大阪市立十三市民病院の健康セミナー「その物忘れは大丈夫? 認知症気付きのポイントと予防」の中で、認知症看護認定看護師の江口啓子さんは、認知症を疑うきっかけとなる変化として、認知症の人と家族の会がまとめたアンケート結果を紹介しました。
アンケートは、同会が会員に470通を配布し、466通の回答がありました。回答率99%。それによると、「忘れもの、物忘れ、置き忘れを頻繁にするようになった」が75%、「時間や日にちが分からなくなった」は53%、「仕事や家事が以前のようにできなくなり、支障を来すようになった」が47%で、上位を占めていました。
軽度認知障害(MCI=Mild Cognitive Impairrment)の七つのチェックポイントと重なるところがあります。
ところで、軽度認知障害になっても、症状を大きく改善した人に、週刊朝日編集委員の山本朋史さんがおります。山本さんは取材の依頼を同じ日の同じ時間にしてしまうダブルブッキングが続いたことから、自らのMCIに気づいたといいます。
専門医の治療と指導を受けながら、生活改善に励んだ体験を「ボケてたまるか! 62歳記者認知早期治療体験ルポ」「認知症がとまった⁉ ボケてたまるか実体験ルポ」(いずれも朝日新聞出版)の2冊の本にまとめました。
MCIの半数は5年以内に認知症に進行するといわれますが、専門医の治療と生活改善で「認知症がとまった」といえる人が現れたのは心強いことです。