博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

留学決まりました!

2008年07月31日 | 雑記
本日文部科学省から中国政府奨学金留学生として受け入れが決定したという通知が届き、希望通り吉林大学に留学できることになりました!

おまけに月々支給される奨学金も大幅に増額されるというお知らせ付きです。中国でももの凄い勢いで物価が上昇しているということでしたが、これで一安心です。

明日早速留学ビザの手続きに総領事館に行って来るですよ!
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『ハリー・ポッターと死の秘宝』

2008年07月30日 | 小説
『ハリポタ』最終巻を読了しました。

ネタバレのこともあってあまり多くを語れないわけですが、取り敢えずスネイプの喪男人生は涙なくして読めません。そしてダンブルドアの過去というかトラウマにも涙…… これからスネイプのことを呼び捨てでもスネイプ先生でもなく、スネイプさんと呼ぶことにしたいと思います(^^;) 

ストーリー自体はあらかた収まるべき所に収まったなという感じなんですが、そこに行き着くまでに今まで以上に死人が出て、まさに死屍累々の状態となっております。

で、「例のあの人」の一人称はやっぱり「俺様」なわけですが、これに関しては静山社が翻訳の権利を確保したのが運の尽きだったとしか…… 大手出版社から出ていたら「児童書だから登場人物の言葉使いも子供向けに」なんてアホな判断をしなかったかもしれませんし、日本語版が英語版の1年以上後に出版なんて事態も避けられたんじゃないかなあと。現に中国語版は(人海戦術で翻訳しているんでしょうけど)毎巻英語版からそう時間をおかずに出版されていましたし。
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『愚公移山』

2008年07月28日 | 中国古典小説ドラマ
「愚公移山」というのは『列子』湯問篇に見える説話で、愚公という老人が自分達の住む集落が険しい山に囲まれて他の土地に出掛けるのが何かと不便だというので、子や孫といった一族を総動員して山を切り崩すことにします。

当然愚公の友人などは「そんなことをしてもムダだ」と嘲笑うわけですが、愚公の方は「自分がこの仕事をやり遂げずに亡くなったとしても、子孫がこの仕事を引き継げばいつかはきっと山が平らになろう」と言って取り合いません。で、その話を聞いた天帝が愚公の考えに感服し、配下の神仙に命じてその険しい山々を移動させてしまったというお話。

この「愚公移山」の故事がこのほど全30話もの長編ドラマになったというのですから驚きです(^^;)(リンク先のサイトでは全40話とありますが、『新浪網』の紹介頁によると全30話が正しい模様。あるいは元々全30話だったものをDVD版で全40話に編集し直したのかもしれませんが。)普通にあらすじをなぞれば1話分で終わってしまいそうなところを、神仙や妖怪の出番を大幅に増やしたりして半ばムリヤリに長編神話劇に仕立てている模様。

武侠界隈が『ドラゴンキングダム』だ(これは土曜日に見に行きます)、新版の『射英雄伝』だで盛り上がっている中こんな作品を取り上げてアレですが、怖いもの見たさで見てみたいような気もする作品です(^^;)
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『新上海グランド』第4話

2008年07月27日 | 中国近現代ドラマ
ぼちぼちと『新上海グランド』を見てます。前回の第3話で学生時代の恋人方艶雲のコネで美華劇場の主任に収まった許文強。しかし諸々の事情で劇場の上司から命を狙われ、しかもその刺客として雇われたのがよりによって許文強の兄弟分の丁力だった!というあたりまでが本日放送の第4話。

黄暁明演じる許文強は元々北京の学生だったのが愛国運動に関わって官憲にとっつかまり、数年後にようやく刑務所から出所した後に方艶雲を頼って上海にやって来たという設定のようですが、元学生という割には劇場にイチャモンをつけにやって来たチンピラのあしらい方がうまかったり、黒社会の大物に銃を突きつけられても逆にねじ伏せたりと、不自然なまでに出来すぎたキャラになっているのが気になります。

あるいはこの許文強、非力で官の圧力に押しつぶされた革命家崩れのインテリが自分達の理想を託して作り上げたキャラなのではないかと勘繰りたくなりますが(^^;)
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『北京大学てなもんや留学記』

2008年07月26日 | 中国学書籍
谷崎光『北京大学てなもんや留学記』(文春文庫、2008年7月)

留学前にこういうのも読んでおくかという感じで読んでみました。SARSが流行した年に名門北京大学に留学していた著者による体験記です。中国留学にあたってのワナがこれでもかと列挙されていますけど、大半は注意していてもどう仕様もないことばかりなんですが(^^;) 

以下、ツッコミ所というか面白かったポイント。

○中文系にいた著者の知人は古代文字の書き取り各20個が宿題だった。
……私の専門がまさにその古代文字なんで、やっぱりそういう書き取りをみっちりやらされることになるんでしょうか(^^;)

○共産党員の資格は大学院への進学や留学、公務員試験などに有利。犯罪をおかしても法律ではなく党規で処分され、階級の降格・除籍などで済まされる。
……これ、どこまで本当なのかわからないですが、犯罪に対する処分の仕方は古代の二十等爵制に似てますね。(秦漢期には男性庶民を対象に一律に一級ずつ爵位を授与する制度があり、爵位を有する者は犯罪をおかしても爵位と引き替えに刑罰が減免された)

○この国では権力側のクリーンヒーロー、『遠山の金さん』や『暴れん坊将軍』や『水戸のご老公』の物語は成り立たない。
……いやいや『包青天』がありまんがな(^^;) ドラマでは清朝皇帝もしょっちゅうお忍びで出掛けては人助けをしてますし。ただ、著者の言うように印籠にあたるものは出しませんけどね。

○オーディション番組の『超女』が大ブームになったのは、自分たちが自分たちのスターを選んだから。
……これについては『チャイニーズカルチャーレビュー』の第4巻でも触れられてましたね。

○清華大と北京大とのカラーの違い
……両方とも北京の名門として知られる大学ですが、著者によると清華大がスマートだが人情味に欠けるというイメージなのに対して、北京大学はバンカラだが情に厚い傾向があるとのこと。

色々と両校の学生の比較をしていますが、特に笑ったのは北京大男子学生の夏休みの過ごし方の一例。「貧困地区でボランティア。チャンバラ小説を読みつつ酒でも飲んで酔っぱらう」だそうです。「チャンバラ小説」というのは言うまでもなく武侠小説のことですね。ということは、清華大学の学生は金庸なんか読まず、一時期北京大生に神扱いされていた周星馳の映画なんかも見てないんでしょうか(^^;)
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『大明王朝1566』その4

2008年07月24日 | 中国歴史ドラマ
『大明王朝1566』第22~29話まで見ました。

果敢に鄭泌昌・何茂才を訊問する海瑞。訊問の内容が宮廷内部の事にまで及ぶのではないかと恐れる上司の趙貞吉をよそ目に、遂に厳世蕃が大洪水の際に浙江各地の堤防を決壊させるよう指示していたことを突き止め、嘉靖帝に上奏文を送ります。

内閣首輔の厳崇、次輔の徐階、宦官のトップ呂芳はこの海瑞の上奏を闇に葬ろうとしますが、この事を知った嘉靖帝は上奏文を入手したうえ、3人の元老のうち厳崇と呂芳を閑職へと追いやります。そして浙江での汚職の中心人物でありながら海瑞の追及を恐れるあまり頭がおかしくなってしまった宦官の楊金水を自ら訊問し、鄭泌昌・何茂才・厳世蕃らの悪事をあらかた知ってしまいますが……

全体の半ば近くまで話が進んでますが、ここに来て新しいメインキャラが登場。呂芳の片腕となる宦官の陳洪と黄錦です。陳洪の方は典型的な権勢欲の塊で、呂芳が更迭されるやいなや俺様がトップだと威張り散らすタイプ。かたや黄錦の方は嘉靖帝に忠実に仕えようとし、失脚した呂芳や気が触れた楊金水をも思いやるような人物です。

古装片に出て来る宦官って、蓄財に励み、実権を握って野心を満たそうとするタイプと、ひたすら誠実に主人に仕え、権勢に無頓着なタイプの2種類に分かれるんですが、この2人、この両タイプをそれぞれ代表していて面白いです。

しかし厳崇と呂芳を更迭したのは単に彼らに反省を迫るためだけだったと見え、嘉靖帝はすぐに2人を復職させたうえ、その目の前で開封すらしていなかった海瑞の上奏文を燃やしてしまいます。この人、やっぱり行動につかみ所がありません。これで元の木阿弥かと思いきや、嘉靖帝の脳裏には海瑞の存在が強く印象づけられたようで……

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『興亡の世界史12 インカとスペイン 帝国の交錯』

2008年07月22日 | 世界史書籍
網野徹哉『興亡の世界史12 インカとスペイン 帝国の交錯』(講談社、2008年5月)

インカ帝国の崩壊だけではなく、当時のスペインの状況も合わせて見てみようという構成になっていますが、面白いのはやっぱりインカ帝国の社会や制度について論じた部分だったり(^^;)

特に興味深かったのはインカ王の系譜に関する話です。実はインカ王の系譜やそれにまつわる伝承が固定化したのはスペインによる征服の後のことであり、スペイン側が系譜・伝承を現地人からの聞き取りによってまとめようとした際に、インカの王族と称する人々が自分達の権益を確保するための根拠として自分達に有利な伝承を作り上げ、スペイン側に提供したと考えられるとのこと。ですからこれまで通説とされてきた王朝史を必ずしも歴史的な事実として見ることが出来ないということになります。

