真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

HPは hide20.web.fc2.com
ツイッターは HAYASHISYUNREI

またか、またか、

2024年08月04日 | 国際・政治

 731日、朝日新聞は、また、下記のような記事を掲載しました。バイデン政権とゼレンスキー政権の進める戦争戦略を支持する内容だと思います。”あきらめないことを示せた。ウクライナ人は、決してギブアップしない” とウクライナ人のメダリストに、ロシアと戦うことを呼びかけさせているように思います。

 似たような内容の朝日新聞の記事は、これで何度目でしょうか。

 ある時は、日本に避難したウクライナの音楽家に、ある時は、日本に留学しているウクライナの学生に、ある時は、ウクライナのバレーダンサーに、”ロシア憎し” の思い抱かせる話をさせてきたと思います。

 問題は、いかに平和を回復するか、だと思うのですが、”ロシアが2014年に併合した南部クリミア半島および親ロ派武装勢力が支配する東部ドンバス地域(ドネツク、ルガンスクの2州)を奪還するまで戦う”というゼレンスキー大統領の主張と同じで、ロシアとの話し合いに向かおうとする姿勢がないのです。

 したがって、下記のように「戦い」を鼓舞するようなことをメダリストに語らせることは、戦前の日本における「軍国美談」に類するものではないかと思います。

 ”ウクライナ 希望の初メダル

フェンシング女子サーブル個人のオリガ・ハリラン(33)が、ウクライナ代表の今大会メダル第一号となった。29日の3位決定戦で韓国選手に15─14で逆転勝ち。銅メダルを手にした。

 昨夏の世界選手権で「中立選手」の立場で出場したロシア選手に勝った後、競技規則にある握手を拒否して失格になった。

 記者会見で、ロシアの母国への侵攻に触れた。『2年半、自分の国で戦争が起きている難局の中、このメダルが少しでも喜び、希望になればと願う。私の3位決定戦での戦いが、あきらめないことを示せた。ウクライナ人は、決してギブアップしない」

 夫はイタリア代表のルイジ・サメレ(37)で、27日の男子サーブル個人で銅メダルを獲得した。(稲垣康介)”

 また、アメリカを中心とする西側諸国は、ロシアがウクライナに侵略し、クリミアやドンバス地方を一方的に編入したと主張し続けていますが、事は、それほど単純ではないのです。大戦後のクリミアの歴史をふり返り、ドンバス戦争をふり返れば、それがわかると思います。

 対立があれば、その両方の主張をしっかり受け止め、話し合いによって法的に解決する努力をすることが必要だと思いますが、ウクライナ戦争では、それができませんでした。覇権や利益第一の大国が、武力に頼っているからだと思います。

 アメリカが主導したマイダン革命によるヤヌコビッチ政権転覆2014年)以降、新政権による攻撃を受けるようになったドンバス地方の多くの人たちが、ウクライナを離れ、自らロシア編入を望んだということに目をつぶって、ロシアが一方的に編入したというのは、事実に反すると思います。

 また、国際紛争は平和的手段によって解決するという普遍的原則を逸脱して、軍事力で解決しようとすることは許されないのであって、ウクライナ戦争も決して例外であってはならないと思います。

 現在は、かつて欧米がアフリカや中東、アジアや中南米の大部分を植民地支配し、自らの覇権や利益のために、逆らうものを力でねじ伏せていた時代とは違うのです。国連憲章にあるように、”われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認”したのです。

 

 もう一つの ”またか” は、ベネズエラの大統領選に関わる、アメリカのブリンケン国務長官の出した声明です。野党統一候補で元外交官のエドムンド・ゴンザレス氏(74)の勝利は明らかだというのです。「選管の結果発表には深い欠陥があり、国民の意思を代表していない」などと踏み込んだことも言っているのです。だから、私は、またアメリカが反米的なベネズエラの左派政権を転覆すべく陰で動いているように思うのです。

 もちろんベネズエラには、マドゥロ政権に不満を持つ人たちもいると思います。アメリカと取引したい経営者やアメリカの文化に興味を持ち、もっと交流を深めたいという人たちも少なくないと思います。

 でも、見逃してはならないのは、アメリカはそういう人たちを支援し、利用して、反米的な左派政権の転覆をくり返してきたという事実です。そういう意味で、中南米でアメリカの関与を受けなかった国はほとんどないと思います。アメリカは、一貫して反米的な政権の国では、反政府勢力を支援し、政権を転覆するために動き、親米的な政権の国では、政権とともに反政府勢力を抑え込んできたと思います。

 特にベネズエラは、世界最大の原油埋蔵量を誇る国です。世界中でアメリカ離れが進む現在、アメリカは何とかしてベネズエラを親米政権の国に変えたいのだろうと思います。

 朝日新聞は、そうしたアメリカの戦略に追随して、”強権政治の混迷を憂う” というような記事を掲載し、”政権交代を求める市民が各地でデモを続け、衝突による死傷者が報じられている。政権はこれ以上、流血の悲劇を重ねてはならない” などと、アメリカの関与はないかのようなことを書いています。

 でも、そうした流血の悲劇を助長しているのが、アメリカであろうことは、ウクライナのマイダン革命が示していることだと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする