真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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停戦を最優先して考えれば、結論は、・・・

2024年08月25日 | 国際・政治

 先日、朝日新聞の「時事 小言」欄に”米大統領選 「未来」をまとうハリス”と題する藤原帰一教授の文章が掲載されました。私は、ハリス応援団の活動家のような文章だと思いました。

順天堂大学特任教授 国際政治)という立場で書く文章ではないような気がしたのです。

 私は、アメリカのバイデン政権(DS)の影響下にある教授が、朝日新聞の読者を、自らの側に引き込むために書いた文章のようにさえ思いました。客観的事実に基づいて、現状を分析したり、考察したりされていないように思ったのです。ハリス候補を持ち上げ、トランプ候補を痛罵するだけの文章は、国際政治の学者が書く文章ではないような気がしたのです。

 その文章のなかに、

”バイデンの再選断念は、しかし、稀に見る政治的結集を引き起こした。バイデンが候補なら大統領選ばかりか、上下両院も共和党に奪われてしまう。何よりも、トランプが再び大統領になれば民主党ばかりかアメリカ政治が破滅する。その恐怖のために民主党はハリス候補支持にまとまったのである

 とありました。トランプが再び大統領になれば、”アメリカ政治が破滅する”、とはどういうことでしょか。

 それは、アメリカ政治の破滅ではなく、正確に言えば、”DSの破滅”ということではないのでしょうか。

 そして、トランプ候補の公約「DS(=闇の政府)解体」が実施されれば、多数の連邦政府職員の解雇や離職が予想され、行政機関のキャリア官僚の権限も削減されて、大手メディアや国際政治に関わる大学の関係者、研究機関の関係者などDSの影響下にある人たちが、自らの立場が危うくなることを、”アメリカ政治の破滅” として恐れているということではないのでしょうか。

 また、私が、日本の大手メディアが、バイデン政権(=DS)の影響下にあると思うのは、みな判で押したようにハリス候補を持ち上げ、トランプ候補を批判し、非難する傾向が強いからです。

 トランプ候補を支持する姿勢を示し、ハリス候補を批判したり、非難したりするメディアは日本にはないような気がするのです。

 でも、私は、海外基地から米軍を撤退させたり、”私は新たな戦争を始めなかった、ここ数十年で初の大統領となったことを特別に誇らしく思う”と述べたり、「ウクライナ戦争を終わらせる」と語り、さらに、「私が大統領なら、ハマスのイスラエル襲撃はなかった」と主張するトランプ候補を、もっと高く評価するメディアがあってもいいのではないかと思っています。 

 また、ウクライナでの「代理戦争」が続けば世界規模の戦争に発展する危険性がある、とか、外交政策のロシアが最大の脅威だというのはデマだ、とか、私たちを永遠に終わらない戦争へと引きずり込むグローバリストとネオコン、ディープステートの完全解体とNATOの目的と使命の見直しが必要だというような、トランプ候補の主張は、でたらめでしょうか。私には、そうは思えないのです。


 下記は、今、イスラエルに対する報復攻撃が予想されるイランの過去をふり返るために、「イラン 世界の火薬庫」宮田律(光文社新書303から、抜萃した文章です。

 当時のイランでは、「イスラエル国家の移転」を唱える、強い反米・反イスラエルのアフマディネジドが大統領でしたが、イランはきちんと約束が果たされれば、共存可能な国であることがわかると思います。イスラエルやアメリカが、イランの内政に干渉したり、イランの弱みにつけこんだりするから、イランの政治家は、イスラムの教えに固執するようになり、共存が難しくなるのだと思うのです。

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                          はじめに

 社会的変化

 核問題で揺れるイランを20069月に訪問した。

 2005年に大統領に就任したアフマディネジャド大統領の急進的な主張を聞いていると、イランでは厳しい社会的引き締めが行われているのかと思ったが、その予想は簡単にくつがえされた。イラン革命の指導者ホメイニの存命中は、女性のイスラム・コート(身を覆うコート)はひざ下までなければならなかったが、現在ではひざ上20cmから30cmぐらいはありそうな短いものを身につけている女性が数多く街を歩いている。

