水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (12)虐(いじ)め

2020年08月04日 00時00分00秒 | #小説

 人が人を虐(いじ)めるのは不出来な人の行為としか私には思えない。虐めによって人の心理は益々(ますます)、悪い方向へと連鎖的に向かう危険性を孕(はら)む。鬱屈(うっくつ)すれば犯罪ともなる。私も子供の頃、子供会でよく虐められたものだが、決して気分がいいものではなかったことは今も心の奥底に残っている。虐めをする側は気分がいいだろう。られる側は、よい訳がない。この心理が積もれば起爆剤となり、なんらかの誘因により点火でもすれば爆発し、虐めた側も木(こ)っ端微塵(ぱみじん)となる・・という自業自得現象が起こることになる。ならばっ! 最初から虐めなどしなければ、全ては丸くいく・・という結論が導ける。だが、人は馬鹿で愚(おろ)かでアホだから、^^ 相も変わらず虐めをすることで自(みずか)らのうっ憤(ぷん)を晴らすのである。
 とある中学校の職員室である。
「河馬野(かばの)先生、その後、どうなりました? おたくのクラス?」
「ああ、犀川(さいかわ)先生、虐めですか。アレは至誠一貫(しせいいっかん)で一件落着しましたよっ!」
 河馬野は、昨日、観た[遠山の金さん]のお白州(おしらす)に掛っていた額(がく)を思い出し、そう言った。
「なんです? その至誠一貫ってやつはっ!」
「ははは…失礼! 切々と言って聞かせた結果、分かってくれた・・ってことですよっ!」
「ほう! 虐めがなくなりましたかっ?」
「はい! また虐めたら、私がお前を虐めるって言いましたら、一発ですよっ! はっはっはっ…」
「虐めを虐める訳ですねっ!?」
「そうそう! マイナス×マイナス=プラスってことで」
「一件落着ですか?」
「そうです。ははは…」
 私には分からないが、虐めには虐め薬が効くようだ。^^
 
                               完


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