博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

李国立版『射英雄伝』その5

2008年10月29日 | 武侠ドラマ
『射英雄伝』第29~35話まで見ました。

黄蓉・洪七公・欧陽克が無人島に漂着したあたりから牛家村で郭靖が黄蓉と7日間楊康に刺された傷の療養に励むあたりまで。

穆念慈を思っていたはずの欧陽克は原作通り無人島でやけっぱちになり、黄蓉に手を出そうとして彼女の罠にはまって下半身不随となり、欧陽鋒もこれまた原作通り欧陽克と父子の名乗りをかわして親身に世話をするわけですが、無人島を脱出した後はドラマオリジナルの設定通り「武術が出来ない者など我が子ではない!これからもワシのことは叔父上と呼べ!」と一転して欧陽克に対して冷淡になります。

このあたり原作の設定とドラマ版の設定との融合がどうもうまくいってないなあと感じましたが、あるいは人前で欧陽克から「爹」と呼ばれたくないだけという単なるツンデレなのかもしれません(^^;) それにしても航海のシーンで船と海があからさまにCG合成なのが泣けます…… おまけに周伯通が鮫に乗って再登場するシーンも何気なくスルーされてます。

その後楊康と欧陽鋒が武穆遺書の奪取に尽力することとなり、人質として穆念慈と欧陽克が完顔洪烈に付き従って燕京に向かいますが、そういや欧陽克って牛家村で穆念慈に手を出そうとして楊康に殺されているはずですよね?欧陽克の寿命を延ばしてどうするつもりなのか、ちと楽しみです。

それにしても郭靖に九陰真経を教えろと迫ったり、燕京がモンゴル軍に包囲されたと聞いて、チンギス・ハンの知遇を得ている郭靖にいちいち嫉妬する楊康が見苦しいです(^^;)


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『絶代双驕』第6巻ほか

2008年10月26日 | 小説
古龍著・川合章子訳『マーベラス・ツインズ契 第3巻 いつわりの仮面』(コーエーGAMECITY文庫、2008年10月)

このシリーズだけはどうにも続きが気になったので、アマゾンジャパンで注文→実家→宿舎とかなり面倒くさいルートで送ってもらうことに。

それにしてもこのシリーズ、通巻で結構な冊数になっているのにまだ話の落ち着き先が見えてきませんね。まあ、当時の古龍自身も落ち着き先なんて見えてなかったのかもしれませんが(^^;) しかし今更鉄萍姑なんてキャラを出してどうするつもりなんでしょうか。

この本と一緒に『地球の歩き方 中国』、金谷治『孫臏兵法』(2008年10月、ちくま学芸文庫)を送ってもらいました。

『孫臏兵法』は1975年に東方書店から出たものの文庫版ですが、よもやこれが文庫化されるとは思いませんでしたよ……

で、『地球の歩き方』をつらつら眺めてますと、北京から電車で3時間半で安陽へ、4時間チョイで避暑山荘のある承徳に行けることが判明。11月23日前後に北京に出向く際についでに行ってみるか、それともそれだけ北京に行く機会が増えるということで後に回すか思案中です。

それと好太王碑のある集安へは長春から高速バスが出てるんですね。6時間か7時間ぐらいかかるようですが、それならこの間長白山に行ったのと同じぐらいの時間です。電車を乗り継いで半日ぐらいかけて行くしかないと思っていたので朗報です。しかしこれからの季節、特に東北方面は旅行にはきついですな……
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李国立版『射英雄伝』その4

2008年10月25日 | 武侠ドラマ
『射英雄伝』第22~28話まで見ました。

師匠との約束をタテに自分に降龍十八掌を教えない郭靖に不信感を抱き、また父母の仇だからと無条件に完顔洪烈を殺す気になれない楊康。しかし洪七公に弟子入りしたいとか言ってる割には丐幇の乞食達を冷たくあしらってみすみす洪七公に弟子入りする機会を逃しているんですよねえ。

このあたりは例によってオリジナルエピソードなんですが、もう一つオリジナルと言えば欧陽克の母親が登場し、欧陽鋒と浮気した事情を語ってくれます。要するに言い寄ったのは母親の方で、欧陽鋒は頭の中が武功のことで一杯で女のことなんかハナから眼中に無いというタイプ。浮気をしたのも彼女が蝦蟇功を教えてくれると言ったから。で、蝦蟇功を修得した後は彼女に見向きもしなくなったそうな。