先日紹介した落合淳思『甲骨文字に歴史をよむ』では、殷王の系譜も『史記』殷本紀に見えるような形にまとめられたのは殷王朝滅亡後で、殷王の系譜は時期によって変動したということなんで、こうした問題は古今東西どの王朝にもつきまとうものかもしれません。

あと気になったのはマチュ・ピチュの性質についてです。マチュ・ピチュはこれまで何となくインカ帝国滅亡後の、インカ族による抵抗の拠点となった場所だとされてきましたが、近年では第9代パチャクティ王及びその子孫の王族たちのための私領だったのではないかと考えられているとのことです。
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ここ2日間の出来事 7月連休編

2008年07月21日 | 雑記
昨日は午前中いっぱい某県の教員採用試験の面接を受け(これは留学から帰国した後の仕事のため。講師の任用についても採用試験を受けたかどうかが参考にされることがあるようなので……)、夕方からは河原町方面で開催の金庸関係のオフ会へ。

面接では「あなたのストレス解消手段は?」という質問で他の受験者が「スポーツやドライブで発散させる」とそれらしい答え方をする中で、うっかり正直に「中国の歴史ドラマを鑑賞することです」と答えてしまい、その場でもの凄く後悔。いや、しかし他に適当な答えを思いつかなかったしなあ……

で、今日は今日でマイミクの武藤臼さん主催のオフ会に出るため、またもや河原町方面へ。こちらではモンゴル史や突厥などの話題が中心となりました。しかし遊牧関係の学会は研究者・学生と一般の愛好家の方とが混ざり合って和気藹々とやっているようで楽しそうですねえ(^^;)
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『大明王朝1566』その3

2008年07月18日 | 中国歴史ドラマ
『大明王朝1566』第15~21話まで見ました。

朝廷は御用商人の沈一石が江南織造局の看板を掲げて田地の買収を図ったことを問題視し、沈一石の捕捉と屋敷の捜索を決定。杭州知府の高翰文は早速沈一石の屋敷へと踏み込んだものの、時既に遅く沈一石は屋敷もろとも自焚し、彼の所有していた関係者の悪事の証拠となる帳簿類も浙江巡撫の鄭泌昌・何茂才のもとへと運び込まれた後でありました。一方その頃、浙江総督の胡宗憲と将軍戚継光は倭寇との高いの火蓋を切ろうとしており……

というわけでいよいよ倭寇が登場です。



上の画像を見る限り、『新忠烈図』なんかと比べて随分とらしい格好になっております。後は髪型をざんばら髪にしたり、ボロッちい具足を身に付けたりすればよりそれらしくなると思われ。しかし日本語の適当さ加減は『新忠烈図』とドッコイドッコイですね。もっとも、この時期の倭寇は中国人・朝鮮人が中心ということなんで、これはこれで良いのかもしれませんが……

で、戚継光らが決死の戦いを繰り広げている間、鄭泌昌・何茂才が何をやっていたかと言えば、役所の庭でこれまでの悪事の証拠隠滅とばかりに一所懸命沈一石の帳簿を燃やしていたのであります。このギャップの激しさに泣けてきます(;´д⊂)

しかしその甲斐もなく嘉靖帝がどこからか沈一石の帳簿を入手。鄭泌昌・何茂才を罷免したうえで彼らを推薦した厳世蕃を内閣から排除し、厳崇は内閣首輔に留まるものの、内閣次輔の徐階を実質的な首班に据えて体制を一新。更に徐階の弟子の趙貞吉を新任の浙江巡撫として現地に派遣し、実情を探らせることとなります。

海瑞と王用汲も趙貞吉とともに鄭泌昌・何茂才を訊問することになりますが、今までこの2人が摘発されるのを他人事のように眺めていた楊金水も、江南織造局にまで責任を追及しようとする海瑞に恐れをなし……
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『甲骨文字に歴史をよむ』

2008年07月17日 | 中国学書籍
落合淳思『甲骨文字に歴史をよむ』(ちくま新書、2008年7月)

基本的に甲骨文字・甲骨文の読み方のみ解説していた前著に対し、今回は甲骨文を史料として殷代の社会や歴史などを読み解いていこうという主旨。殷王の系譜はその時々の都合によって変化していたのだといった著者のこれまでの研究成果が盛り込まれたものとなっています。

白川静が漢字の字源から呪術性を読み取る傾向を批判したり、夏商周断代工程は文献の記述をベースにしているという点で日本の皇紀の制定と似たり寄ったりだとか、中国で2005年にその内容が発表された板方鼎を偽銘と断定したりと、ラディカルな主張が目立ちます。

ツッコミ所も無いわけではないですが、ここではひとつだけ。最初の方で殷代政治史を継続的に研究しているのは著者1人だけというような記述がありますが、何ぼなんでももう1人ぐらいはいます(^^;) 政治史にこだわらなければもうちょっと増えます。どっちにしろ日本では数えるほどしかいないのは確かなんですが……
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