博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『将夜』その3

2018年11月29日 | 武侠ドラマ
『将夜』第13~18話まで見ました。

寧欠は「書院」の「旧書楼」で書物に書信を挟んで陳皮皮と文通を続ける一方で、父の死に関わった人物を一人ずつ追い詰めていきます。しかし父を陥れる文書の偽造を行った顔粛卿には苦戦を強いられ、更に勝利を収めたものの、帰途に唐国の都城を守る守護神の朱雀の攻撃を受け、満身創痍の状態で「旧書楼」に逃げ込みます。

ここまでで寧欠の父親・林光遠がかつて唐国の宣威将軍で、王弟の李沛言らに陥れられたこと、その陰謀の背後には西陵国が存在すること、最後にとどめを刺したのは夏侯であることなどが判明しています。西陵国光明殿はジェダイ・マスターみたいな人たちが集う寺院というイメージがありましたが、内情はかなり真っ黒けの様子。


寧欠は「旧書楼」の管理人・余簾に匿われる一方で、その弟弟子にあたる文通相手の陳皮皮とご対面。余簾が「夫子」の三番弟子で、皮皮が一番末の十二番弟子ということになるようです。弟子たちの中では食い意地が汚いながらもかわいい末っ子という扱いですが、「書院」在学時代は西陵出身の天才と評判だった模様…… 

この皮皮のお陰で寧欠は瀕死の状態から復活し、更に塞がれていた17の経穴のうち10の開放に成功します。しかし都城の府尹が陳子賢・顔粛卿らの死を不審視し、寧欠が怪しいというところまで捜査を進め、更に宮廷では寧欠が暗侍衛に任じられる際にこっそり御書房に立ち入って書を書き残したことが問題となり、事情を知る暗侍衛の上官・徐統領は責任回避のために何とかごまかし通そうとしますが……

そして寧欠の「書院」での同級生にあたる三皇子李琿円は、夏天所生の異母弟李琥珀にちょっとした嫌がらせのつもりで、怪しい経緯で入手した下剤を飲ませますが、これが実は猛毒で、怒った唐王に謹慎を命じられます。姉の李漁もこの機会に義母夏天への不信感を父王にぶちまけますが、やはり謹慎処分に。これに付け入ろうと、またぞろ王弟李沛言やら、人質の身の燕国太子崇明が妙な動きを示します。

その燕国では、これまで西陵国光明殿で修行を積んできた二皇子(すなわち崇明の弟)隆慶が帰国。彼は光明殿で来たるべき「永夜」で生まれるとされる「冥王の子」と対抗できる「光明の子」と評判が高い人物ですが、燕王は唐国で「夫子」が「書院」の「二層楼」を開放する、すなわち新たな直弟子を迎えるための試験を行うことに注目し、崇明を帰国させるかわりに隆慶を唐国の「書院」に入学させ、あわよくば「夫子」の直弟子にして復国の足がかりにしようと企みます。


で、隆慶が唐国の都城に到着し、兄の崇明や李漁、寧欠ら「書院」の学生たちと対面を果たします。ということで、これまでサブストーリーの主役として動いてきた隆慶がようやく本筋に合流しました。NARUTOで言うとサスケのポジションにあたるキャラだと思いますが、どことなくかませ犬臭がするんですよね……
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『将夜』その2

2018年11月22日 | 武侠ドラマ
『将夜』第7~12話まで見ました。

唐王の王弟・李沛言が謀反を決行する一方で、その一味が朝小樹率いる魚龍幇の制圧にかかります。そして朝小樹&寧欠のコンビは卓爾の仇討ち(彼が殺害されたのも親王李沛言のクーデター計画を嗅ぎつけてしまったからでした)ということで、親王の配下を相手に雨夜の中大立ち回りを繰り広げます。


