博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『花千骨』その3

2015年09月26日 | 武侠ドラマ
『花千骨』第11~16話まで見ました。

花千骨は白子画の直弟子となり、絶情殿で師弟二人きりの修業生活を開始。琴の弾き方を手ずから教えてもらったり、尊上に手料理を振る舞ったりと、このあたりやはりイケメン大河としてのツボを押さえております。尊上が入浴するところを千骨が方術でのぞき見してしまうというサービスシーンもあります (^_^;)

そしてそんな彼女に嫉妬した霓漫天に喧嘩をふっかけられ、千骨を庇って糖宝が剣で斬られた……と思ったら、突如CGのゆるキャラ青虫から人間の美少女へと成長。


な、何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかったぜ(; ・`д・´) つーかあいつ、メスだったのか……

そしてカリキュラムの一環として、千骨は長留門筆頭弟子の落十一に率いられ、他の新弟子一同と下山して腕試しに趣くことに。このあたりは臨海学校とか語学研修旅行みたいなノリですね。で、たまたま行き着いた蜀国では、千骨らの同期生で父親の皇帝の死去により長留山を離れ、皇帝となっていた孟玄朗が一同を出迎えたのでした。


言わば特待生みたいな形で無試験で長留門の入門を許された彼ですが、結局なぜ入門を許されたのかわからないままです。裏口入学とかAO試験みたいなノリなのかと想像してしまいますが……


で、なぜか「東方」こと東方卿が蜀国の科挙を受けて状元となり、大学士として登用されております。

ここでしばし孟玄朗と東方との千骨をめぐる恋のさや当て的なコメディパートが挿入されますが、「十方神器」強奪のため七殺派の単春秋が太白派を襲撃するという情報が寄せられ、千骨らが太白山に向かうこととなり、シリアスパートへ。

他の弟子を通じて尊上から送られた「流光琴」で七殺派の攻撃を退ける千骨ですが、ここで「姐姐」こと殺阡陌が七殺派の聖君であるという事実を知ってしまいます。千骨の身を案じつつも、なぜか執拗に「流光琴」を手に入れようとする殺姐姐。東方の提案で長留門・太白派など正派連合と七殺派とで「十方神器」を賭けて三番勝負に臨むこととなり……

単春秋に捕らえられ、ピンチの千骨を、救援に駆けつけた白子画が彼女を空中で回転しながら受け止めて見つめ合う、いわゆる「愛のメリーゴーラウンド」を披露したりと、ここでもイケメン大河的な演出を挿入 (^_^;) 日本の大河ドラマは本気でイケメン要素で視聴率を取りに行くつもりなら、中国に制作を委託した方がいいんじゃないかと思わせられますね……
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『花千骨』その2 真のイケメン大河は中国にあり

2015年09月18日 | 武侠ドラマ
『花千骨』第5~10話まで見ました。

蜀山派の掌門であることが長留門の面々に知られてしまった花千骨。その彼女を蜀山派の生き残りの弟子雲隠が迎えに来ます。しかし年若く実力もない千骨を掌門とすることに、亡き清虚道長の兄弟弟子の清揚と清風は不満顔。しかも蜀山派の裏切り者雲翳(七殺派の手先となり、清虚道長を直接殺害した人物)が侵入し、彼女を人気の無い所に誘い出して襲いかかりますが、そのピンチを突如現れた「姐姐」に助けられます。



千骨を助けたのは、実は蜀山派を襲った七殺派の聖君殺阡陌。男性なのですが千骨には女性に見えるらしく、「姐姐」と呼んでいます。千骨は姐姐の正体を知りません。『蘭陵王』のウィリアム・フォンよろしく女性に見せるには無理がありますが、取り敢えずイケメンです。

ひとまず危機を脱したと思ったら、今度は蜀山本山が七殺派の護法単春秋に襲撃されます。同じ七殺派内でもトップの聖君とその配下とでは、色々思惑の違いがある模様。浮き足立つ蜀山派の面々に対し、東方卿の力を借り、掌門として七殺派に立ち向かう千骨。そこへ事態を知った「尊上」こと白子画が助太刀として現れ、七殺派は撤退。門派を守ろうとした千骨の勇気に感服し、清揚・清風もようやく彼女を掌門として認めます。そして千骨は蜀山派の掌門の地位を保持したままで、長留門で修業を続けることに。

長留門では新弟子の所属(誰の弟子になるか)を決める仙剣大会が開催。千骨は尊上の弟子となることを希望していましたが、掌門である白子画の弟子には大会の優勝者が選ばれるという決まりです。蜀山の一件以来修業(と言っても朝練・夜練の類ですが)を重ねて着実に腕を上げていた千骨は、決勝まで勝ち進みます。

決勝戦の相手は、入門試験以来の親友霓漫天。しかし彼女は千骨が蜀山派の掌門であることをずっと黙っていたというので、蜀山から帰還して以来千骨を仇敵視するようになっており、更に父親の蓬莱派掌門より、門派の将来のために何が何でも優勝して尊上の弟子の地位を勝ち取るようにとプレッシャーを掛けられていたのでした。勝負は僅差で漫天が勝利しますが、彼女の使用していた剣が父親から密かに送られた名剣であることを察知した白子画の思し召しにより、準優勝の千骨が弟子として選ばれ……

ということで、ヒロイン花千骨がピンチになると、白子画や殺阡陌や東方卿といったいろんなタイプのイケメンが助けに駆けつけるという、「イケメン大河」というコンセプトで売り出そうとして失敗した『花燃ゆ』などより、よほどイケメン大河と呼ぶにふさわしい展開となっております (^_^;)

ただ、千骨は白子画の「生死劫」(関わると必ず破滅をもたらす存在らしい)にあたり、白子画は亡き師父から「生死劫にあたる人物が判明したら問答無用で殺せ」と言い渡されているのですが、千骨が自分の生死劫と知りつつ敢えて弟子に迎えた尊上の運命やいかに……?
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『黒衣の刺客』

2015年09月13日 | 映画
『黒衣の刺客』(原題:刺客聶隠娘)

台湾の侯孝賢監督が唐代伝奇の「聶隠娘」を題材に武侠映画を撮り、カンヌで賞を取ったということで話題になった本作ですが、中身の方は圧倒的な設定過多と圧倒的な説明不足が目立つ作品でした…… 劇中の台詞が少なめの割には人物関係など設定を無駄に盛り込んでいるので、内容がかなりわかりにくくなってます。台詞・映像とも、必要な描写を削って不要な描写を盛り込んでいるという印象です。取り敢えずこれから見に行かれる方は、あらかじめ本作のパンフに載っている人物相関図を頭に入れたうえで見た方が良いでしょう。

台湾の俳優さんに加えて、遣唐使役で妻夫木聡が出演していますが、ぼんやり見ているか、あるいは妻夫木聡の顔を知らないと、彼が日本から来たということもよくわからないままになるのではないでしょうか。彼が日本にいた時の描写は日本公開版のオリジナルシーンのようなので、特に台湾・海外版の視聴者は彼が旅人らしいということしか察せられないと思いますし、それで本作を見るうえで何か不都合があるわけではありません。つまりは彼が遣唐使という設定がそれほど意味がないわけです。本作で盛り込まれている設定は大体がこんな調子で、展開上生きていないものが多いです。

映像の方はCG・ワイヤー頼みの近年の武侠映画とは一線を画しています。BGMも控えめですし、まるで中国の世界遺産とか自然風景の良質なイメージビデオを見ているようです。時代考証もかなり頑張っています。例えば、終盤で妻夫木君演じる遣唐使が新羅経由で帰国したいと言っているのは、当時の状況をふまえたものです。この考証能力をもっと違う方向で生かしてくれればと思いましたが……

原典の「聶隠娘」とはだいぶ趣きが変わっていますが、あらかじめ原典を読んでおくとニヤリとできる要素もあります。

全般的に胡金銓(キン・フー)監督の武侠映画や王家衛(ウォン・カーワイ)の『楽園の瑕』(東邪西毒)のダメな所だけを抽出したような作品です。『英雄(HERO)』以後、映像美を追求した環境ビデオ系の武侠映画が主流となる中で、徐浩峰監督の『刀のアイデンティティ』(倭寇的踪迹)あたりからようやく新しい流れが出てきたなと思っていたところ、有名監督による2000年代に逆戻りした作品が出て来てしまい、とにかく残念です。
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『花千骨』その1