母親は欧陽鋒の気を惹くために蝦蟇功を修練し、副作用で顔が醜くなってしまったというどこかで聞いたような話も披露されます(^^;) しかし原作からは欧陽鋒の方も乗り気だったような印象を受けるのですが……

それにしても白駝山荘の召使いはことあるごとに主人に殺されたり毒蛇の実験台にされたりしているのに、なぜ一人もいなくならないのでしょうか?よっぽど給料がいいのか、それとも借金のカタに売られてきたのかといらん想像をしてしまいます(^^;)

で、桃花島での郭靖と欧陽克との花婿争いに突入するわけですが、欧陽克が黄蓉に求婚したのはあくまでも黄薬師から『九陰真経』を伝授してもらうのが目的で、心の奥底では穆念慈のことを思っているという設定になってますね。その穆念慈は穆念慈で金に潜伏している(ということになっている)楊康をストーキングしてその所業に勝手に心を痛めたりしているわけですが……
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秋、終了のお知らせ

2008年10月24日 | 留学
ここ2週間ほど最高気温20度前後の暖かい日が続き、「一体冬はいつやって来るんかいな」と余裕をかましていたら……

一昨日の最高気温:20度 最低気温:10度
昨日の最高気温:15度 最低気温:-1度
今日の最高気温:6度 最低気温:-2度

何だか恐ろしいものの片鱗を味わった気分ですが、長春の秋は早くも終了してしまうようです(^^;) 今日は朝から木枯らしが吹き荒れてました……
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『少林寺伝奇』『李小龍伝奇』ほか

2008年10月21日 | 武侠ドラマ
先日紹介した『少林寺伝奇』ですが、BSフジで先日放映を開始した模様。テーマ的に海外市場を意識した作品のはずなのでそのうちどこかが日本語版DVDを出すだろうとは思ってましたが、いきなりテレビで放映とは…… 

以下、例によって最近見ていて気になったドラマ。

『李小龍伝奇』

チョコチョコと見てますが、序盤はブルース・リーが香港の高校で人種意識をむき出しにするイギリス人のクラスメートや教師と対立。そのクラスメートとボクシングで戦ったすえにお互いを認め合ってマブダチとなり……という展開ですが、このあたり適当に話を作ってやしませんか(^^;)

その後香港にいられなくなったブルースがアメリカの大学で日本人の空手師範を打ち負かし、「武道の元祖は中国だっ!」と絶叫したり、何かとナショナリズムを煽る要素が目につきます。

『少林寺伝奇』と同じく海外市場を意識した作品だと思ってましたが、取り敢えず日本市場は眼中に無いということなんでしょうか(^^;) まあ、他ならぬブルース・リー作品にも『ドラゴン怒りの鉄拳』みたいな作品があるわけですが……

予想以上にネタが拾えそうなので、最初からちゃんと見てみようと『画皮』と一緒にDVDを買って来ました。『射英雄伝』の後にでも見ることにしますか。

その他の注目ポイントはブルース・リーの詠春拳の師匠葉問役として登場する于承恵。さすがに貫禄バッチリです。この葉問って、今度甄子丹(ドニー・イェン)が同名の映画で演じる人物ですよね。

『大唐遊侠伝』

張紀中の最新武侠ドラマ。お昼時の再放送で見てましたが、今までの作品と比べて地味な印象が拭えません……

『隋唐英雄伝』

早朝の再放送でボチボチと見てました。『説唐』など古典小説系の隋唐物を元ネタとしたライト系古装。『少林サッカー』の肉走りなどでお馴染みの林子聡が程咬金を演じています。実はこれ、留学前に上海新天地でDVDをゲットしていたのですが、結局見る暇が無かったですなあ……
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李国立版『射英雄伝』その3

2008年10月20日 | 武侠ドラマ
『射英雄伝』第15~21話まで見ました。

父母の遺骨を埋葬するために牛家村へと向かう楊康と穆念慈。しかし欧陽克の策謀でお尋ね者となり、追い詰められたすえに楊康は完顔洪烈のもとに戻ることを決意。一方、郭靖と黄蓉は「北丐」洪七公と出会い……

というわけでここでは東邪・西毒・南帝・北丐のうち北丐と「東邪」黄薬師が登場します。黄薬師を演じているのは香港映画でお馴染みの黄秋生(アンソニー・ウォン)ですが、この人が出て来るとシリアスな場面でも笑いたくなってくるのはなぜでしょうか(^^;)



