ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

エスカレータ片側乗りは良くないことか?

2014-04-01 08:57:18 | 生活

今朝、散歩をしながらNHK第1のラジオを聴いていたらある女性が、「エスカレータの片側乗りは良くない」という主張をしていた。「片側乗りは危ないし、手すりにつかまれない人もいる。私が子供の手をつないで横に並んで乗っていたら後ろから声をかけられたり、ぶつかられたりした」と言っていた。アナウンサーが「そうですね。小さいお子さんに配慮してあげなくては」と相槌を打っている。

私の考えではこの女性がマナー違反である。自分の都合だけを考えて、他の人に配慮していないと思う。エスカレータの片側乗りは誰かが決めてやったことではない。30年くらい前はエスカレータで歩く人はいなかった。それが特にルールを作ってアナウンスをしたわけでもないのにいつの間にか片側乗りが定着してきた。私の経験だと、ロンドンの地下鉄に乗った時に皆片側に乗っていて、空いているほうを歩いている人がいた。これは良い方法だと思った。しばらくしたら日本でも定着してきた。「歩きたい人もいるだろうから、できるだけ片側に乗って歩きたい人が歩きやすいようにしてあげよう」というマナーの心がこれを実現させたのだと思う。

しかし、この女性のように「危ないから歩くのは止めさせよう」という意見が強く、JRはエスカレータの上では歩かないでください、というポスターを張り始めたという。そしてこの女性は「エスカレータで歩く人はマナー違反だ」という。マナー違反の人の意見が、マナーの心を逆にマナー違反にさせたと私は感じている。「危ないから」という理由で非効率がどんどん積みあがっていく。現在の日本の脆弱性の一端であると感じている。

マナーというのは相手への配慮から生まれるもので、強制されるものではないと私は思っている。マナーを放送でアナウンスしたりするのは不適切で、それはもはやマナーではなくルールである。「電車の中で携帯電話を使うな」というのもマナーなはずだったのだが鉄道会社が半分ルール化してしまった。こうすることで「言われたとおりにしている」が「マナーにあっている」になってしまい、逆にマナーの心は失われていくのではないだろうか。

マナーにはそれなりの理由がある。茶道でお茶を飲む前に茶碗を回すのもマナーだが、そのマナーが生まれた理由はある。時代とともに理由が必要なくなって形式だけになってしまうものもあるが、茶碗を回す理由は今でも有効だと思う。そういった理由を理解して他人への配慮を考えさせる、そういう文化をオリンピック前に見直すべきだろうと思う。ルール化してポスターを張ったり、車内放送を繰り返すのではなく、日常会話でそういった心が伝わるのが本筋だと思う。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