博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『武神趙子龍』その1

2016年04月28日 | 中国古典小説ドラマ
『宮廷女官ジャクギ』の「14」こと林更新が『三国志』の武将趙雲を演じるということで話題の『武神趙子龍』を見始めました。今回は第1~6話まで鑑賞。

後漢末、子龍(趙雲)の父趙安と同僚の李全は、董卓によって皇位を追われる寸前の少帝から漢王朝の護国神器「青剣」と「倚天剣」を託されます。そして家族とともに常山郡の片田舎に身を隠して十数年。かつての弟弟子で董卓の配下となった夏侯傑に居場所を突き止められた趙安は、息子の子龍と弟子の柳慎・児兄妹に「青剣」を託して村から逃亡させ、自らは妻とともに死の道を選びます。

伝説の剣を父親から託された勇者趙子龍は、魔王董卓の手下に故郷の村を追われ……と書くと何だかドラクエのようですが、本作はやはりドラクエ時代劇だった『蘭陵王』と同じようなノリの作品ということになりましょうか。


さわやかイケメンで、文武両道という設定の趙子龍さん。

で、都会の真定県で寺子屋の先生をしたり、「鉄面侠」と名乗って山賊退治をしたりしながら、「倚天剣」を持つはずの李全を捜索することになりますが、近辺の虎牙山の山賊たちに目をつけられたり、夏侯傑の娘軽衣の婚約者で、真定県の県令代理となった高則(韓流俳優のキムジョンフンが演じてます)と「青剣」を賭けて戦ったりすることに……


趙子龍「鉄面侠」バージョン。


趙子龍かぶりものバージョン。「何をかぶっているのかは決して重要ではない」などと自分で言っちゃってますが…… ドラマの制作スタッフ、ちょっと遊びすぎでしょう (^_^;)


そしてこちらが少女時代のユナ演じる夏侯軽衣。高則といい、目玉の韓流俳優がいずれもドラマオリジナルキャラなんですよね。普通は呂布とか貂蝉あたりに配役しそうなもんですが。ただ、ポジションとしては高則も夏侯軽衣も今のところメインキャラの扱いです。

逆に劉備・関羽・張飛の三兄弟とか呂布・貂蝉とかがおまけ程度の扱い、曹操に至ってはまだ登場すらしていないということで、三国志ドラマとしては先行きが物凄く不安になってきますが、ドラクエ時代劇としては先の展開が滅茶苦茶楽しみですw
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『新蕭十一郎』その7(完)

2016年04月22日 | 武侠ドラマ
『新蕭十一郎』第37~最終42話まで見ました。

蕭十一郎が武林から姿を消して1年。彼の名を騙る虐殺事件が頻発したことで、再び武林に舞い戻ります。逍遥侯亡き今、蕭十一郎のふりをして彼に罪をなすりつけたりするのは、この人です!!


沈飛雲亡き後武林盟主に収まり、髪型をオールバックにした連城璧さん。色々あって性格はすっかり闇落ちしてます。妻の沈璧雲が蕭十一郎に関する記憶を取り戻しつつあるのに冷や冷やしつつ、自分の悪事の目撃者となった尼僧竹音を脅したり、無垢山荘に闖入した風四娘に「入門歓」(武侠物によく出てくる媚薬的なアレです)を飲ませたりと、ダーティな所業に手を染めていきます。

そして割鹿刀と、その本来の力を解放するための鍵を手に入れた彼は、武林統一と蕭十一郎討伐に邁進。蕭十一郎は忘川谷で連城璧との最終決戦に臨むことにしますが……

【総括】
ということで、久々に武侠ドラマの佳作を見たなという感じです。登場人物の過去のエピソードに説明が少し足りてないかなという箇所も見受けられましたが、同じ鞠覚亮作品の『侠骨丹心』とか『逆水寒』に比べると随分マシなレベルです。古龍原作、イケメンの厳屹寛主演という引きもありますし、クオリティ的には日本語版を出しても問題ないレベルだと思います。