で、親王の謀反も事前にそれを察していた唐王・李仲易によってあっさり制圧。すべてが片付いた朝廷では、「朝二哥」こと朝小樹や魚龍幇の後ろ盾は誰なのかというのが群臣たちの話題になりますが、朝議の場で「魚龍幇の大哥は朕だ!」と宣告する唐王。朝小樹が宮廷から出られない唐王の代理として民間にあり、その目となり耳となっていたということのようです。ちなみに唐王を演じるのはレオン・ライです。


ついでに回想シーンで、アダム・チェン演じる「夫子」がかつて唐王の後継者として李沛言ではなく李仲易を指名したことが触れられます。「夫子」は「書院」の創設者であり、また唐国の太祖の友人として、歴代の唐王の後ろ盾になってきたとのこと。ただひとりの兄弟ということで李仲易は弟を許しますが、李沛言の方はしおらしい顔をしつつ、まだまだ王位を諦めきれない様子……

そしてこの件を機に朝小樹は朝廷の仕事から退くと唐王に宣言し、魚龍幇の幇主の座も兄弟分に譲って旅に出ることになり、一方の寧欠は暗侍衛に任じられます。そして寧欠が都城に来た目的のひとつ「書院」の入学試験の日を迎えます。この「書院」に三皇子も入学することになっており、唐王の代理で李漁が入試を視察することに。しかしその野外射術の試験で李漁の暗殺を図る燕国の刺客が紛れ込み、寧欠は刺客と対峙することになりますが、そこへ助っ人として「夫子」の二番目の弟子の君陌が登場。


このシルエットの出し方といい、刺客の倒し方といい、その絶大な力を目にして弟子にしてもらおうと追いすがる寧欠にかける「二層楼で待つ」という言葉といい、すべてがカッコいい。このドラマ、アクションシーンでの厨二的な演出がいちいちカッコよく、中学生が作ってるんではないかと思ってしまいます。

で、何とか入試に合格し、「書院」への入学を果たした寧欠は、「旧書楼」(図書館)で塞がれている経穴の限界を突破する方法を探る一方で、かつて父親の将軍林光遠を陥れ、寧欠の一家を破滅に導いた副将軍陳子賢を追い詰め、父の死の真相やその黒幕を知ろうとしますが……
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『将夜』その1

2018年11月12日 | 武侠ドラマ
『天盛長歌』を楽しみにされていた方には申し訳ないのですが、そっちに見切りを付けて『将夜』に移ります。全60話予定で今回は第1~6話まで鑑賞。

舞台は千年に一度の「永夜」(永遠の夜)が迫る昊天。各国の賢者たちは世界が闇に閉ざされて「冥王の子」が誕生するのを阻もうと躍起になっています。


で、主人公の寧欠はそんなことには全く関わりのない世界に生きています。唐国の辺境で「金帳王庭」の騎兵相手に戦ってきた青年武将で、「梳碧湖の砍柴人(柴刈り人)」として恐れられています。


で、その「金帳王庭」の単于のもとに嫁いでいた唐国の皇女・李漁が、夫が亡くなって殉死させられるところを寧欠たちの暮らす渭城へと単身逃亡し、寧欠がその腕を買われて都城への護衛を務めることになります。

で、上官からついでに都城の「学院」(この手のドラマによく出てくる魔法学校の中国版)に推薦するから入学試験を受けてこいと命じられます。で、赤ん坊の頃に彼に拾われて「少爺」と慕う少女・桑桑とともに家を引き払い、李漁とともに都城へと向かうことに。しかしこの李漁、唐王の先妻の子ということで、自分の産んだ六王子を太子にしたい現皇后の夏天からは目の敵にされています。


で、夏天の兄にあたるらしい将軍の夏侯(中の人はお馴染み胡軍)が暗躍し、手の者が一行を襲撃。この夏侯、寧欠の父親の仇にあたるようです。寧欠はもと燕国の将軍の息子だったようですが、夏侯の襲撃とか配下の武将の裏切りなどがあって孤児となり、故郷を追われた模様。李漁の出迎えにやって来た賢人・呂清臣の力もあって難を逃れますが、寧欠はこの呂清臣から「お前は17あるうちの経穴のうち11が塞がってるから「学院」での修業は無理だ」と宣告されてしまいます。要するに今後「学院」では文字通り力業だけで何とかする展開になるということなんでしょう。

