ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

地方活性化へのアプローチ

2014-08-25 10:35:23 | 社会

安倍総理が地方活性化を目指して「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げると報じられている。増田元総務省の「このままいけば地方の都市の30%は市として成立しなくなる」という報告者がインパクトを与えているが、本音は選挙を狙ったものだと私は思っている。それでも地方活性化は重要な事柄なので、真剣に取り組むべき課題であることは間違いないと思う。

その一方で道州制などの地方への権限移譲には私はこれまでも慎重論を唱えてきたし、今もその気持ちは変わらない。その根拠は地方自治の人材不足である。大泣き議員をはじめ地方議会議員のモラルの低さを示す事態は後を絶たない。地方自治の核となる選挙で選ばれた議員や首長の意識が低いからだと思っている。この状態で権限委譲してもうまくいかないことは明らかで、特区などで実験的に少しずつやるべきだと思っている。

安倍総理の取り組み方に関しては大いに疑問を持っている。これまで報じられた内容を見ると「特産品を作る後押し」とか「地方でベンチャー企業を立ち上げやすくする」とかいった政策が言われているが、それは地方が強くなって自立できる方向よりは、今よりましにはなるが弱い状態であり続ける「生かさず、殺さず」の政策に見えるからである。

地方を強化するには大企業の本社が日本中に分散するような方策を考えるべきである。今、日本の大企業は殆どが東京に本社を構えている。地方に本社がある企業でも「東京第2本社」とかいって本社機能を東京に構える企業が大部分である。その理由は政策決定のプロセスにあると私は思っている。日経電子版の経営者ブログでオリックスの宮内氏が以前書いていたが、「オリックスは元々大阪の企業だったが本社を東京に移した。その理由は地方にいては産・官・学の密接なトライアングルの中に入れないから」ということである。

大企業になると政策決定の事業への影響も大きくなる。その政策決定は官僚がドラフトするのだが、そのドラフト案は官僚が大手企業のトップと非公式な打ち合わせを繰り返して練り上げられていく。公式な政府の会議でも基本は2時間で実質的な決定というよりは決定したことを周知し反対がないことを確認するプロセスとして用いられている。このやり方だと、地方に本社を構えている企業は明らかに不利になる。

アメリカや、ヨーロッパでは地域的な広がりが大きすぎて日本のような頻度の高い面談の打ち合わせは難しい。殆どがテレコンで、面談するときはホテルに泊まり込んでじっくりと話す。日本政府もこう言った手法を取り入れるべきだと思う。こういった手法は官僚の意思決定プロセスを透明化するので抵抗が大きいだろう。しかし、官僚の中にも透明なプロセスをサポートする人たちはいるので、やってできなくは無いと思う。

地方再生は、バラマキでは実現せず、官僚の意思決定プロセスの見直しが鍵だと私は思っている。



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