団塊タケちゃんの施術日記

一人二人生の旅立ち

金がなくなれば患者を路上に放り出す米国

2013-10-31 09:59:50 | 健康・病気

アメリカの医療の現状をルポした、マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」を見たとき、私が最も衝撃を受けたシーンは、入院治療費が払えなくなったため、病衣を着たままの高齢の女性患者が病院の車から路上に放り出される映像でした。ネットで確認すると、複数骨折して入院している患者で、病院から強制的に追い出され、貧民街に運ばれ、路上に放り棄てられた、ありました。

米国では、公的医療保険制度は低所得者向けのメディケイド、高齢者、障害者向けのメディケアがありますが、国民全体を対象とする健康保険制度はありません。民間の医療保険会社に加入して、病気になったときの「支え」にしています。ところが、保険金が高いことなどから、民間の医療保険に入っていない人たちが約5000万人にも上り、国民の2割強に達するといわれています。

そこで、オバマ政権は、医療保険に加入していない約5000万人の半数を保険の適用対象に拡大しよう、とオバマケアを打ち出していますが、野党の共和党、そのなかでもティーパーティーの議員が強硬に反対していることで、実現できていません。

オバマ大統領の与党・民主党は政府の権限を拡大し、高負担、高福祉の「大きな政府」を目指し、野党・共和党は政府の権限を縮小し、規制を緩和して、民間の活力を最大限にする「小さな政府」を志向しています。

だが、米国人の根底を形作っている考えは「With Your Own RISK」(危険は自分の責任で)です。政府の規制はできる限り少なくという「小さな政府」です。銃器による殺人事件が多発し、銃器規制の声が高まっているのに、銃器を規制する法律が通らないのは、米国ライフル協会などのロビー活動が強いこともありますが、米国民の多数が銃を持って「自分の身は自分で守る」と考えているからだ、とされています。

自分で自分の身を守れない人たちには米国は冷酷です。一方、自分の力で這い上がった「アメリカンドリーム」を実現し、富と名誉を手にした人たちには実に寛大です。アメリカは社会的弱者が住みにくい国なのです。

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「貧乏人は痛い、痛いと言って死んでいくの」

2013-10-29 10:08:46 | 健康・病気

「貧乏人は重い病気にかかると、売れるものは全部売って医療費を支払い、最後は家まで売って、そして痛い、痛いと言って死んでいくの」

この発言は、日本のことではありません。中国人の知人から聞いた言葉です。末期がんなどの重篤な病気になると、中国では、受診できる病院が限定されているうえ、医療費は立て替え払い(先払い)です。金になりそうなものを次々と売り払って、病院に支払い、ついには住んでいる家さえも売って治療を受け、治らなければ、疼痛にもがき苦しみながら、死んでいくといいます。

助からないとわかれば、ものや家を売る前にあきらめ、病院での治療を受けることなく、苦痛の叫びを上げながら、亡くなる人たちも多いそうです。

中国の知人の幼女がのどに腫れものができたとき、診療費は立て替え払いのため、親類中から金をかき集めて受診しました。幸い、腫れものはたいしたことなく、まもなく治りましたが、悪性でしたら、高額な治療費がかかるところでした。

「ワイロ社会」といわれる中国では、良い医者に診てもらおうと思えば、「袖の下」が必要になるといわれます。教育界も同じで「ワイロ」で大抵なことは解決するそうです。背が高くて、教室の最後列で授業を受けていた女児は、ある日、突然最前列に席替えになりました。不動産業を営み、裕福な親が女児に勉強してもらおうと、一番前に席を移すよう、教師にワイロを贈った結果でした。

レコードチャイナが、中国のワイロ社会の腐敗のひどさを次のように報道していました。

中国の司法について北京大学法学院の賀衛方(ホー・ウェイファン)教授は、「我が国の司法が独立できたなら、この国の大多数の役人は死刑に処されるだろう。中国では10数万元(百数十万円)の汚職で最大死刑を言い渡すことができる。司法が独立できれば、計画生育(一人っ子政策)も必要なくなる。なぜなら、数千万の役人が死刑を言い渡されるからだ」と中国の閉ざされた司法に苦言を呈した。

日本の「ワイロを許さないという風土」(世界的には、公務員が潔癖なカテゴリーに属する国です)、どこの病院でも受診できる国民皆保険は、実にありがたいことだ、と私は受け止めています。

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医療費と税収がほぼ同額って知っていましたか?

