ウィトラのつぶやき

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アルファ碁、トッププロに三勝一敗

2016-03-13 16:24:10 | 囲碁

囲碁の記事ばかりが続くが、注目のアルファ碁対イ・セドルはアルファ碁が3連勝した後で、イ・セドルが一勝を返した。5番勝負なのでアルファ碁の勝ちが決定した。

第3局は、イ・セドルが序盤から激しい戦いを挑んだがうまくアルファ碁にいなされて序盤からアルファ碁が優勢になった。優勢を築くまでは人間とあまり変わらないような手が続いた。優勢になってからの手堅い打ち方が印象的だった。アルファ碁はこのプロ棋士のような形勢判断を行っていることが明らかになった。かなり早い段階で優勢になったので最善手よりも簡明に終局に向かう手を目指していることが明らかになった。勝つ確率の高い手を目指すという意味でプロの形成判断に相当する行為を行っているとすれば、これはまた新たな発見である。

囲碁のプロ棋士は形成判断をするが、この判断には2種類ある。一つは着手を決めるためにどの手が一番有利になるかを判断する形勢判断である。グーグルはこの判断のプログラムの良いものを開発したと言っている。しかし、プロ棋士が形成判断というのは少し違っていて、全体として優勢かどうかを判断して、優勢なら多少損をしても手堅い手を打つ。劣勢なら挽回しようとして難しい手を打つ、というように勝ちに持ち込むテクニックの一つである。

昭和の名棋士、趙治勲は大先輩の高川格氏に対して、「無理な手を打たずに常に5分の別れになるので、常に形勢判断をしている」と評している。一方、同時代の坂田栄男氏に関しては、「優勢でも常に最善の手を目指しているので普通の意味で形勢判断をしているとは思えない」と評している。趙治勲自身は基本は最善手を目指して読みの判断を行っているのだが、終盤で優勢だと思うとモードを切り替えて勝ちきりを目指す。この時は多少損でも手堅い手を打ち、このモードに入ってからは逆転負けは見たことがない。普通の人間の棋士は割りに早い段階で優勢を意識して戦いを避けて逆転負けを期することがあるのだが、趙治勲はやや優勢くらいの時は最善手を目指して強い手を打つので、逆転負けをする時は戦いで逆転負けをする。コンピュータはこのモード切替が柔軟にできるのだろうか?

第4局は、イ・セドル9段が勝った。アルファ碁が黒だったのだが中央に大きな黒字ができそうになって、「また、アルファ碁の勝ちか」と思ったのだが、イ・セドル9段が妙手を打って黒地が破れて明らかに白が優勢になった。コンピュータは読みが強そうだが、広い範囲が関係する複雑な読みでは今一つなのかもしれない。興味深かったのは、この黒地が敗れた直後に、これまでのアルファ碁とは思えないような意味不明の手を何手か打ったことである。まるで人間が動揺したような感じだった。しばらくするとアルファ碁は気を取り直したように、またまともな手を打ち始めた。アルファ碁は形勢が悪くなるとおかしな碁を打つようである。

 


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