しかし沈璧君というか、彼女に情蠱を仕込んだ逍遥侯に振り回される形になった連城璧さんが不憫でならない (^_^;)
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『新蕭十一郎』その6

2016年04月14日 | 武侠ドラマ
『新蕭十一郎』第31~36話まで見ました。

玩偶山荘から脱出しあぐねている一同ですが、そこへ連城璧も山荘に連れ込まれ、更にカオス状態に…… そんな中、逍遥侯と積年の因縁を精算しようと戦いを挑む武林盟主沈飛雲さん。もともと恋人同士だったこの2人ですが、色々感情の行き違いがあったらしく、逍遥侯は沈飛雲らの小師妹李小婉を愛するようになり、沈飛雲ら同門の3名がお腹の子ごと李小婉を刺殺するという凄惨ないきさつがあったのでした。

その決戦の最中、清静師太が「実は連城璧が逍遥侯と李小婉との間の子である」と、とんでもないことを言い出します。もちろんウソです。逍遥侯を混乱させて隙を見出そうと、沈飛雲が提案した策略なのですが、逍遥侯は真偽を判断できず、取り敢えず彼を息子として遇することに。その一方で、清静師太は彼の体に残された傷から、蕭十一郎こそが本当の逍遥侯と李小婉との間の子であることを見出します。蕭十一郎と連城璧は、『絶代双驕』の小魚児と花無欠、『辺城浪子』の葉開と傅紅雪など、古龍作品ではよく見られる対照的な(双子あるいは同じ年頃の)兄弟の関係になっていますね。

山荘からの脱出法を見つけ出した蕭十一郎らは、「天宗」の総本山で逍遥侯と最終決戦。そして蕭十一郎が父子の名乗りを挙げます。「そんなウソが二度も通用するか!」ともっともなツッコミを入れる逍遥侯ですが、彼の血を飲ませることでしか治せないはずの沈璧君の情蠱が、蕭十一郎の血でも症状が緩和されたため、父子関係が証明されることに。そして逍遥侯と沈飛雲は戦いの末に和解を果たし、崩れ落ちる「天宗」の総本山の中で運命をともにしたのでした。ここで突然行方不明になっていた沈璧君の父親が出てきたりしますが、どうもこのあたりの過去のエピソードが消化不良気味になっています……

山荘からの脱出後は、蕭十一郎&沈璧君、楊開泰&風四娘、そして連城璧と山荘で出会った謎の侍女氷氷(その正体はドラマを見ている皆さんにはバレバレだと思いますが)と、それぞれカップルが成立したかのように見えましたが、沈璧君は情蠱の治療のため蕭十一郎の血を飲むたびに彼と過ごした記憶が少しずつ失われ、その記憶が完全に失われた時点で蕭十一郎は彼女を連城璧に託すことを決意。情蠱の治癒と恋人との記憶の保持は両立できないという設定になっているようです。蕭十一郎から対処法を聞かれた小公子(逍遥侯の没後は「天宗」の後継者蕭十一郎の配下となっている)が「何かを得れば何かを失う。人生ってそういうもんじゃないの?」と、年齢の割には何かを悟っているかのような返答をしてるのが何だかムカつきますw

で、沈璧君と連城璧が結婚。ついでに風四娘と楊開泰も結婚し、蕭十一郎は武林から身を隠しますが、逍遥侯の死から1年、武林で再び虐殺事件がおこり……という所で次回へ。
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『新蕭十一郎』その5

2016年04月08日 | 武侠ドラマ
『新蕭十一郎』第25~30話まで見ました。

一連の虐殺事件や沈家荘の火災の犯人に仕立て上げられ、武林の公敵として追われることとなった蕭十一郎。結局小公子に救われ、「天宗」の総本山へと舞い戻ることになります。実は虐殺事件のほとんどが、蕭十一郎に変装した小公子が独断でやったことなのですが…… ここで逍遥侯がまたぞろ師匠面しつつ、蕭十一郎に自分が実は偽善者であると自覚させたり、他人に無情であることを教えようとしたりしていますが、このあたりの逍遥侯の態度は何だかタチの悪いメンターというか自己啓発セミナーの講師のようでもあります (^_^;)

