稀に見る「眼映画」。
ルックアットマイファッキンアイズ。
主演のポール・ベタニーの眼が怖い怖い。
ゾクゾクしますよね。
ダニエル・クレイグも苦手な方のパーツ構成だったけど、
こっちのが数段怖い。
夜道で見かけたら何もされなくても通報するレベル。
俳優で言えば、「時計仕掛けのオレンジ」でアレックスを演じたマルコム。
老けましたね。時代の流れを感じますね。
序盤で出てきた時は好々爺だったんだけど、終盤の演技を見てたらやっぱりアレックス。
キレてるね~。実にキレてる。
ポール・ベタニーの怖さは、パーツとしての眼が怖いと言い換えられるんですが、
マルコムの場合はやっぱ演技力ですか。
特典のインタヴュー映像がなきゃ地と勘違いし続けるわコリャ。
舞台はロンドンですね。
マフィアものっつーと禁酒法時代に前後したアメリカが舞台の作品が多いんですが、
本作はイギリスです。
建物の内装だとか衣服がギャングとは思えないオサレさ。みんな足長ぇ。
昇り竜の若手ギャング、フレディに見出されたチンピラが、
フレディをも足蹴にして伸し上がって破滅するピカレスクな映画。
ホモっぽい要素というか、受け取り方もできないでは無いんだけど、
男性が男性の視点で見る限り、その線は薄いと思うわ。
この元チンピラは役名が無いので、仮にポールとしましょうか。
ポールはフレディに憧れてギャング道まっしぐら。
仕事は楽しいしやりたい放題できるしサイッコー、という時に、
ボスのフレディは結婚して丸くなっちまう。
ポールの中の理想のフレディと現実のフレディが離れていく中で、
偶然手に入れた情報からフレディを追い出し、組織のトップに座る過程。
ここ重要ですよね。
フレディがカレンとの結婚を持ち出すまでは、ポールの理念は全てフレディありき。
ところが結婚を通して丸く収まりかけてるフレディを憎むように。
熱を上げてた分、それが逆転すると憎悪も一気に深まるわけで…
以来彼の目標はフレディを蹴落とし、自分が組織のトップになる事になると。
その為なら仲間も殺すし、ついでだから対抗組織も潰しちまおう。
「オレがナンバーワンだ」という台詞は自身に向けた暗示以上に、
自分の中のフレディに対して向けられたモノなんだろうなぁ。
スタッフロールで流れる「The Good Life」が実にシニカルですね。
美しく甘いメロディーで、ギャングスターの栄枯盛衰記を静かに終わらせるのです。
眼に始まり眼に終わるような映画ですが、音楽・映像方面は非常にグッド。
見終わって考えても、不満な点が思い当たらない。
別に面白いとかスカっとするワケじゃないけど、良い映画でした。