 また、インターネットへの規制は厳格に行われておらず、私が開けようとしたサイトで接続できないのはなかった。戸外では厳しく禁じられている肌を露出した女性の姿もインターネットを通じて見ることができた。

 伝統的な喫茶店に行くと、紅茶を飲みながらデートする若いカップルの姿を目にした。1979年の革命で成立したイスラム共和国体制は、未婚の男女のデートをイスラム的規律に反するものとして禁じていたが、現在ではそうした規制も歯止めがきかなくなっている。夜の街では若者たちがオートバイの曲芸乗りをし、爆音を上げて走行している。

 首都テヘランの「銀座」ともいうべきヴァリー・アスル通り(王政時代のパフラヴィー通り)を歩くと、高級な婦人靴や衣料品もずらりと並べて売られている。テヘラン北部の比較的高級な住宅街では、イスラムでは不浄視される犬を連れて散歩する人たちの姿も見かけた。

 このように、イスラムの戒律を厳格に適用したイスラム共和国でも欧米文化が浸透し、その社会的変化は容易に止められそうにない様子だった。

 しかし、社会的変化はともかく、イスラム共和国政府が体制を揺るがすような政治変動を認めるわけにはいかない。イスラム共和国体制の安定や継続は、アフマディネジャド大統領などイランの政治指導者にとって最も優先すべき課題であることに違いない。

 イランではハタミ元大統領時代に雨後の筍の如く改革派の新聞が現れたが、現在では反政府運動の芽は厳しく摘み取られているので、反政府的な新聞を目にすることは全くなく、顕著な反体制組織も存在しない。アフマディネジャド政権になってメディアへの締め付けは明らかに厳しくなり、政府による抑圧的な方針は目に見えて強まっている。

 

 イラン政治の特色

 19896月に他界したホメイニ廟を訪ねた。テヘランの中心から廟があるベヘシュテ・ザフラーまで地下鉄で移動した。この地下鉄は中国企業が建設を請け負い2000年に開通したが、石油需要が急速に伸びる中国と世界でも有数の産油国であるイランが経済関係を強めていることを地下鉄に乗ってもうかがい知ることができた。

 バスは男女の席が厳格に分けられているが、地下鉄は女性専用の先頭車両を除いてそのようなことはなかった。私の前に座ったイラン人の夫婦は、テヘランからおよそ150キロ離れたところに位置するカーシャーンから来たといってホメイニ廟がある駅で降りた。

 ホメイニ廟は、ホメイニが亡くなった直後は彼の石棺を追うだけの小さな建物でしかなかった印象だが、いまや巨大な建造物となった。廟の敷地には、いくつかの付属の宗教施設が建てられ、レストランなどが入るショッピングセンターもでき上がっている。地下鉄やバスを使って、宗教心に富むイスラム共和国体制を熱烈に支持する、地方のあまり豊かでない人々が廟を訪ねている様子だった。彼らは大きな布を地面に敷いて、その上に家族で座り、食べ物や飲み物を口にして会話に興じている。

 ホメイニ廟に見られるように、イスラム共和国は、その体制のイデオロギーを普及することには多くの予算を費やしているようだ。

 廟にある書店では、イスラム共和国のイデオロギーを宣伝する書籍が売られていたが、こうした書籍は政府の補助金によって非常に安く手に入るようになっている。イラン革命のイデオロギーに忠実な「革命防衛隊」が経営する書店やビデオショップでも、ホメイニやハメネイ最高指導者のポスター、イラン・イラク戦争で戦死した革命防衛隊の司令官たちの写真、また、イラン・イラク戦争のドキュメンタリーVCD(日本のDVDのようなもの)やイスラムの聖職者の説法が安価な値段で売られている。こうした書店やビデオショップ街を歩くのは、ほとんどが革命防衛隊か、民兵組織スィージュのメンバーであると教えられた(革命防衛隊とバスィージュについては第2章で詳しく述べる)。どの顔を見ても、人の良さそうな「おじさん」や「お兄ちゃん」ばかりだ。