さて、沈家荘火災の真犯人が連城璧であることを知る侍女の無霜でしたが、一方で以前から連城璧を恋慕していたので、彼に迷惑を掛けたくないと武林から身を引こうとします。しかしそれでも真相を知る証人を生かしておいては色々と不安ということで、連城璧は彼女を密かに殺害。前回あたりから連城璧さんの偽君子化が止まりません……

その後「天宗」の総本山をあとにした蕭十一郎は、自分を捜索していた沈璧君を冷たく突き放し、連城璧のもとに戻るよう促します。連城璧はそんな沈璧君をやさしく迎え入れ、蕭十一郎が虐殺事件の犯人ではないという彼女の言葉を受け入れたかのように見せかけ、その実師匠を殺された「武林六君子」の剛らをけしかけて蕭十一郎の抹殺を図ります。

そんな連城璧の偽君子ぶりに絶望した沈璧君は、蕭十一郎のもとに舞い戻り、泥酔している所を剛らに襲われて深手を負った彼を助け、夜雨の中2人で力を合わせて1人ずつ追っ手を仕留めていきます。このあたりは古龍原作らしいハードで見応えあるシーンになっていますね。

で、何とか危機を乗り越えてその場で力尽きた2人が翌朝目覚めたのは、謎の「玩偶山荘」の一室。ここは武林で行方不明になったとされる人士が日夜遊び暮らす広大な屋敷なのですが、蕭十一郎と沈璧君も何者かによってここに連れ込まれたようです。その何者かというのが逍遥侯であることはもうバレバレですね。

そこで死んだはずのあのお方とも再会。


お馴染み武林盟主の沈飛雲さんですw 姉弟子の清静師太(風四娘の師の阿秀)ともども、沈家荘で火災が発生した時に小公子によって山荘に連れ込まれた模様。ただ、同じく現場に居合わせた連城璧ママこと白紅蓮さんは焼死してしまったようです……

そして覆面を付けた連城璧さんに襲撃されて崖落ちした風四娘&楊開泰も山荘に連れ込まれて蕭十一郎らと合流。美酒・美食・美女何でもござれだが脱出だけはできない玩偶山荘から抜け出そうと図りますが…… 個人的な要望として、崖から落ちて死んだ人はいないネタを使うのは1作品につき1回だけにして欲しいところです。
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『新蕭十一郎』その4

2016年04月02日 | 武侠ドラマ
『新蕭十一郎』第19~24話まで見ました。

沈璧君の奇病は、蠱毒の中でも本人に親子の愛、恋人への愛など、情愛が生じた時に発症する「情蠱」であると判明。逍遥侯はその情蠱の治療と引き替えに、なぜか蕭十一郎に「割鹿刀」を授けて「天宗」の武功をマスターすることを要求。


仮面で素顔を隠していた逍遥侯ですが、このあたりから素顔が明らかに。彼を演じるのは呂良偉(レイ・ロイ)。

で、不審に思いながらも修業をこなしていく蕭十一郎ですが、武功をマスターして「天宗」のアジトから解放される直前に、「情蠱を治療すると言ったな。アレはウソだ。治療は不可能なのだ。できることと言えば、発症の原因となる恋人=お前が彼女の前から姿を消すことだけだ」と、無慈悲な真実を逍遥侯から告げられる蕭十一郎。

その言葉通り沈璧君の前から姿を消す蕭十一郎ですが、その後、武林では「割鹿刀」を手にした蕭十一郎が主要な門派・幇会の人士を虐殺するという情報があちこちから伝えられるようになります。当然蕭十一郎がそんなことをするはずもなく、何者かが彼に罪を押し付けているわけなのですが……

