ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

トランプ大統領誕生でどうなるか?

2016-11-11 08:17:26 | 社会

アメリカでは大方の期待を裏切ってトランプ大統領が誕生した。多くの人がコメントするだろうテーマであり、私の意見を書く必要があるかどうか疑問であるが、自分の見方というのがあるので書いておきたい。

・トランプ大統領の経済政策

トランプ氏が選挙中に語った公約や発言の殆どは選挙に勝つ手目のもので、本気で実行する気はないだろうと私は見ている。選挙に勝つために、現政権行っていることの問題点を指摘することが目的で、解決策は持っていない(言っているが本気で考えていない)と思っている。その中でも私が、「これはやるだろう」と思っていることがいくつかある。

一つは公共投資である。白人の生活が苦しくなってきた人たちに対応することは必ずやるだろう。大部分の政策はメリットとデメリットがあり、実行に踏み込むことは難しいが、大統領の権限を使ってバラマキを行うことはできる。大規模な公共投資は間違いなく行うと思う。おそらくこれがトランプ大統領の最大の政策になると思っている。同時に減税の多分やるだろうと思っている。富裕層や企業の減税をすると言っているが、これは自分にとってメリットがあるし、産業界が喜ぶだろうからである。こうなると財源が問題となるが、財源は無く、財政赤字が大きく拡大するだろう。次の大統領に負の遺産を残すことになるが、そのようなことに配慮する人ではないと思っている。

・トランプ大統領の外交政策

トランプ氏は選挙中に移民の制限、海外派兵の見直しなど色々発言しているが、どれ一つとして本気でやろうと思っていることは無いのではないかと思っている。しかし、アメリカが世界のリーダの地位を降りて孤立主義的方向に向かうのは確実だと私は思っている。それはトランプ氏の意思で行うというよりは他の国がアメリカをリーダと認めなくなるという要因が強いと思っている。G7の会合などでは、トランプ氏は殆どまともな会話ができず、他の首脳から馬鹿にされるだろうと思っている。トランプ氏も面白くないのでG7には力を入れずにむしろG20のほうを重視するようになると思う。これは日本の鳩山首相、菅首相なども同じような感じだったと思っている。世界的に大きな紛争が起こった時のリーダシップを誰が取るか、おそらくリーダ不在で、国連は動けない、という感じになるのではないかと思っている。

トランプ氏に代わって存在感を増すのが中国だろうと私は思っている。世界で最も影響力のある人はこれまではアメリカの大統領だったが、その地位は習近平国家主席に移ると思う。中国はその気になって準備を始めるので2年くらいは周辺との摩擦を抑えるのではないかと思っている。習近平氏は見識、実行力共に高く、中国の国力を背景に動くので、多くの新興国は中国の方向を向くようになると思っている。中国はかなり明確な「中国ファースト」なので、世界にとって好ましいとは思えないが、中国主導の方向に世界が動くのは避けられないだろうと思っている。

・日本はどうするべきか?

トランプ大統領の誕生は日本にとってピンチでもありチャンスでもあると思う。貿易の関係、安全保障の関係で、「アメリカが損をしている」と感じている点については色々言ってくるだろう。対応は容易でない部分もあるが、ある意味で日本にとってチャンスでもあると思う。アメリカ大統領の存在感が下がるので世界の大物政治家というと、習主席、メルケル首相、プーチン大統領、の次くらいに安倍首相が来るのではないかと私は思っている。外交的には中国の独走を抑える意味でインドを大切にすることが重要だと思う。

これまでと同じように「日米同盟を基軸とする」と言いながら実態としてはアメリカに頼らずに動ける外交政策を確立し、独自のスタンスを確立すれば良い思う。おそらく安倍首相はこの事を意識していると思う。大きな方針を変更するときには必ず摩擦を生じ、問題が起こる。簡単にはいかないと思うが、「アメリカから求められた」というのは国内向けに大きな説得材料になり、本当の意味での独立を確立するチャンスだと思う。特に安全保障に関しては、考え方を見直すチャンスが来ると思っている。


