70代後半の女性は自宅で転倒し、大腿骨頸部骨折を起こし、4か月の入院生活を送ってから、足腰がめっきり弱ってしまいました。ベッドから起き上がることができません。ベッドに腰を掛けて一人で立ち上がることもできません。
転倒するのが怖いため、夫に手を引かれ、杖をついて、私の整骨院を訪れました。歩くのに必要なのは下半身の筋肉です。とはいえ、これまで運動らしい運動をしたことがありません。重い負荷をかける運動はできません。
そこで、四頭筋運動器に片脚4.7キロの重りをつけ、脚を伸ばして10秒間維持する等尺性運動をしてもらいました。少しずつ筋力がついてきたら、その回数を2回、3回、5回と増やしました。足の指の力をアップさせるため、指を握るグー、指を開くパーをするグーパー運動を3回から始めました。
1週間ほどで、一人で杖をついて訪れることができるようになりました。等尺性運動の回数を10回に増やしました。そのうえで、立ったまま、四頭筋運動器の手すりにつかまっての腕立て伏せ、エアロバイクのサドルに手を当てて、つま先を上げた後、爪先立ちをしてからのかかと落とし、ベッドで膝を立てて体を起こす腹筋を加えました。
さらに1週間がたつと、体を起こし、左腕で支えながら、起き上がることができました。「うれしい、ベッドから起き上がれるようになった」と女性は喜びました。ベッドに腰かけて両手を膝に当てて体重を前にかけるように起きる方法を伝えますと、一人で立ち上がれるようになりました。
目に見える成果が出たからでしょう、女性は熱心にリハビリ運動に取り組んでいます。