一方、沈璧君は連城璧との婚約解消を求め。連家の「無垢山荘」で衆人環視の中、連城璧ママこと白紅蓮の求めるままに、鞭で打たれながら焼けた石を敷き詰めた道を歩く「三嘯奪命鞭」の荒行に挑んだり、蕭十一郎の無実を信じて彼を捜索したりしていますが、彼女が留守にしていた間に、その実家である沈家荘が、蕭十一郎らしき人物によって放火され、母の沈飛雲と、彼女のもとに赴いていたという白紅蓮が焼死することに……

実はこの放火、蕭十一郎でも逍遥侯でもなく連城璧のしわざなのでした。婚約の破棄が原因となって沈・連両家の対立が再燃し、武林大会を開催して連城璧の父連沢天が自害した真相、―すなわち逍遥侯と決闘して敗北し、その際に無様にも逍遥侯に跪いて命乞いしたこと―を公表すると宣言した沈飛雲に対し、連城璧が思いとどまらせようとしたのですが、それを拒否され、諍いとなって沈飛雲を昏倒させ、その際に燭台が倒れて火が燃え移ったので、これ幸いとおおっぴらに放火して、当時の実状を記した父親の遺書を奪ってそのまま逃亡したという次第。まあ武侠物ではありがちな展開です。

しかし当時屋敷にいた沈璧君の侍女無霜が逃亡しようとする連城璧の姿を目撃しているようなのですが……?
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2016年3月に読んだ本

2016年04月01日 | 読書メーター
古文書返却の旅―戦後史学史の一齣 (中公新書)古文書返却の旅―戦後史学史の一齣 (中公新書)感想
本書に名前が出てくる白水智氏の『古文書はいかに歴史を描くのか』を読んだ際に、こちらも読みたくなった。白水書が古文書を用いた研究のバックヤードだとすれば、こちらはバックグラウンドということになるだろうか。本書では古文書の返却が、逆に寄贈や現地との交流のきっかけになるという、幸福な事例が比較的多く取り上げられているが、本書の記述で少しにおわされているように、不幸な事例もあったのではないかと思われるが…
読了日:3月3日 著者:網野善彦

大地の牙 満州国演義六 (新潮文庫)大地の牙 満州国演義六 (新潮文庫)感想
今回はノモンハン事件から第二次世界大戦勃発の前後の時期の話。さりげなく吉本興業が戦地慰問団「わらわし隊」を派遣していた話などが出て来て面白い。これまで実在の人物の絡みはおとなしめだったが、四郎が満映に入社したこともあり、甘粕正彦は扱いがやや大きい印象。
読了日:3月8日 著者:船戸与一

武帝―始皇帝をこえた皇帝 (世界史リブレット人)武帝―始皇帝をこえた皇帝 (世界史リブレット人)感想
並みの皇帝のみならず、非凡な皇帝にすら不可能になりつつあった、巨大規模の国家を、「皇帝官房」(側近官僚群)によって統御していくという仕組みを作り上げた皇帝として、漢の武帝を再評価する。その論旨には批判もあるだろうが、吉川幸次郎・永田英正といった先人による武帝の評伝とは充分に差別化できている。
読了日:3月9日 著者:冨田健之

テーマで読み解く中国の文化テーマで読み解く中国の文化感想
編者の専門柄出土文献に関係するテーマが多いが、それ以外にも宗教と民間信仰、中国医学などのテーマを取り上げ、読み物として面白い中国伝統文化の概説となっている。純粋に学術の面からの中国論かと思いきや、「国情・面子」のような俗流中国論も混ざっているところが不思議ではあるが…
読了日:3月10日 著者:湯浅邦弘

京都の神社と祭り - 千年都市における歴史と空間 (中公新書)京都の神社と祭り - 千年都市における歴史と空間 (中公新書)感想
八坂神社・北野天満宮といった京都の主要な神社と、葵祭・祇園祭などの主要な祭りの歴史的な変化や、氏子との関係などをまとめる。祭りの古い時代のあり方が、その影響を受けた地方の祭りにそのまま受け継がれているといった話が面白い。本題とは関係ないながら、祭りの奉納芸能として演じられた田楽の演目に、今でいうホッピングやジャグリングのようなものも含まれていたという点が気になるが…
読了日:3月13日 著者:本多健一