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8 コメント

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相変わらずの日本メディアの酷さ… (UCS-301)
2016-11-13 12:24:18
今回の大統領選についてはウィトラ様と大筋で同じ意見です。以下に意見の異なるところのみコメンントいたします。

チャイナはチャイナファーストではないと思っています。それはチャイナにはナショナリズムがないからです。あえて言うなら中共ファースト(というか民族的に昔から一族主義、個人主義)です。現在のチャイナはどちらかといえばグローバリズム(つまりクリントン氏)と相性が良いと思っています。唯物論という点や「俺の価値観に合わせろ」というところも共通点です。

習首席については、今までお金だけで周辺国やアフリカを繋ぎ止めていましたが、金の尽きたチャイナに影響力はないと考えます。これは彼と面会したエリザベス女王、比ドゥテルテ大統領の態度などからも明らかです。メルケル首相については、移民政策の大失敗で支持率大幅ダウンという印象です。今世界で一番影響力のある政治家は間違いなくプーチン大統領で、その次が安倍首相だと思っています(少し過大評価かも知れませんが…)。ただ安倍総理は早速失敗してしまいました。選挙前にクリントン氏にだけ面会した(これは外務省の責任)のとTPP批准(完全に周回遅れ)です。TPP合意はクリントン氏ならまだしもトランプ氏では先ず無理でしょう。

今回のアメリカ大統領選の本質は、米国における「既存メディアとグローバリズムの敗北」との認識です。米国のメディア信頼度が低いことは何度かコメントさせていただいていましたが、その通りであることを再確認しました(メディアリテラシーが日本よりもはるかに高いと実感しました)。アメリカ人はメディアが出鱈目だと知っています。日本メディアはリベラルに偏っている米国メディアの論調を面白おかしく増幅して報じていただけでした。取材力は皆無と言えます。藤井厳喜氏や馬淵睦夫氏は最初から完全に今回の結末を言い当てていましたが、TV地上波では決してオファーのない方々です(唯一、藤井氏はDHCがスポンサーのTOKYO MXの番組に出演されていましたが、大手民放ではありません。クリントン氏の選挙事務所がガラガラだと仰られていました)。

日本はどうするべきかということについて、トランプ大統領の誕生は間違いなく”戦後レジーム脱却”のチャンスなのですが、自民党も言い出しっぺの安倍総理ですらこの”戦後レジーム脱却”を言わなくなってしまいました。それとは別に米国はトランプ大統領になってもそれほど変わらないような気がします。それは米国のエスタブリッシュメントが結局トランプ大統領を取り込むからです(勝ったということは既に取り込まれたということかも知れません)。

※冒頭の「アメリカでは大方の期待を裏切って…」に違和感があります。選挙に勝ったのはトランプ氏の方ですので、飽くまで”メディアの期待を裏切って…”ということではないでしょうか。
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中国とロシア (ウィトラ)
2016-11-15 09:58:26
USC-301さん
米大統領選挙では世界の大部分がクリントンの勝利を期待していたと思います。「予想」ではなく「期待」です。

中国とロシアに対する見方はかなり違いますね。
中国は間違いなく「チャイナ・ファースト」だと思っています。特に政府は「中国の利益」を第1に考えていると思います。

プーチン大統領と習主席は私は習主席が上だと思っています。個人のセンスや能力だけでなく国としての存在感、経済力などを合わせて考えています。

ロシアは1991年にソビエト連邦から分離してロシア共和国として成立しましたが、それ以来、目覚ましい発展を遂げたという印象がありません。ロシアに何か強い産業ができているか、思いつきません。

一方中国は鄧小平の改革開放路線以来、目覚ましい発展を遂げて産業的にも厚みができていると思います。今、経済が曲がり角に来ているとはいえ、中国の存在感はロシアよりはるかに上だと思います。
どちらも共産主義国家に競争原理を導入したという意味で似通った体制だと思っています。

プーチン大統領はロシア成立以来、かなりの期間を最高指導者として過ごしてきていますが、ロシアはそれほど発展していない点を見て、私はあまり評価していません。外交は強いが内政はうまくないという印象です。
習主席のほうは、彼が中国を発展させたというより、鄧小平の路線が良かったというのが実態だとは思いますが、ここまで大きくなった中国を把握しており、中国の国力は今後さらに大きくなっていくと思っています。
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中国とロシア (世田谷の一隅)
2016-11-15 12:11:32
USC301さんの見方は面白いですね。かたや「民主的な選挙」で選ばれた大統領と、かたや「閉ざされた密室集団の中を権謀術数で選ばれた国家主席」が、今後どのように国家を維持するか、そして国民を幸せにできるかの課題です。

一方、安倍首相としては、日本として、こんな両国、中国、ロシアを相手にどのように振舞うかの思案どころです。中国、習近平主席は簡単に妥協点が見えないと思いますので、プーチンに接近して、何とか北方四島の奪還と経済活性化をどこまで実現できるかの瀬戸際です。

四島一括返還の線にこだわっている限り、ロシアは絶対に一部でも返さないでしょう。そこに着眼して、半歩でも交渉が進めば、少なくとも「今までの膠着状態より」はましになります。経済活動が進展すれば、これも国益にかなうと思います。

トランプさんが米国大統領に当選したので、日本とロシアが協力する事に、どんな態度を示すかが、一つの鍵ですね。(かつて二島返還で妥協しようとして日本の首相に、米国が恫喝したことがありましたので)。こちらも目が離せません。
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チャイナと北方四島について… (UCS-301)
2016-11-15 22:46:45
私は、チャイナが共産主義国家ではないと認識しております。これだけ貧富の差が激しく、農村部と都市部で戸籍をクラス分け(事実上の身分制度)されている国は共産主義ではありません。そして共産主義に競争原理を導入できようはずもないと思います。(私も最初は不思議でしたが、共産主義ではないとすると合点がいきます。人民を中共の差配で適当に競争させているだけではないでしょうか。そういう意味では極端な新自由主義とも言えます。)中国共産党員とその関係者だけに富と権力が集中している現在のチャイナは疑いなくファシスト国家です。

世田谷の一隅様が取り上げられていましたので北方四島についてコメントいたします。私は四島を一括で考える方が良いような気がします(分割すると話が複雑になるという意味において)。沖縄と同じように四島全体を”段階的”に返還に向かわせる方が良いと思います(時間はかかるでしょうが…)。そのためには当面ロシア軍駐留を認める必要がありますが、トランプ大統領ならばグローバリストではないため、日本が間に入りプーチン大統領と同盟を結ばせることが可能かも知れません。グローバリストたちはロシア天然資源の利権欲しさ(彼らの言うところの”自由化”)に、つい最近までプーチン潰しに躍起でした。日米露の同盟はチャイナ包囲網ということになります。

※ウィトラ様は、世界(の大部分)がクリントン氏勝利を「予想」ではなく「期待」とコメントで書かれていますが、私は「予想」も「期待」も(メディアの裏で実は)していなかったと見ています。それは米国の株価が下がるどころか上がっているためです。
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北方四島 (世田谷の一隅)
2016-11-17 18:06:40
北方四島がどの様な方向になるのか、興味を持って見ています。沖縄の場合は佐藤総理が「潜在主権を認めてもらったうえで、両三年の返還」を実現させた訳です。

一方、ロシアは、北方四島は第二次大戦の結果としてロシア領となったとの既成事実を殆ど譲ってはいません。どの様になるのかを、日ロ両国とも、情報が漏れてきません。つまり、国内の状況を考えると簡単に妥協できない状況です。

UCS301さんの「主張・期待」する様なシナリオで決着がはそれは大きな成果と思います。70年待って、進展がほとんどないのですから、この先50年位で返還されれば日本としては大成果です。

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ところで、最近韓国がおかしくなってきました。結局、民度の低い地域に「一人一票」の民主主義を導入すると、安定するどころか、却って変な勢力に振り回されて、国民の幸福にならない一例ですね。