 イランではアフマディネジャド政権になって、大統領自身がそうであるように、この「革命防衛隊」の出身者たちが政治や社会の中枢につくようになった。数千人の文民の政府官吏が「革命防衛隊」の出身者にとって代わられたという見積もりもあるほどだ。イランの州は30あるが、そのうちの11州の知事は革命防衛隊の出身者である。

 ごく普通に見える「お兄ちゃん」たちが革命防衛隊である背景には、若者の就職難がある。最近は、原油高によってイラン経済に追い風が吹いているといわれるが、著しい人口増加(王政末期は3300万人ぐらいで、現在は7000万人とも見積もられる)、イラン革命やイラン・イラク戦争、またアメリカの経済制裁などの影響によってイラン経済はずっと苦境であり、失業率は15%を軽く超えると見られている。つまり、経済的に豊かではない層は、革命防衛隊に入ることによって職や社会的ステータスを得ようとしているわけだ。

 イランでは大統領選挙は公平に行われているのかと現地のジャーナリストに尋ねたら、革命防衛隊や、民兵組織のバスィージュが選挙に大量に動員されて、革命防衛隊出身のアフマディネジャド大統領に投票したのだろうという回答が返ってきた。

 パスィージュのメンバーは800万人もいて、それが体制を支える装置として機能し、反政府的な考えや動きをする人物がいないか監視している。また、政府主催の集会や体制支持のデモにもバスィージュが動員されている。このように、抑圧的な権威主義体制と、政府よる大衆動員は現在のイラン政治の特色だ。



 経済格差 ・・・略



 特殊な信仰

 アフマディネジャド大統領も、ホメイニ廟を訪ねる多くの人々と同様に、地方の貧しい保守的な家庭の出身である。彼は、イスラム・シーア派の聖地であるコムの「ダール・ラーヘ・ハグ」という神学校で学んだ。この神学校で学んだ学生たちは、「イスラエルの抹殺」の提唱など急進的なイデオロギーを身につけるが、現在ではそうした思想がイラン政治に影響力を持つようになった。

 アフマディネジャド大統領のイスラム解釈は、イラン国内でも。波紋を呼んでいる。

 大統領は第十二代イマーム(シーア派が考える預言者ムハンマドの後継者)が地上に間もなく再臨することを説いている。イランで信仰されるシーア派十二イマーム派は、初代イマームのアリー(預言者ムハンマドの娘婿で、シーア派から唯一の正当な後継者と考えられている)から数えて12代目のイマーム(幼少の頃行方不明となる)が、信徒の苦難の時代に正義と平等をもたらすためにマフディ(救世主)としてこの世に再臨すると考える。

 このように、シーア派はイスラム共同体の最高指導者として預言者ムハンマドの血筋を重視するが、それに対してイスラム世界の多数派のスンニ派(イスラム世界総人口の90%を構成するとみられる)は、預言者ムハンマドの後継であるカリフや、その後のイスラム王朝が預言者の正統な後継者と見なす。

 アフマディネジャド大統領はマフディの存在をすでに感じていて、2年後に再臨すると2006年に訴えている。こうした考えは、マフディの再臨の時期を明確にしていない正統な12イマーム派の考えからかけ離れている。

 アフマディネジャド大統領は20059月に国連で演説した後、彼自身が神聖な緑(イスラムの色)の光によって囲まれていることを訴えた。アフマディネジャド大統領は、宗教的事象についてはハメネイ最高指導者でなく、強硬派と言われるコムのアーヤットラー(シーア派の高位聖職者の位階)のモハンマド・タギー・メスバース・ヤスディ師の教示を得ているとされている。コムなどシーア派神学研究の中心地にある神学校で記憶中心の教育が行われれば、ヤスディ師のような急進的宗教指導者の、反米・反イスラエルを強烈に説く過激な訴えが学生たちの頭に容易にインプットされることになる。



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