今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

自主避難判断のために

2015年09月11日 | 防災・安全

3.11ならぬ今日9.11は何があった日?

愛知県民なら、東海豪雨の日(2000年)と答えてほしい。

昨日、東日本に水害が発生したこともあり、河川災害の防災について考えたい。

災害大国である日本の国民は、防災についての意識・知識をしっかり持たなくてはならないのに、
いまだお上任せの人が多い。
行政は反省はしても責任は取らず、被害を受けた方が損するだけ。 

そこで、気象予報士・防災士である私が、自分の大学で実施している防災教育からその一部を紹介する。
この授業の目標は、「行政のアナウンスに頼らず、自分で避難判断ができること」にある。
そのために必要なのは、「情報の獲得」である。

必要な情報は、大きく二つに分れる。
①自宅の災害危険度の把握…事前にやっておく
②リアルタイムの情報の把握…情報の受信態勢

避難判断は①と②を合わせて行なう。

①自宅の災害危険度について、授業では受講者にレポートとして提出させている。
まず、平時に①をやっておく。
これは一度やっておけばしばらくは更新しなくて良い。

○自宅周辺の地形:地形区分、標高、河川からの距離と高度差、地盤の軟らかさ、土砂災害危険箇所からの距離

地形区分と地盤については「地震ハザードステーション」のサイトで、自宅の地域を入力すれば表示してくれる。
あとは地形図から割り出す。

※なお、ここで紹介するサイトは、自治体のサイト以外は、私の気象サイトの「防災情報リンク」にリンクが貼ってある。

また、居住自治体が発行している「洪水ハザードマップ」も必要
(ただし、ハザードマップは過去の水害を基準に想定してあるので、その危険度を絶対化しないこと。相対的=周囲との比較、に見ること)。

居住自治体が必ず発行している地震・洪水ハザードマップをいまだ見ていない(自宅の想定震度・想定浸水度を確認していない)人は、
そもそも防災を語る資格がないと思ってほしい。
あなたが該当するなら、この記事を読む前に、
まずはそれを見ること→居住自治体(市区町村レベル)サイトの防災ページに必ずリンクしてある。

もっとも近い雨量観測地点、水位観測地点の把握も把握しておく。
これは国交省のサイト「川の防災情報」から確認できる(ブックマークに登録しておくとよい)。

右図は、そのサイトの茨城県南西部の鬼怒川流域の水位観測地点(△▽印)と雨量観測地点(○印)。
これらをクリックすると、その地点の時系列データが表示される。

○自宅の危険度:家屋構造(木造、鉄骨・鉄筋)など。これは各自で。
水害の場合、屋根や屋上に避難する方法を考えておく。 

○避難路:避難所までのルート、途中の危険箇所(水路、土砂災害危険箇所)。
途中の危険箇所は事前に実際に歩いて確認する(これも受講生にレポートを課している)。 

②リアルタイムの情報把握

リアルタイムだから、ネット情報(ネットがつながらない場合はテレビのデータ放送)。
降水レーダーは必ず動画にして降水域の移動方向を確認すること。
動画にしても強い降水域が移動していない場合が危険!

気象庁のアメダスは設置間隔が広すぎるので、国交省の雨量計を参考にする。
川の水位も同じサイトで確認する(川の様子を見に行かないこと)。
その際、必ず表示間隔を「10分」に直すこと(初期設定は60分なのでリアルタイムの防災に使えない)。

避難判断の基準

○大雨が続いていて止みそうになく、家の近くに土砂災害危険箇所がある。
大雨が止みそうにないとは、レーダーで強雨域が移動しない=線状降水帯、
テーパリング雲の下になっているということ(専門用語は自分で調べて)。

○川の上流域に大雨が続いており、水位が上昇し続けることがわかっている。
まず、増水した時の川幅は、今の水流の幅ではなく、川を横断する橋の幅を想定すること。
自宅の上は雨が降っていなくても、大きな河川だと洪水になる。
水位情報のサイトを睨めっこして、「避難判断水位」になったら、
避難するつもりになる(増水のペースにも注意。増水ペースが速いなら避難を開始する)。

さらに増水して「氾濫危険水位」に達したら、すぐにでも避難する
(たとえ、地元自治体から避難勧告・避難指示が出ていなくても!)。
これらの判断には、大雨の状況・予想も考慮に入れる。 

なお、避難に時間がかかる人がいる場合は、避難判断のハードルを下げる。 

判断基準として、避難路が冠水する前に逃げる。 
というより、冠水したらもう逃げられない。 

冠水した道路を移動する場合は、道の端と中央の歩行は避ける。
端には側溝があり、中央は蓋の開いたマンホールがあるかも。
だから道の端と中央の間(1/3の所)を進む。 

ただし、夜間の避難はそれだけで危険だ。
夜間に避難しなければならない可能性を明るいうちに想定するしかない。
これは難しい。
でも最後に一言。

避難は遅すぎすると確実に被害に遭うが、早すぎてまずいことはひとつもない。
だから、迷ったら避難だ。