中国も、確かに共産党独裁政権ですが、国全体が1989年の天安門事件後に民主主義になっていたら、ここまでの経済成長や、国民生活は豊かになっていなかったでしょうね。(←これは中国共産党の宣伝文句と同じかも知れないけど、私は実感しています)。
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今の中国は帝国主義だと思う (ウィトラ)
2016-11-20 18:42:49
中国の体制について、私は最初は共産主義だった、と思っています。正確に言うとマルクスの考え方に心酔した人たちではなく、マルクスの考え方をエネルギーとして利用して国外からの侵略をはねのけて独立を確立したのが毛沢東だったと思っています。
しかし、共産主義では経済が回らないことを認識して鄧小平が競争原理を導入した。一方政治体系では選挙という民主主義の仕組みを導入せずに、共産同独裁を続けた。しかし共産党の目標はもはや共産主義ではなく、「中国を豊かな国にすること」を目標として動いてきた感じがします。それは帝国主義という言葉が一番合っていると思っています。
鄧小平以降の中国の政治は民主化したインド、形だけ民主はしたロシア、欧米追従した日本よりもうまくやってきたと思います。
しかし、この種の政治システムは必ず腐敗する。今、習近平が腐敗を取り除こうと大変なことをやっているが、仕組みとして腐敗防止を作りこめるかどうかは極めて疑問で、いずれ、能力のない人がトップに立ってしまう時代が来ると思っています。
民主主義でも能力のない人がトップに立っているので偉そうなことは言えませんが、そうなったときに改められるかどうかが大きな課題だと思っています。
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毛沢東について… (UCS-301)
2016-11-23 17:29:10
本論から外れますが、毛沢東については『歴史上最も大量に人を殺した』という認識しか持っていません。毛沢東が「国外からの侵略をはねのけて独立を確立した」とのご意見には異論があります(個人的には戦勝国・中共によるプロパガンダだと思います)。事実、中共は国民党軍と日本軍を戦わせて、大戦が終わった後、疲弊した国民党軍を追い出しただけです(コミンテルンの”砕氷船テーゼ”)。

清国崩壊後の支那大陸は満州、チベット、内蒙古、ウイグル(東トルキスタン)はそれぞれ別の国で、チャイナ(共産党、国民党)に統一されていたわけでは全くなく、中原さえ無法地帯のような状況でした(今のイラクのような状況)。つまり旧日本軍の支那駐留はPKOのようなものです。『日中戦争』の原因も共産党に煽られた国民党のにより通州などの日本人居留民を虐殺(文字通り虐殺)したためで、当時「支那事変」と呼ばれていたのは”国家間の戦争”ではなかったためです。(通州事件の写真が架空の”南京大虐殺”の証拠として使い回されていたのは有名な話です。)

「一つの中国」とは、中共や国民党が勝手に言っていることにすぎないプロパガンダだと認識しております。
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中国共産党と毛沢東の実態 (世田谷の一隅)
2016-11-25 14:06:26
私も、USC-301さんの説は、概ね真実だろうと思っています。中国人の多くも、「本音では」肯定していると思います。

だからこの点を問題にしているのは、中国共産党と日本の朝品新聞、毎日新聞を軸とするマスゴミグループなのです。特に日本の、マスゴミの連中に対し、自分でできる対策は、これらの勢力に一切の資金供与をしない、つまり、新聞を買わない、発刊物を購読しない、イベントに参加しないです。慰安婦報道や、サンゴ礁事件の後も、報道の中身は変わっていません。大学までは優秀な成績だった人たちが一旦、こんなグループに就職したとたんに、洗脳されるのは不思議な現象です。

業界ぐるみでおかしな事を進めた場合、例えば証券業界の飛ばし屋損失補てんでは、山一證券がつぶれました。同じように慰安報道捏造事件では、朝日新聞はつぶれるべきだったと思います。それがしたたかに残っている点が、日本の健全な批判精神が育っていない証拠ですね。

他人に「変われ」と言っても、なかなか変わりません。自分でできる選択肢を選ぶことが大切です。一般国民ができるのは、投票所に行くことと、嫌なものに「No」といった態度をとることです。(これは中国では自由にはできませんが、日本ではできます)。
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