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博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大軍師司馬懿之軍師聯盟』その5

2017年07月26日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之軍師聯盟』第25~30話まで見ました。

曹丕の魏王即位にともない、司馬懿は御史中丞に出世。息子達もいつの間にか青年に成長しております。

ここで問題になるのは、夏侯惇・曹洪・曹真といった宗親たちの扱いです。彼らの勢力や権限を掣肘したいという曹丕の意を承け、陳羣と司馬懿が有名な「九品官人法(九品中正法)」の草案作成に乗り出すことになります。新たな人材の推薦権を朝廷に一元化し、宗親たちから人事に関する権限を奪おうということなのですが、宗親たちもその意図を察し、「ええい、取り敢えず我らが藩王になってしまえばそんなものはいくらでも潰せるわ!」という方向性により、まずは曹丕に皇帝即位を促すという作戦に出ます。一方、九品官人法を含めた司馬懿らの構想する「新政」は、鍾会ら士族出身の若い学生たちの心を捉えていきます。

そうした中、曹丕はお飾りの帝位に嫌気がさした献帝からようやく禅譲を受け入れることを決意し、皇帝の即位式が行われます。そして新帝となった曹丕の面前で司馬懿が「新政」の策定を求める上奏を読み上げ、宗親たちに動揺が広がります。司馬懿は曹丕の意図を汲んでいるのですが、曹丕はそれを表に出さないので、宗親たちの「新政」へのヘイトは司馬懿に向けられ、司馬懿もそれを承知で鉄砲玉を買って出ているという構図となります。

で、この上奏に対して司馬懿が曹丕からお褒めの言葉を頂き、「朕からの心意を拒むでないぞ」と言い含められて訳も分からず馬車に乗せられて連れられて来た先で、柏霊筠さんとご対面w


後の司馬懿の愛妾柏夫人です。彼女は美貌と知恵を誇るということで曹丕に見出され、司馬懿に側室としてあてがわれることとなりました。その表向きの理由は、司馬懿に美女に溺れたふりをして宗親たちの矛先をかわせということなのですが、その真の理由は、重職となった司馬懿の監視役です。ムリヤリ曹丕の用意した別荘に軟禁され、貞操を守ろうと四苦八苦する司馬懿ですが、夫がいつまでも家に戻らないことを不審に思った張春華が駆けつけて無事救出されます (^_^;) しかし曹丕に彼女を突き返すこともできず、取り敢えず司馬懿宅で身柄を引き受けることに……

そして「九品官人法」が施行に移され、各地で中正官による人材の推薦が行われるようになります。


若き日の小役人鄧艾も推薦に応じますが、名門出身で見た目も爽やかな鍾会があっさり中正官に認められる一方で、身分がなく風采があがらず、おまけに吃音の鄧艾は自信作の屯田に関する論文を読んですらもらえず門前払い。それに先立って柏霊筠が司馬懿に「九品官人法って寒門の子弟の門徒を閉ざすことになりません?」という疑問を呈しているのですが、その予感が一部当たった形になっているわけですね。しかし鍾会が鄧艾の論文に興味を抱き……というところで次回へ。

九品官人法に関しては、朝廷が豪族から人材の推薦権を取り上げようという意図もあったという点と、後にはその意図が形骸化し、「上品に寒門なく、下品に勢族なし」と言われる状態となったことなどをうまくアレンジしているなと思います。
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『大軍師司馬懿之軍師聯盟』その4

2017年07月20日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之軍師聯盟』第19~24話まで見ました。

時は進んで建安24年(219年)、関羽が于禁を破って樊城を包囲し、天子のいる許都を窺うという危機的な状況となります。これに対応するために、曹操は鄴城の守りを曹丕に任せて親征。司馬懿も行軍司馬任じられて従軍することになります。


ついでに司馬懿の妻でカンフーマスターの張春華も夫の護衛として従軍します (^_^;) 演じているのはこれまた古装でお馴染みの劉濤。武芸に秀でているという点は『琅琊榜』の時と一緒ですが、性格とか演出はややコミカルになっています。

更に曹植と楊修も従軍しているわけですが、ここで楊修の最期を飾る「鶏肋」のエピソードが挿入されます。楊修は曹操に、天子を許都から鄴城に移して関羽の攻撃に備える一方で、天子と魏王が一箇所にいるのは、魏王が漢の朝廷の掣肘を受けることになるのでよろしくないと、魏の都を洛陽に遷すことを提案。これは対関羽防衛策と見せかけて、その実曹丕を鄴城に留めて曹操と曹植を洛陽に移し、後継者争いを曹植に有利なように進めようという一挙両得の策なのでした。