都城では同じく夏侯によって故郷を追われた幼馴染みの卓爾と再会。唐国の軍と都城を根城とする「魚龍幇」の二重スパイのような立場で、「魚龍幇」に情報を流しておりましたが、それがバレたということなのか、唐王の弟の親王によって粛清されてしまいます。出てきた瞬間に「こいつは敵に殺られる親友ポジだな」と思ってましたが……


「魚龍幇」の幇主・朝小樹。武功高手。寧欠・桑桑が都城で借りた家の大家でもあります。

卓爾の仇討ちということで、この二人が雨夜の中、親王の手下の侠客やら兵士たちと大立ち回りを繰り広げ……というところで次回へ。

このドラマ、のっけから思わせぶりな登場人物がやたらと出てきて誰が誰だかよくわからないまま話が進みますし、設定は厨二臭いし、ストーリーの進み具合も大して速いわけではないのですが、なぜかノンストレスでサクサク見られます。アクションシーンも多めで武侠的な要素が強いです。『天盛長歌』とは何から何まで対照的な作品になってますね……
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『天盛長歌』その6

2018年11月05日 | 中華時代劇
『天盛長歌』第31~36話まで見ました。

怪しいお薬案件は二皇子燕王が父皇からお叱りを受けて片付きましたが、今度は金獅国の王子・赫連錚が鳳知微に求婚するという案件が発生。


赫連錚一行が天盛にやって来たばかりのタイミングで市中で粗暴な振る舞いをしていたところ、たまたま女性に戻っていた鳳知微にやり込められるという事件があったのですが、それ以来彼女のことが気になっていた模様。で、彼女が女性に戻るタイミングでなぜか一緒に女装させられる「衣衣」こと顧南衣と結婚の承諾を賭けて戦い、彼が敗れたことでこの件も沙汰止みになったはずですが……? 


そして大ボス的存在の閔国公常遠がいよいよ都に到来。歓迎の宴で本人を前にして父皇に常遠の地元での横暴を告発し、その証人としてた陳紹も宮廷に呼び入れた寧弈でしたが、常遠は逐一反論し、かつ陳紹の母親の腕飾りを見せつけて無言で恫喝したことにより、陳紹が証言を翻し、告発は失敗に…… ようやく公案物の貪官レベルの知謀を持った悪役が出てきましたね。

閔国公やその意を承けた群臣たちは寧川に変わる太子の冊立を求めますが、天盛帝は群臣や皇子たちの前で、新たに太子を冊立することはせず、金匱の中に後継者の名を書いた紙を入れておくから、死後に開封して確かめよと宣言。何か康熙帝みたいなことを言い出しました……

さて、天盛帝の側近として重用されていた「魏知」こと鳳知微は、辛子硯の提案で「司業」の官に任じられ、母校青溟書院にかつての同学たちに対して管理者として臨むことになります。そこへ青溟書院への入学を目論む赫連錚が押しかけたり、青溟書院で問題の金匱を保管することになったりと頭の痛い問題が次から次へと舞い込みます。更には魏知=鳳知微だと承知している赫連錚が天盛帝の天長節の宴に彼女を「鳳知微」としてともに出席するよう要求し、同時に韶寧公主からも「魏知」として出席を求められ、実は魏知=鳳知微=女性だと露見しかねない状況となります。取り敢えず顔を醜く偽装して「鳳知微」として宴に臨むことになりますが……

一方、寧弈は母の灔妃雅楽の死罪の原因となった彼女と占壁の密会は常氏一党によって仕組まれた事件だったということを突き止めますが、事件の密告に新たに魏王に冊立された七皇子寧斉の生母・王才人が関わっているらしいと察知し、彼女にロックオンします。その彼女のもとに、常貴妃の賜与品としてなぜか青溟書院に秘蔵されているはずの金匱が……というところで次回へ。
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2018年10月に読んだ本

