80歳過ぎの男性の首に手を当てたら「痛い」と叫びます。「首や肩の痛みは訴えていなかったのに」と思いながら、頭を支える一番大きな筋肉、胸鎖乳突筋を軽く押したら「痛い、痛い」。
男性は軽度の認知症があり、受け答えができません。そこで、一緒に来られた奥さんに「首を立てるような姿勢をしていませんか」と尋ねました。奥さんは「そういえば、テレビを見るとき、仰向けになって座椅子に首をのせています。座布団を首の下に置いています」と答えました。
体の痛みの原因の三分の一は姿勢です。筋力の低下から発症するケースが三分の一です。男性は首の筋肉が弱ってきたうえ、首を立てるという不自然な姿勢をしたことから、首痛を起こしたようです。
「ご主人がテレビを見るときは座ってみるように言ってください」と伝えました。
次に男性が来られたとき、座った姿勢から胸鎖乳突筋に手を当てると「痛い、痛い」。首を支える深部筋の頸長筋を軽く押すと「痛い、痛い」のボルテージがさらに上がります。
そこで、奥さんに「テレビを見る姿勢を変えるように言ってくれたのですか」と聞きました。奥さんの答えは「言っても聞かないのです」。どうすればよいのか、思案中です。