で、「鶏肋」の合図を洛陽遷都のゴーサインが出たと早合点し、その噂が全軍に広まったことで曹操が激怒し、楊修が処刑という流れに。この「鶏肋」の話は、本来同年の漢中攻防戦の時の挿話なのですが、樊城包囲戦で曹操が関羽に恐れをなして遷都を考えたという話とミックスしてうまくアレンジされています。

ライバルの最期を見取った司馬懿は、洛陽遷都の対案として孫権との同盟を提案。「じゃあ言い出しっぺのお前が何とかせい」というわけで、妻とともに呉の宮廷へ。


孫権を演じるのは『人民的名義』の趙東来役でお馴染みの丁海峰。京州市公安局長から出世されたようで何よりですw

ここで張昭と論戦したり陸遜と親交を結んだりしてますが、このあたりは将来のライバル孔明の赤壁前夜の大論戦を司馬懿にスライドさせてるんでしょうね。この作品、こういう『三国志』へのリスペクトというかアレンジがうまいです。

そして呉との同盟が功を奏し、本作で一度も登場せぬまま麦城でナレ死を遂げる関羽。しかし魏での関羽の葬儀は丁寧に描写し、存在感は醸し出しています。このあたりの演出もうまいです。この前後に曹丕がようやく曹操から太子に指名。死期を悟った曹操は死んだ楊修の提案通りの洛陽への遷都を最後の仕事と定めますが、そのまま洛陽で病没。今際の際に曹植に「お前は良い君主にはなれないが、良い詩人にはなれる。ワシはお前に誤った期待をしてしまった」みたいなことを言い残しています。曹丕と曹植、特に曹植は毒親に振り回された感が半端ないですね。

しかし太子の曹丕は遠く鄴城で留守を守っています。洛陽には曹植がおり、死の間際に長安から呼び寄せられた曹彰も洛陽へと進軍中。これはまずいと棺をさっさと鄴城へと移そうとする葬儀委員的な役回りの賈逵&司馬懿ですが、結局間に合わないまま曹彰が到来。


「曹植を後継に擁立してあなたは軍権を握ればよろしい」という丁儀の言葉に乗せられ、曹丕派の賈逵と司馬懿を捕らえる曹彰。しかし魏王の印璽は一足早く張春華の手に託されて鄴城の曹丕のもとへ。

この場面で曹植は、曹彰の到来を恐れて曹操の棺をとっとと鄴城に運び込もうという賈逵と司馬懿の提案に「落ち着いて父王を弔うことすら許されないのか!」と涙ながらに反対し、丁儀と曹彰のクーデター計画には「もう兄が太子ということで決まっている」と反対し、曹彰による賈逵と司馬懿の拷問も阻止しようとしてますが、この人、三兄弟の中で一番まともな感性を持ってますよね……

結局曹植は曹彰を酔っ払わせて寝入った隙に令牌を盗み出し、賈逵を解放してやります。そして自分は居残った司馬懿と酒盛り。そして事態を知った丁儀があっさり曹彰擁立に切り替えて司馬懿と曹植を処刑しようということになり、「おい、ちょ、待てよ、それオレの弟……」と事態の急展開についていけない曹彰。 そうこうしているうちに、印璽と母后の命により魏王位を継承した曹丕を奉じる夏侯惇の軍隊がやって来て万事休すに。夏侯惇はここで初登場です。

ということでこのドラマ、戦争シーンをやっているようで実は大してやっていないかったりと、言うほどお金をかけてないのが見て取れるわけですが、とにかく画面から高級感を醸し出すのがうまいんですよね。赤壁のぶったぎり具合とか関羽のナレ死なんかを見てると、方向性としては日本の大河の『真田丸』とか『直虎』に通じるものがあるのですが、日本の大河に足らないのはお金をかけずにこの高級感を感じさせる手法なんじゃないかなと。NHKの大河撮影班は中国のドラマ制作会社に研修に行くべきですね……
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『大軍師司馬懿之軍師聯盟』その3

2017年07月13日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之軍師聯盟』第13~18話まで見ました。

赦免を勝ち取った曹丕は父親から留守を託され、曹操は赤壁へと旅立ちます。赤壁の戦いで大敗したことはナレーションで語られるのみです。ここらへんは『レッドクリフ』のコピペで済ませた『武神趙子龍』(邦題『三国志 趙雲伝』)より更に潔いですね。