2015年09月09日 | 武侠ドラマ
このほど現地で最終回を迎えたラブロマンス武侠『花千骨』を見始めました。今回は湖南衛視放映版の第1~4話まで見ました。

ヒロイン花千骨は災いの星のもとに生まれ、母親をはじめとして関わった人間が次々に病死していくので、故郷の村人から忌み嫌われておりました。千骨の名は、生まれた時にその泣き声で生家の周囲の草花が枯れたことから、彼女の誕生を見守った清虚道長が名付けたもの。


花千骨を演じるのは、これが当たり役となった趙麗頴。

で、16年間彼女を育てた父親も病に倒れ、村人からいよいよ疫病神だと家に火を放たれたところ、長留門の掌門就任を控えた仙客白子画に助けられます。ただし、ここでは訳あって墨氷という偽名を名乗っております。


白子画を演じるのは古装ではお馴染み霍建徳(ウォレス・フォ)。イケメンです。

病没した父親を葬った後、千骨は名付け親の清虚道長を尋ねて蜀山へ。その途上で立ち寄った異朽閣の主人の助言により、恩人の墨氷が長留門の門徒であることを知ります。しかし蜀山に駆けつけてみると、「十方神器」のひとつ「拴天鏈」を強奪しようとする七殺派の攻撃により清虚道長は虫の息。掌門の証である宮羽と六界全書を彼女に託して息を引き取ってしまいます。そこを救援に駆けつけた白子画に助けられますが、千骨が墨氷と別れる際に彼の容貌に関する記憶が消されてしまっているので、この白子画こそが墨氷であることに気が付きません。

で、墨氷と再会するために千骨は長留門の新弟子試験に挑戦。蓬莱島主の令嬢霓曼天や千骨のストーカー東方卿(三枚目と見せかけて何やら怪しげな背景がある人物のようですが)といった新たな友人に助けられ、三つの関門をクリアし、晴れて新弟子試験に合格。

しかし武功の資質が劣る千骨は、内功で木剣を浮き上がらせてその上に乗って空を飛ぶという最初の課題がクリアできず、更に門派の指導者たちに、清虚道長から蜀山門の暫定掌門に指名されていることを知られてしまい、長留門を破門されるピンチに……

ということで長留門に入門した後は学園物というか中国版ハリー・ポッターみたいなノリになっております (^_^;)


こちらは千骨の血を封印したペンダントから生まれた霊虫の糖宝ちゃん。CGのクオリティはもう少しどうにかならなかったのかと思いつつ、目が慣れるとかわいく見えてきますw
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『武媚娘伝奇』その14(完)

2015年09月03日 | 中国歴史ドラマ
『武媚娘伝奇』第77~最終82話まで見ました。

月日は流れ、媚娘は母の栄国夫人のもとで養われていた亡き姉の娘賀蘭敏月を引き取り、高宗の世話係としますが、彼女は媚娘を母の仇と怨んでいたのでした。媚娘の姉韓国夫人は妹を羨み、高宗のもとに出入りしてその地位を乗っ取ろうとし、媚娘の毒殺を図ったところ高宗に喝破されて死罪となったが、賀蘭敏月は媚娘が母に嫉妬して殺したと信じている……といういきさつがあるらしいのですが、その様子は作中では描かれません。全82話もあるんだからそこんところちゃんと描いてよ!!