相変わらず楊康まわりでオリジナルシーンが詰め込まれてますが、宋兵に追い詰められて思わず印籠よろしく趙王府の玉牌を取り出す場面なんかはなかなか良くできていると思います。完顔洪烈のもとに戻ってからは金国の獅子身中の虫となって父母の仇を討つつもりなのか、父王を助けるつもりなのか彼の真意がわかりにくくなっていますが、このあたり楊康自身も自分がどうしたいのかよく分かっていないのかもしれません(^^;) 郭靖はそれでも楊康を信じ続けるわけですが……

あと、太湖で郭靖と黄蓉が舟に乗って帰雲荘に向かうシーンではあからさまに合成だと分かる映像となっておりガックリ…… 映像技術に関しては張紀中版より退化してやしませんか?
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『画皮』

2008年10月19日 | 映画
まだ公開中のはずなのでさすがにDVDは出てないかなと思いきや、きっちり売られてました。しかし映画の代金が60元でDVDが15元という価格設定は何か間違ってるよなあ。いや、価格設定がその逆の日本の方が間違ってるのか……

この映画は『聊斎志異』中の同名のエピソードをもとにしているということですが、正直元ネタとあんまり関係ないよなあとツッコミたくなるぐらい設定が変更されており、タイトルも『画皮』にする必然性はあまり感じません(^^;)

物語は陳坤演じる将軍王生が遠征先の西域から一人の美女小唯を連れ帰ったとから始まります。実は周迅演じるこの美女こそ人間の皮をかぶって変身した妖怪なのでありました。小唯は王生を我が物にしようとしますが、趙薇(ヴィッキー・チャオ)演じる王生の妻佩容が小唯の様子に不審を抱き、甄子丹(ドニー・イェン)演じる龐勇に真相を突き止めるよう依頼し……という展開になります。

趙薇は『赤壁』の時より随分ふけて見えますね。実年齢から言うと『赤壁』で孫権の妹を演じている方がおかしいのかもしれませんが(^^;) 

ドニーさん演じる龐勇は王生のかつての上官で、出征中に一念発起して後事を王生に託し、気ままな旅人になったというよく分からない設定になってます(^^;) ちなみに佩容とはかつて恋人同士だったようです。で、孫儷演じる女降魔師夏氷とともに妖怪退治に乗り出すことになるわけですが、正直ドニーさんを降魔師の役にした方が良かったと思いますねえ。

作品自体はホラーアクションの皮をかぶった恋愛物という感じですね。アクションの見所がそれほどあるわけではありませんし。ストーリーは三角関係になっているようでその実成立していないというのがミソです。
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長白山

2008年10月17日 | 旅行・オフ会・展覧会
前々日の東北二人転鑑賞からの疲れが取れないまま、10月13日から長白山(白頭山、太白山)観光に突入。長春からバスに乗り込み、昼過ぎに長白山の麓に到着。途中で何回かトイレ休憩を挟みましたが、トイレは便器や仕切りなどが無い中国仕様です。長春に来て以来入ったトイレが漏れなく普通の洋式トイレだったので、すっかり油断してました…… 

麓から更にワゴン車に乗り換えて頂上付近の天池へ。もの凄い急カーブと振動が続き、酔い止めを飲んでなきゃ確実に死んでましたね(^^;) 更に道路にはちゃんとした柵が付けられておらず、運転手がうっかり運転ミスでもしようものなら奈落に真っ逆さまという実に心臓に良くない状況です……

で、どうにかこうにか天池へと到着。天池というのは下の写真の通り長白山の火山口に水がたまってできたものです。そう、長白山は火山なんですね。



しかし山頂付近はあたり一面雪景色で、風もかなり強いです。麓のあたりの気温は長春と変わらないのですが、さすがにこうなると防寒具を着込まないと辛い状態です。で、天池付近で中国と北朝鮮の国境標識を発見。



雪に埋もれて国境線がはっきりと分からない状態ですが、我々は北朝鮮領へと一歩足を踏み入れたようです(^^;)

で、再びワゴン車に乗り込んで麓へと戻ったわけですが、麓付近の案内板をよくよく読むと、何だか不可思議なことが書いてあります。



下から3行目の真ん中あたりからの文章を拾い出してみると「近幾年、天池怪獣在南景区方向頻繁出現、給南景区更増添了神秘的色彩」なんて書いてあります。すると何ですか、天池にもネッシーみたいなのがいるってことですかい(^^;)

2日目は午前中に長白山の麓付近を散策してから帰途に就き、夜遅くに長春へと到着しましたが、旅のハイライトはバスの車窓から見た鴨緑江。下の写真の向こう岸は北朝鮮です!



