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京セラ、IoT無線サービスに参入

2016-11-10 09:17:10 | 経済

京セラの子会社がLPWAと呼ばれるIoTの無線サービスに参入すると発表した。LPWAとはLow Power Wide Areaネットワークで、乾電池1本で10年くらい使える低電力の無線方式で距離は数Km飛ばせる。

KDDIを含む40社が賛同しているそうである。通信サービスなのでKDDIが前に出そうなものだが、京セラの子会社が発表している。技術はフランスのSigfox社が開発した技術を使用する。

この分野ではソフトバンクがライバル技術であるLoRAを使ってサービスを開始すると9月に発表しており、今回の発表で競争が激化するものと思う。ソフトバンクのほうが先に発表しているが、今回の京セラの発表では、KDDI、村田製作所、関西電力、多くのデバイスメーカなどを賛同者に含んでおり、こちらのほうが有力に見える。京セラの単独発表になっているので、出資金が大きいのだと思うが、やはり事業センスのある人は見ている、という印象を受けている。ドコモは今回の賛同者には含まれていないが、Sigfox社に出資している。

当面のIoTの大きな用途はスマートメータだと思っている。スマートメータは電力業界で既に日本初のWiSunという技術を使うことに決まっているが、この技術を使って無線ネットワーク構築を請け負った東芝が大失敗して、不正経理の一因となった。問題はマルチホップと呼ばれる何度も中継する技術の安定性にあると私は考えている。SigfoxやLoRaは同じ送信電力でWiSunよりも数倍遠くまで距離を延ばせるので、マルチホップは必要なくなり、問題は解決すると思っている。

3GPPではNB-IoTといってSigfoxやLoRaに対抗できる技術を開発しており、LTEと統合できるようになっている。これを使えばLTEネットワークでLPWAを提供することができるようになるので通信オペレータにとってネットワークの構築コストは安くなる。しかしこれらが実用化されるには2年くらいかかると思っており、それまでに独立系のLPWAがどこまで市場を抑えるかが勝負になると思っている。

京セラの発表で気になるのはデータを集めて処理を行うクラウドもSigfoxの物を使うと発表している点である。Sigfoxは既にサービスまで立ち上げているのでアプリも作っており立ち上げを早くするにはSigfoxを使うのが良いことは理解できるのだが、データの扱いをする部分が長期的な産業発展につながるので、そこは自分でやるべきだと思う。おそらく関係者はこの事は十分承知のうえでSigfox社と協議していることと思うが、データを扱う権利は手放さないでほしいと思う。


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