今年の展望

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
　
さて、年初から、株価・商品上昇、為替は行ったり来たりでだいたい予定通りの動きとなっているが、例年通り今年の展望をしてみよう。従来の考えに特に大きな変化はないが、あらためて現時点での数値を入れつつみていくことにする。

昨年の新年予測では、ダウの上昇もせいぜいフィボナッチの50パーセント戻り（10500ドル程度）となり、秋ぐらいからは下降、そして円高、と予測していたが、意外に粘り腰を見せた株価だった。すでに、ダウは60パーセント以上を戻しており、さらにしばらく上昇が期待されそうだ。

この意外な株価の上昇の原因は何だろうか。企業の業績の急回復によるのだろうか。それは以前から見ている株金レシオの原理をよく考えてみれば、すぐに否定される。示したチャートはダウゴールドレシオの月足であるが、2008年の株価暴落から2年、株価の大きな上昇にもかかわらず、ダウゴールドレシオは8から9あたりでまったく動いていない。つまり、ダウ1単位分を買うのに金8から9オンスが必要というトレードバランスは2年間まったく変わっていないのである。ダウが上がったように見えるのは、単に、金に対して、ドルが減価しただけに過ぎないのだ。金がある種の絶対的価値を示すという仮説に従うなら、株の価値は下落したまま、まったく横ばいだったのだ。

今年も米国のQE2（第二次量的緩和）が進むにつれて、ドルの減価がさらに進行するため、ドル建て株価は今後もう一段上昇すると思われる。ダウで13000ドルというような意外な数値が実現する可能性もあるだろう。しかし、企業業績は向上していないため、全体としての、P/Eレシオ（PER)がどんどんと割高になっていき、株価の形成がいびつな構造となっていくはずだ。ついには、その無理が頂点に達したところで、株価が大崩落することになると思われる。株が崩れたその次の段階では米国の財政問題もクローズアップされ、株安・債券安・ドル安のトリプル安が発生する。これらの問題発生の時間的予想としては、まずはQE2の終了が予定されている6月あたりを目処としておきたい。

商品価格も同様な動きを示すと思うが、金だけは（もしかしたら銀も）株価下落に引っ張り込まれて、利益確定の売りで一度落ち込むものの、ドル減価相応の価格にたちまち復帰し、さらにこのあとの本格的なドル減価につれて大上昇していくと思われる。2011年末には2000ドルを超えていることはかなり確率が高いものと思う。

為替の予測は今年も中期展望がとてもむずかしいが、前半の株価上昇期は、ドルのレンジ相場（ユーロドルで1.4程度まで）となり、株価下落時に、一時的ドル高、その後、米国トリプル安にともなって、ドルの独歩安に移行するという複雑な動きを考えている。したがって、基本為替ペアで見ると、

1　ドル円　春まで、85円（から90円？）程度まで円安による上昇の後、株価下落にともなって大きく円高となり、夏以降再度80円付近へ。年末あたりからは、ドルの独歩安により、80円を割り込む相場へと。2012年には70円割れもあり得るか。

2　ユーロドル　年内大半は1.3から1.4あたりのレンジ相場。ドル安にともなって来年にかけて1.7あたりを試す可能性も。

と考えている。

したがって、中期トレードの方針としては、現在のドル円、豪ドル円などのロングはしばらく継続。ドル円は適宜ショートに転換。じっくりと70円近辺まで待つ。豪ドル円は、ドル独歩安であまり下がらないと予測されるので、70円台の下あたりまで行けば長期目線でのロングが望ましい。前のような50円台というレベルはもうしばらく（数十年）ないのではないか。ユーロドルは中長期が難しいので、ドル独歩安期に思い切って短期でロングで動かすのがいいかもしれない。

金は大きくさげても押し目買いに徹していく。2012年から2013年あたりの3000ドルをひとつの目標にそこまではひたすら買い。しかし、天井の値以後はひじょうに大きく下落するので、長期投資には適さないと見る。2000ドルを超えてからは要注意だが、場合によっては4000ドルレベルも考えられるので高値での取引は慎重を期したい。なるべく下で大きくロングできるよう1500ドルあたりでのトレードを気をつけていくつもりである。株価の大きな下落時が最大のチャンスとなるだろう。