で、この敏月ちゃんが復讐のために画策を開始。高宗の世話を通じて彼の心をつかむ一方で、兄李弘が皇太子となったことに不満を持つ李賢に接近。そして家族一同が集う酒宴で、みなの目の前で李弘が何者かに毒殺されるという悲劇が発生。犯人は敏月に唆された李賢だったのですが、高宗は媚娘が我が子を毒殺したのではないかと疑っている……と思いきや、その高宗も当初から李賢が怪しいと睨んでいたのでした。

敏月が黒幕と察知した媚娘は、彼女を毒殺。しかし時既に遅く、彼女の家庭は敏月の目論み通り破壊されてしまったのでした。仁徳に厚い李弘も学才にすぐれた李賢(ちゃんと『後漢書』の李賢注を作る場面も出てくる)も今は亡く、消去法的に李顕が新太子に。しかしその李顕は定見がなく、妻の韋氏や舅の韋玄貞の言いなりになるアホなのでした…… 媚娘の息子たちはいずれも青年時代はイケメンなのに、大人に成長した李顕が口髭生やした小太りのブサメンになっているのは解せない……

この頃から媚娘改め武瞾は帝位を意識するようになります。そして病に倒れた高宗見取り、更に月日は流れ、武瞾は中国史上唯一の女帝として即位。


やはりラスボスみたいな格好をしております……

帝位に即いた彼女のまぶたには、かつて愛した太宗・李牧・高宗のほか、韋貴妃・楊淑妃・蕭薔・徐慧・魏徴・長孫無忌・呉王李恪・高陽公主・王皇后・賀蘭敏月といった強敵(とも)たちの姿が……って、ホントに最終回で北斗無想転生をやってくれましたね。で、第1話冒頭の退位後のシーンへと戻り……

【総括】
ということで第1話最初の張易之・張昌宗兄弟殺害とか、武則天が張柬之に退位を迫られるシーンは本編では出てきませんでした (^_^;) というか張易之・張昌宗兄弟自体が本編に出てこない…… ここまでお読みになった方には既にもうおわかりの通り、本作は武則天の前半生に主軸を置いた作りとなっており、特に高宗の皇后になってからはおまけ程度の扱いになってます。タイトル通り女帝武則天ではなく、武媚娘の物語なんですね。おまけに歴史ドラマと言うよりは後宮物の性質が強い、というか思い切り後宮物のドラマです。『括地志』や『後漢書』李賢注みたいな学術イベントや、関隴集団対寒門士子みたいな歴史要素もないわけではないですが……
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2015年8月に読んだ本