興亡の世界史 シルクロードと唐帝国 (講談社学術文庫)興亡の世界史 シルクロードと唐帝国 (講談社学術文庫)感想
タイトルには「唐帝国」とあるが、真の主役となるのはソグド人。文庫化を機に読み返してみたが、近年の「東部ユーラシア」研究の流行に強い影響を与えたと評価できそう。そして(こういう表現をすると失礼かもしれないが、)随所で著者の熱い「厨二」魂が感じられ、そこが本書の魅力につながっている。
読了日:3月21日 著者:森安孝夫

カストロとフランコ: 冷戦期外交の舞台裏 (ちくま新書)カストロとフランコ: 冷戦期外交の舞台裏 (ちくま新書)感想
『カストロとフランコ』とあるが、実際の内容はフィデル時代のキューバとフランコ時代のスペイン、アメリカ、バチカンをめぐる外交関係。現在の日本の対中国、対イスラム国との関係に置き換えてみると、相手を一方的に敵と見なし、対話のチャンネルを設けないことが、いかに国家の選択肢を狭めるかがよくわかる。また、キューバは独立以来アメリカの強い影響下にあり、国内にグァンタナモ基地を擁しながらも、キューバ革命を達成できたことを考えると、今の日本の選択肢が対米従属しか無いというのが単なる甘えでしかないのではないかと思う。
読了日:3月24日 著者:細田晴子

天の血脈(7) (アフタヌーンKC)天の血脈(7) (アフタヌーンKC)感想
応神天皇は神功皇后と百済王世子との間の子であることを証明させ、それを日韓併合の口実としようとして、「おかしなことするな!」と明石元二郎にシメられる内田良平…… 国策のためとか何とか理由をつけてるけど、要するに内田良平さんがトンデモ古代史を好きなだけではないかという気がしてきたw
読了日:3月25日 著者:安彦良和

日本古代史をいかに学ぶか (新潮選書)日本古代史をいかに学ぶか (新潮選書)感想
日本古代史学入門というよりは、著者による研究史の回顧という側面の方が強い。(期待した出口王仁三郎との関係についてはまったく言及されていないが……)著者が強い影響を受けたとして挙げる人物の一人に折口信夫がいるが、折口信夫の学問というのは、日本古代史の分野においても非常に扱いが難しいというか、扱いに困っているのだなと感じた。あとは、京大在学中に貝塚茂樹と三品彰英の講義も受けたというのが興味深いところ。
読了日:3月27日 著者:上田正昭

古代東アジアの女帝 (岩波新書)古代東アジアの女帝 (岩波新書)感想
概説書というよりは歴史小説にノリが近い。天武の父が高向王であるとか、天智同母妹の間人皇女が斉明から大王位を継承したとか、天智が大津皇子への大王位継承を図っていたといったようなことは、日本古代史学の分野でどの程度支持されているのだろうか?どうせ小説的に話を進めるのならば、また持統と武則天の両方を取り上げるならば、日本の天皇号が唐の高宗の天皇号に影響されたものと言い切っても良かったのではないだろうか。概説書としても小説的歴史本としても不満が募る書である。
読了日:3月28日 著者:入江曜子

世界の名前 (岩波新書)世界の名前 (岩波新書)感想
古今東西の名前や氏姓に関するエッセー集。各項の執筆者は当該地域の言語学・文学・歴史学等の研究者。当然体系立った著述ではないが、雑学的に見るには面白い本となっている。日本とかけ離れた命名をする地域が目に付く一方で、日本と同じようにもともと庶民に氏姓がなかったのが、近現代に入って氏姓を名乗ることが義務づけられ、適当に氏姓をつけてしまったり、無事の成長を祈って子供に縁起の悪い名前をつけたりといった、共通点が見出せる地域も多々ある。
読了日:3月31日 著者:

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