2018年11月01日 | 読書メーター
正義とは何か-現代政治哲学の6つの視点 (中公新書)正義とは何か-現代政治哲学の6つの視点 (中公新書)感想
リベラリズム、リバタリアニズムなど6つの視点からの政治哲学入門。随所で具体事例が引かれているが、「小さな政府」に関する部分で言及される、「森の生活」を送るソローと「最後の真の隠者」ナイトとの対比が面白い。特にナイトは生きるために窃盗をはたらく一方でたまたま出くわした釣り人家族との約束は最後まで守ろうとしたということで、本書で触れられている事項以外にも人間の社会性に関して議論を引き出せそうである。
読了日:10月02日 著者:神島 裕子

さいはての中国 (小学館新書 や 13-1)さいはての中国 (小学館新書 や 13-1)感想
中国のシリコンバレー深圳、リトルアフリカと化しつつある広州、習近平父子の聖地、内モンゴルのゴーストタウン、はたまた中国を飛び出してカンボジア等々、今の中国を象徴する場所や人物を探訪したルポ集。深圳のネトゲ廃人が農村の留守児童のなれのはてだったという話、アフリカ人から「中国人は勤勉で効率的」という評価を得ている話(こういう評価はかつては日本人のものだった)、文革世代が政治・社会の中心に立っている弊害、日本人に対してもどこまでも人格者なカナダの「反日グランドマスター」など、読みどころは多い。
読了日:10月10日 著者:安田 峰俊

江戸の読書会: 会読の思想史 (平凡社ライブラリー)江戸の読書会: 会読の思想史 (平凡社ライブラリー)感想
読書が科挙を通じて立身出世の手段となる中国・朝鮮とは異なる環境だったからこそ、日本でスポーツゲームのように討論しながらともに書物を読み進める会読が発展した、明治に入って学問が立身出世の手段として位置づけられると、効率的なカリキュラムに沿った一斉講義の手法が導入され、学校から会読が退けられ、廃れていったという経過を見ると、「勉強は何のためにするのか」「実学とは一体何なのか」ということを考えさせられる。日本の教育の将来について考えるのに参考にするべき本だと思う。
読了日:10月10日 著者:前田 勉

図説 古代文字入門 (ふくろうの本)図説 古代文字入門 (ふくろうの本)感想
ヒエログリフ・楔形文字から甲骨文字・マヤ文字まで、世界各地の古代文字について概要、解読の歴史、例文の読解をコンパクトにまとめる。図版・図表類もよくまとまっており、一冊手元に置いておくと便利そうな本。
読了日:10月11日 著者:大城 道則

軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡 (講談社選書メチエ)軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡 (講談社選書メチエ)感想
イリュリア人、すなわちバルカン半島出身の軍人貴族と元老院貴族を軸にして見るローマ帝国衰亡史。イリュリア人を武川鎮軍閥になぞらえたり、主に宮崎市定の時代観に沿った中国史との比較を行っているのが独特。中国とは異なってローマの文明が帝国とともに崩壊してしまったのは、元老院貴族が中国の貴族とは違って文明の担い手として民衆の支持が得られなかったからという見方を提示する。
読了日:10月12日 著者:井上 文則

鉄道が変えた社寺参詣―初詣は鉄道とともに生まれ育った (交通新聞社新書)鉄道が変えた社寺参詣―初詣は鉄道とともに生まれ育った (交通新聞社新書)感想
古くからの伝統と思われがちな初詣という風習が鉄道の普及によっていかに作られていったかをたどる。初詣に付随して、恵方詣のような「迷信」が却って鉄道の普及とともに拡大していくさまや、除夜の鐘がラジオの普及とともに定着していくさま、明治6年の太陽暦導入より明治43年の官暦への旧暦併記の廃止の影響が大きかったことなどを議論する。新しい風習でも10年も経てばすっかり定着してしまうことや、「伝統行事」が鉄道会社のような企業の介入によって変容していくさまは、ほかの「伝統」を考えるうえでも示唆的である。
読了日:10月14日 著者:平山 昇

