80歳になったばかりの男性は右肩の付け根が痛いと言って来られました。右肩は90度くらい上げると痛むといいます。
上腕の大結節部を押すと疼痛を訴えます。回旋筋腱板の棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋を軽く押圧すると痛みを発症します。
肩を打ったり、無理な動作をしたりしたことはなく、ある日から急に痛みが出てきたといいます。「何もしたことはなく、突然痛み出した」と話します。
腱板損傷の徒手検査であるドロップ・アーム・サイン、インピンジーメント・テストをすると、いずれも痛みは起こらず、陰性です。でも、症状は腱板損傷なのです。
私が柔道整復師専門学校で習った十数年前の教科書では腱板損傷の原因は打撲、使い過ぎ(オーバーユース)でしたが、ネットで確認したら、近年は「加齢による筋力低下」が加わっていました。
高齢者の場合、運動らしい運動をしていないと、1年間で10%の筋力が落ちたというデータもあります。筋力の低下で腱板損傷を発症したと評価しました。
男性にも、回旋筋腱板を鍛えるため、左腕を横に上げて10秒間維持する等尺性運動を3セット、朝晩行うように伝えました。