2015年09月01日 | 読書メーター
戦後史の解放I 歴史認識とは何か: 日露戦争からアジア太平洋戦争まで (新潮選書)戦後史の解放I 歴史認識とは何か: 日露戦争からアジア太平洋戦争まで (新潮選書)感想
日露戦争からアジア太平洋戦争までの日本の行動を通じて、日本の失敗は国際社会の中での自分のポジションや行動の意味を理解せず、国際秩序を破壊する道を選んだからであるとする。アジア諸民族の解放を本気で訴えるなら、ドイツの側に立つのではなく大西洋憲章の民族自決の理念を支持する道もあったという著者の指摘は面白い。一方で著者の本意とは異なるかもしれないが、日本人が考えるような意味での現実主義は、国際社会では最終的には多くの共感を得た理想主義に敗北するという教訓も導き出せるのではないか。
読了日:8月2日 著者:細谷雄一
近代政治哲学:自然・主権・行政 (ちくま新書)近代政治哲学:自然・主権・行政 (ちくま新書)感想
ホッブズとルソーの想定する「自然状態」にはズレがあるとか、ロックの言う「抵抗権を認める」とはどのようなことを指すのかとか、行政権と立法権との関係など、言われてみればもっともという指摘が多い。政治哲学はロックの思想が名誉革命を背景とし、(本書では触れられていないが)アメリカ独立革命に影響を与えたように、哲学が実際の政治と深く結びついていた時代の産物と思っていたが、現代でもまだ政治哲学の可能性は残されているのかもしれない。
読了日:8月8日 著者:國分功一郎
風の払暁 満州国演義一 (新潮文庫)風の払暁 満州国演義一 (新潮文庫)感想
張作霖爆殺事件で幕を開ける敷島四兄弟の物語。兄弟に疫病神のごとく絡む間垣徳蔵の正体というか出自は冒頭の序章から何となく察しが付くが… 四兄弟の中ではしょっぱな馬賊団を壊滅に追い込まれた次郎の運命が気になるところ。
読了日:8月12日 著者:船戸与一
則天武后 (中国歴史人物選)則天武后 (中国歴史人物選)感想
今視聴している中国ドラマ『武媚娘伝奇』の副読本として読み始めたが、読みやすい文体で彼女の生涯と時代背景を手堅くまとめている。ドラマに関しては過去の劉暁慶主演版でスルーされていたエピソードや人物をうまく引っ張ってきてエンタメ作品に仕上げているという印象を抱いた。
読了日:8月16日 著者:気賀沢保規
中国考古学のてびき中国考古学のてびき感想
先頃退職された飯島先生による入門書、と言うよりはタイトル通りてびき。夏殷周のあたりは確かに必要最小限の事項を詰め込んだ手軽なガイドとなっている。(これ以外の時代についてはよくわからないので、その時代を専攻されている方の判断を請う。)
読了日:8月17日 著者:飯島武次
日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日感想
岡本喜八の映画版よりドタバタ感が強い。と言うより、岡本喜八版が悲壮感を数割増ししたのだろう。今度の映画版もおそらく悲壮感を強調したものなのだろうが、三谷幸喜あたりに監督させた方がより原作のノリに近くなり、岡本喜八版との差別化もできたのではないか。
読了日:8月21日 著者:半藤一利
天の血脈(6) (アフタヌーンKC)天の血脈(6) (アフタヌーンKC)感想
満鉄調査部員としてソウルに派遣された安積。穏やかな表情をした津田左右吉に三韓征伐は史実ではないと思いますよ?神武天皇やヤマトタケルなども実在したかどうか怪しいんですよ?と諭される場面が見ていてなかなか辛い (^_^;)
読了日:8月22日 著者:安彦良和
天穹は遥か-景月伝- 1 (サンデーGXコミックス)天穹は遥か-景月伝- 1 (サンデーGXコミックス)感想
架空中華世界を舞台にした武侠マンガ。日本のマンガ界ではこのジャンルは爆死を続けているので、この作品が突破口となって欲しい。
読了日:8月22日 著者:倉田三ノ路
日中関係史 (PHP新書)日中関係史 (PHP新書)感想
今までの岡本隆司氏の一般書の総まとめあるいは入門書的な位置づけ。前半の遣唐使とか元寇のあたりの話が今までの同氏の著書に見えないオリジナルの部分だが、その部分の内容は正直微妙。特に遣唐使の頃の日中関係については、近年の東部ユーラシア関係の研究を踏まえると、もっと違った評価が可能ではないか。
読了日:8月24日 著者:岡本隆司
古代末期のローマ帝国: 多文化の織りなす世界古代末期のローマ帝国: 多文化の織りなす世界感想
本文の内容もさることながら、興味深いのは、訳者あとがきに見える、古代末期という時代区分を日本や中国にあてはめてみたらどうなるのかという発想。日本の歴史に古代はなく、中世から始まるという論者もいるが、古代末期という考え方を適用すれば、やはり古代から始まると見て問題ないというこになろう。中国史の場合も、後漢末から隋唐の成立あたりまでを古代末期と見るべきということになるのではないか。
読了日:8月26日 著者:ジリアンクラーク
天下統一とシルバーラッシュ: 銀と戦国の流通革命 (歴史文化ライブラリー)天下統一とシルバーラッシュ: 銀と戦国の流通革命 (歴史文化ライブラリー)感想
石見銀山発見を嚆矢とする「シルバーラッシュ」を、戦国から天下統一への流れを重ね合わせて見ていく。信長・秀吉の金銀をふんだんに用いた自己演出が、当時の金銀の流通の増加を背景としたものだったという指摘や、海賊の役割に関する話などが面白かった。
読了日:8月27日 著者:本多博之
ナポレオン ~覇道進撃~  9巻 (ヤングキングコミックス)ナポレオン ~覇道進撃~  9巻 (ヤングキングコミックス)感想
政治家として劣化しつつあることをタレイランに見透かされたナポレオン、一族の醜聞、そして終わりなきスペインゲリラなど盛りだくさん。ダヴィッドもそうだったが、今回初登場のゴヤも印象的なキャラになっている。
読了日:8月30日 著者:長谷川哲也
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