戦争の起源 (ちくま学芸文庫)戦争の起源 (ちくま学芸文庫)感想
古代地中海世界には、先史時代からアケメネス朝ペルシアに至るまでオリエントで形成された高度な「総合戦略」によるものと、古代ギリシアでガラパゴス的に形成された重装歩兵密集戦術を中心とするものの二系統の軍事的発展が存在し、ペルシア戦争以後この二系統が接触を始め、アレクサンドロス大王によって統合されたという古代軍事史の流れを概観する。重装歩兵密集戦術の単純さや問題点を承知しながらも変えられなかったというのは、現代の我々も別の分野で似たような問題を抱えているのではないかと考えさせられる。
読了日:10月16日 著者:アーサー フェリル

元年春之祭 (ハヤカワ・ミステリ)元年春之祭 (ハヤカワ・ミステリ)感想
於陵葵と観露申の2人の少女の友情を描きながらのミステリーなのかと思いきや、話は思わぬ方向に転がっていく。原著副題の「巫女主義殺人事件」が内容をよく表している。ミステリーやジュブナイルとしてだけでなく、時代物としての面白さもちゃんと出ている。斉では一家の娘が巫女となって家を守る習俗があったというのは白川静による理解だと思うが、生前の白川静に読ませて感想を聞きたかった気もする。
読了日:10月22日 著者:陸 秋槎

大化改新を考える (岩波新書)大化改新を考える (岩波新書)感想
大化改新によって社会・民衆がどう変わったのか?ということで、プロローグで言及される雨乞いの話のような側面からのアプローチが中心になるのかなと思ったら、「公民」の創出、郡評論争など、意外に「正攻法」のアプローチが中心で、肩すかしを食らった感じ。愚俗と婚姻習俗の話で、官の側の詔の文章は嫁入婚を前提としているのに、当時の婚姻の実態は妻問婚であるとか、このあたりの官民のずれに関する話は面白い。
読了日:10月24日 著者:吉村 武彦

移民国家アメリカの歴史 (岩波新書)移民国家アメリカの歴史 (岩波新書)感想
日系・中国系といったアジア系移民の扱いを中心に見る「移民国家」としてのアメリカの歴史。20世紀初め頃まで「白人」概念にかなりゆらぎがあったこと、マイノリティ側の抗議が政府によって承認されると、それが人種差別を克服した「国家再生」の物語として回収されるというワナがあるという指摘など、読みどころが多い。日系移民が戦時中の自分たちの経験を踏まえて、近年アラブ系移民に救いの手を差しのべる運動を展開しているという話には救いを感じる。
読了日:10月25日 著者:貴堂 嘉之

公卿会議―論戦する宮廷貴族たち (中公新書)公卿会議―論戦する宮廷貴族たち (中公新書)感想
タイトルから貴族たちが政務に対していかに同僚たちの合意を形成しようとしてきたかという「横方向」の話かと思いきや、どちらかというと、摂関政治の成立、院政の開始、武家の台頭と、その時代時代の実力者が貴族たちに対していかにして自分の意向を認めさせようとしてきたかという「縦方向」の話が中心となっている。何となく本書の江戸時代版、幕府内あるいは朝廷や諸大名も含めての話も読みたくなった。
読了日:10月28日 著者:美川 圭

戦国時代の天皇戦国時代の天皇感想
天皇を経済的にバックアップしていた室町幕府の衰退が日常生活や儀礼などの天皇の活動、あるいは天皇を支える皇族、女官、廷臣たちに何をもたらしたかを、天皇自身の文書や日記を史料としてまとめる。天皇自身のたゆまぬ努力によって天皇という存在は何とか次の時代まで持ち越すことができたが、戦国時代を乗り切れずに消え去った物事や人々の持つ意味合いの大きさを考えさせられる。
読了日:10月30日 著者:末柄 豊

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