80代初めの知人の男性は、右手の親指、人差し指、中指の3本を、ばね指の手術をしました。ばね指は、指の使い過ぎから発症し、指の腱と腱を支える腱鞘との間でこすれて炎症が起こります。曲げた指を伸ばそうとすると、ばねが外れたようにカクンと伸びるので、ばね指と呼ばれています。
中高年の女性に多い症状といわれますが、筋肉が老化する高齢者もなりやすいとされています。手術は指の付け根の関節から1センチほどの手首よりの手のひらを1センチほど切り開き、皮下で腱鞘を縦に切開し、腱の通り道を広げます。
先日、男性に会う機会があり、「ばね指は治りましたか」と聞きました。すると「カクンと伸びるのはなくなったが、指が手のひらにつくまで曲がらない。おにぎりを握ったところで止まってしまう。握力も随分、落ちてしまった」と嘆きます。
「お医者さんは、どう説明しているのですか」と尋ねますと、「腱鞘炎じゃないか、ともいいます。でも、もう年なのだから、手術は止めた方がよいとも、いわれました」。ステロイド剤を注射しても改善せず、手術をしても治らなかったわけですから「なんのために手術したのか、わからない」と男性はこぼしました。
痛みはないといいますから、炎症をおこしているのではないのでしょう。筋肉の衰えも原因になっているようです。2週間に1回行う病院でのリハビリは、お湯に手をつけて、血液の循環をよくしているそうです。握力を少しでもつけるため、軟式テニスボールを握る運動を勧めて、別れました。