がらず、脚も上がりません。一生懸命さすったら何とか動くようになったので、トイレには行くことができましたが、どうしてこんなことになったのでしょう」
80歳を超えたばかりの女性の患者さんが、こう訴えます。右脚を見て、触ってみますが、腫れも内出血もありませんし、足首も膝もきちんと動きますので、捻挫も脱臼もしていません。「昨日は、どんな行動をしたのですか」と伺いました。
梅田の百貨店に娘さんと一緒に買い物をしました。時間を見ると、自宅方面に向かう最終バスに約10分あります。「急げば間に合う」と娘さんが手を引いて走り出しました。娘さんは学生時代は陸上部の選手です。右手をつかまれ、引きずられるように走ったといいます。
信号のない地下街を走ったので、階段を上ったり、下ったりしました。階段を駆け上がり、バス停が見えたところで、娘さんが「先に行って並んでいる」と手を放しました。
息が上がって歩くのもつらかったが、最終バスに何とか間に合いました。帰宅して、入浴して床につきました。深夜、トイレで目覚めたら、右足首が直角のままで、脚が上がらなくなったといいます。
患者さんは日ごろ、全力で走ることはありません。このため、脚の筋肉が極度の疲労から硬直状態になったようです。「両脚とも筋疲労を起こしていますから、ぬるめの風呂にゆっくり入って、早めに寝てください」と伝えました。