ウィトラのつぶやき

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中国の勉強法と日本の勉強法

2014-06-09 16:32:04 | 囲碁

勉強法と言っても学校の勉強では無く囲碁のプロ棋士の勉強法である。私が大学の囲碁部に居た頃は日本のプロ棋士が世界で圧倒的に強く、プロ棋士を目指す人は中国や韓国から日本に来ていた。それが1990年代後半から日本は次第に勝てなくなり、20世紀に入って韓国が覇権を取った。その後中国が強くなって、今は中国が圧倒している。日本は中国にも韓国にもなかなか勝てない。韓国が強くなったのはイ・チャンホと言う一人の天才棋士の影響が大きいと思っているが、中国は集団で強くなってきており、その鍛え方に違いがあるような感じがしている。

最近中国のアマチュアで結構強い人と話す機会があったのだが、中国のプロ棋士の勉強法は集団で徹底的に意見を戦わせるそうである。日本、中国、韓国のプロ棋士の打った碁を徹底的に分析し、「どの方法は良い」というような結論を出す。日本の棋士も勉強しているのだが、日本のプロ棋士は一人で勉強することが多く、中国は集まってワイワイやるらしい。日本でも若い棋士は「勉強会」と言って集まってやっているらしいが中国は頻度がはるかに高いようである。中国では対局数が日本よりはるかに多く、実戦が読みを鍛える場になっていて、勉強は集団でやると言うことのようである。

企業で言えば中国のやり方はオープンイノベーションである。強い棋士同士が集まってこうやると良いのではないかと言う意見を交換する。その中で鋭い手が見つかってくる。日本は一人で研究するのでやはり良い手を見つけにくいようである。私にも経験があるが自分より強い人の意見に「なるほど」と思うことがあり、そこで強くなる感じがすることは少なくない。日本人棋士はタイトルを取るようなレベルになるとあまり集まって研究しなくなるが、中国ではタイトル保持者でも関係なく集まって研究しているようである。

研究と言うと序盤が中心になるが、中盤以降中国の棋士は弱いかと言うとそうではない。日本の棋士はむしろ後半で逆転負けすることが多い。これは私は対局数の違いが関係しているのではないかと思っている。日本の碁は持ち時間が長く、その分だけ対局数は少ない。毎週1局の対局があればかなり多いほうである。1局は1日で終わるので週に1日働いている感じである。中国はその2倍くらいの対局数がある感じがしている。その点でも違いがある感じがしている。

囲碁は日本では文化として捉えられているが中国では頭のスポーツとして捉えられている。この違いも大きい感じがする。文化なので「美しい棋譜を残す」と言うような意識が日本の棋士にはある。中国の棋士はとにかく勝つことを目指して頭をフル回転させる。従って若い棋士のほうが強い。オープンイノベーションで価値を目指して貪欲に戦うほうが勝ちやすい、というのは企業の戦いにも通じている感じがする。



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