バスガイドが「ここから鴨緑江が続き、川の向こう側は北朝鮮領です」というようなことを言った途端に車内は騒然となり、写真撮影のラッシュです。おまけに向こう岸で人の姿が見えようものなら「おおっ!」とどよめきが沸き起こる始末(^^;) まるで珍獣か宇宙人みたいな扱いですが、中国人にとっても北朝鮮人は謎の存在であるようです。
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東北二人転

2008年10月16日 | 留学
古文字研究会1日目の夕食の後、東北風劇場に移動し、東北二人転を鑑賞。東北二人転というのは夫婦漫才みたいなもので、何組かの夫婦漫才の合間にカンフーショーとか雑技、ダンスなどが挟まっていくという具合になっています。

この二人転の特徴は何と言っても布回し。下の写真のように星型の布をクルクル回していくわけです。



しかし肝心の漫才の方はどのコンビも男性の方がアホのふりをして実は芸達者で、舞台の袖に控えている楽隊に絡んだりするという毎回同じようなパターンで、退屈極まりないものでした。

おまけにマイクの音量がムダにでかく、耳がおかしくなりそうでした。後で聞いた話ですが、こういう接待に慣れている某大先生は耳栓をして寝てたそうです(^^;) 

ただ劇場自体は我々以外に一般客も含めてほぼ満席でしたので、もう少し言葉が聞き取れると印象が違ってくるのかもしれません。唯一私が聞き取れたのは以下のネタ。

男「今日は古文字研究会の先生方が見に来てくださってます!」
女「古文字と言えば中国古代史、中国古代史と言えば……」
男「『三国演義』に『水滸伝』に『紅楼夢』、それに『還珠格格』!」
女「『還珠格格』って、あんた……(苦笑)」

こんなネタにしか反応できなくてすみません……

そして宿舎に帰還後何気なくテレビをつけると、吉林の地方局でこれまた二人転の放映が…… もう勘弁してください(^^;)
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紀念中国古文字研究会成立三十周年国際学術研討会

2008年10月15日 | 学術
まずは2008年10月11~12日にかけて長春で開催された紀念中国古文字研究会成立三十周年国際学術研討会の様子から。

下の写真は開会式でお披露目された于省吾先生の胸像です。于省吾先生は古文字学の大家の一人であり、また主催機関である吉林大学古籍研究所の師祖の一人であります。しかし中国の人って本当にこういう銅像を造るのが好きなんですね(^^;)



肝心の発表の方は私の聴力ではほとんど聞き取れず、大会の要項替わりとなっている『古文字研究』第27輯にザッと目を通して大体の内容を把握するような状態でした。『古文字研究』は不定期刊の中国古文字研究会の機関誌のようなものです。今まで大会開催後に発表者が論文に仕上げて寄稿し、発行されるものだと思ってましたが、実際は大会の要項を兼ねて開催と同時に発行されるものだったんですね。

私は飛び入りの聴講客でしたが、ドサクサに紛れて参加者一同の記念撮影に混ざることに。しかし肝心の写真はあらかじめ参加申請していた人にしか配布されませんでした…… ただ誰がどの位置に写っているかという写真との対照表は貰えたので、この表が唯一私が今回の大会に参加したという証明書になりそうです(^^;)

食事の席などで先生方と挨拶をかわしたりしましたが、日本人の古文字学者というと必ず白川静の名前が出るんですね。この分野で一番多く引用されている日本人の著作が白川先生の『金文通釈』(『金文詁林補』などからの孫引きを含む)なんで無理からぬところですが。(ちなみに次に多く引かれているのは島邦男の『殷墟卜辞研究』あたり。)

あと、「13~14日の長白山ツアーに参加されますか?」と質問すると、行った経験のある人から「前に行ったから今回は行かない」という返答が…… やはり一度行けば充分な所だということでしょうか(^^;)

1日目の夜は夕食の後、東北風劇場という所で東北地方の伝統芸能である東北二人転を鑑賞することに。これについてはまた項を改めて報告したいと思います。
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