2013-10-28 10:01:25 | 健康・病気

毎日、医院や病院で受診しなければならない病気ってあるのでしょうか。

日本の国民医療費は41.8兆円に上ります。わが国の税収は今年度が当初予算ベースで43.1兆円ですから、ほぼ同額です。国税として徴収された税金のほぼ全額が医療費として使われているわけです。厚労省の推計では、2025年には54兆円に達するといわれます。ちなみに、整骨院の療養費は約1%の4023億円になります。

日本の医療を欧米と比べますと、入院日数32.5日、1人当たりの外来受診回数13.1回と飛び抜けて多いのが特徴です。アメリカでは入院日数6.2日、外来受診回数3.9回、医療環境が整っているフランスでも入院日数12.7日、受診回数6.7回、ドイツでは入院日数9.6日、受診回数8.4回です。

日本人だけが、とりわけ重篤な病気にかかり、入院日数がアメリカの5倍になったり、外来の受診回数がフランスの2倍になったり、するとは考えられません。国民皆保険と高齢者医療の手厚い助成があるからでしょう。

でも、どう考えても税収とほぼ同額が医療費として消える現状は長続きするはずがありません。家計でみれば、一家の収入が医療費に使われてしまったら、家族は生活できません。

75歳以上の後期高齢者の1割負担をはじめ、各種の助成措置の早急な見直しが必要です。私たち団塊の世代は70歳になったら、現在の特例措置の1割負担から、法律通り2割負担を甘受しなければいけないようです。岩盤規制といわれる医療の様々な規制に改革の手を入れなければ、医療費だけで財政が破たんするのではないか、と危惧しています。

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毎日、医院に来なければならない病気とは!

2013-10-26 09:41:44 | 健康・病気

ある医院の待合室での86歳の女性と87歳の女性の会話です。

86歳の女性が隣に座った顔見知りの87歳の女性に

「あのおじいちゃんは2日に1回、医院に来ている。あそこのおばあちゃんは3日に1回」

「なんでそんなことがわかるの」

「私は毎日来ているから」

私は1か月半に1回、定期健診と降圧剤と高コレストロールの薬の処方箋を受け取るために、この医院を通院しています。整骨院が休みの水曜日に受診するのですが、いつも86歳の女性に会うのが不思議でした。その謎がやっと解けました。年齢がわかったのは、二人が互いに生まれた年と年齢を打ち明けたからです。

86歳の女性の病気が何であるかはわかりませんが、歩いて通院していることや顔色などを見る限り、重篤な病気であるとは思えません。でも、会話を聞く限り、毎日、医院で診療を受けるのが日課になっており、どうやら「安心」の確認に来られているようです。

兵庫県の整形外科医院で実習を受けたとき、高齢者の何人もが「ここに毎日来るのが私の仕事みたいなもの」と話していました。

落語で、病院の待合室でのお年寄りたちの会話で「ここ何日間、あのおばあちゃんの顔を見ないが‥」「おばあちゃん、病気になって家で寝ているそうよ」「そうか、本当の病気になっちゃったのか」とマクラで語るのを聞いたことがあります。待合室が「老人サロン」になっている現状を、笑いでくるんで皮肉っているのですが、それにしても毎日受診しなければならない病気とは何なんでしょうか。

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「二河白道図」を見て思うこと

2013-10-25 09:57:34 | アート・文化

神戸市東灘区の香雪美術館で27日まで開催されている「仏教美術の輝き」を見てきました。朝日新聞社を創刊した村山龍平翁(号・香雪)が蒐集した日本・東洋の古美術コレクションの中から、今回の展覧会では、仏像や絵画、経文など約50点が展示されています。

その一つに「二河白道図(にがびゃくどうず)」がありました。絹本着色で鎌倉時代の作です。二河白道図は水と火の二つの河の間に細い白い道が描かれています。水の河は人生の順境にあるときの貪(とん・むさぼること)、火の河は人生の逆境にあるときの瞋(じん・怒り恨むこと)を示し、二河は生き地獄を現しています。

二つの河に挟まれた白道が極楽浄土への道とされます。極楽浄土には、色とりどりの花が咲き乱れ、観世音菩薩、勢至菩薩を従えた阿弥陀如来が描かれています。白道の手前には、お釈迦様に導かれた善男善女が並び、何人かが細い白道を歩いて極楽浄土を目指す姿が描写されています。

二河白道を知ったのは、十年ほど前、四天王寺を参拝した際、極楽浄土の庭を訪れたときです。極楽浄土の庭は、二河白道の考えで造園されています。水の河を右側に、火の河を左側に配し、その真ん中を遊歩道(白道)が通っています。手前に釈迦三尊石、白道の先には阿弥陀三尊石が置かれた極楽の池があります。

人は亡くなるとき、二つの怖れがあるといわれます。一つは、痛み苦しむことです。痛みを抑えるペインクリニックが発達したことで、ほぼ解決されたとされます。もう一つは、誰にも看取られることがない孤独死です。だが、突然死のケースでは、孤独死は避けられません。神様、仏様を信じれば、一人でなくなる哀しみを和らげることができそうです。二河白道図を見ながら、宗教は孤独死の怖れを癒やす役割も大きいと感じました。

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