そして時は流れ、魏王に即位した曹操は、魏王国の都を鄴城に置きます。司馬懿ら百官と卞氏・曹丕ら曹操の家族も鄴城に遷りますが、曹植は天子のいる許都に留め置かれていたので、これを不憫とする母卞氏の意を汲み、曹丕が曹植も鄴城に迎えるよう求めます。それで曹丕・曹真らが夜間曹植一行を駅舎で出迎えるのですが、しこたま出迎え酒を飲まされた曹植は、早く父母に顔を見せなきゃいけないと馬車で城内に入ろうとし、天子か天子の命を受けた使者しか通れないとされる司馬門を強行突破して入城します。

それでお縄となってしまう曹植ですが、楊修の策謀により、司馬門を突破させたのは、付き添いで馬車に同乗していた司馬懿の長兄・司馬朗であり、酔っ払っていて人事不省の状態であった曹植のあずかり知らぬ事ということにして罪を切り抜けさせます。そもそも司馬朗を曹植に仕えさせたのも、彼を人質にとった形にして司馬懿を牽制しようとする楊修の陰謀なのでした。馬車には曹丕派の崔琰の甥も乗り込んでおり、彼が司馬朗の弁護をできるはずでしたが、楊修に脅されて司馬朗に不利な証言をしてしまいます。

泡を食って司馬朗の弁護を曹丕に求める司馬懿ですが、後継者争いが絡む問題とあって曹丕は事件への深入りに消極的。曹操も曹植を赦免したい=司馬朗をスケープゴートにする方が都合がいいということで、司馬朗救出は絶望的な状況に…… 

で、いつぞやの時と同様に荀彧に助けを求める司馬懿ですが、曹操と対面した荀彧は、話の流れから曹操にこれ以上の地位を求めず漢の臣であり続けることを求め、更にアカン方向に……


荀彧を演じるのは『琅琊榜』の言侯でお馴染みの王頸松。その直後に曹操から差し入れとして空櫃を贈られ、その意を悟って自害します。本当は曹操が魏公になるあたりで死んでなきゃいけないのですが、魏公になる頃の話を魏王即位のあたりまで引き延ばしているんですね。

その荀彧の遺品の中から、曹操を批判する曹丕の書信が発見されたことで大変な騒ぎに。本来は大理寺卿の鍾繇が審問にあたるべきなのですが、楊修の横槍で曹植派の丁儀が審問にあたることとなり、曹丕にも過酷な拷問が加えられます。しかし前段で司馬朗の弁護に対する消極的な姿勢などを見せられているので、あんまり同情する気になれないというか、m9(^Д^)という気持ちになりますね。

これではいかんと司馬懿の運動により、本来の鍾繇に審問官が交代。書信の筆跡が曹丕のものではないことを見破ります。


ここで鍾繇の息子の鍾会が早々と登場。才気は感じさせるものの割と軽い性格という人物設定のようで、父親から楊修の評価を聞かれてダメ出しするなど、生意気な所も見せています。

それでは誰が書信を偽造したのかということになりますが、犯人は曹丕派と目されていた崔琰であると突き止めます。訊問された崔琰もあっさり犯行を告白し、楊修に脅されてやったと証言します。実は楊修に脅されてやったと言うのはウソで、事前に荀彧と示し合わせて楊修ら一派を陥れるために仕込んでいたのでした。荀彧・崔琰からそれとなく後継者争いで曹丕をバックアップするための措置を取ると示唆されていた司馬懿は、筆跡の鑑定に秀でた鍾繇が審問を担当するよう動いたという次第。

曹植が後継者の地位につく芽を奪うために崔琰が動くと察知した曹操ですが、気付いた時には後の祭り。投獄された崔琰も荀彧との誓いが果たされ、刑死しても思い残すことなしと神妙な態度をとりますが、一方で投獄されたままうっちゃられた司馬朗はどうなりますか……?

このドラマ、実は『武神趙子龍』(邦題『三国志 趙雲伝』)と同じく、本筋の展開の隙間を埋めるような話というか、どちらかと言うと三国志の外伝的な話なんですよね。日本版もそのうち出るんじゃないかと思いますが、そこんところで三国志ファンの中で拒否反応をおこす人がいるかもしれんなあと思ったり……
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『大軍師司馬懿之軍師聯盟』その2

2017年07月07日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之軍師聯盟』第7~12話まで見ました。

袁紹の息子たちの勢力を掃討し、河北平定を達成して許都へと戻った曹操。司馬懿も諦めて歩けないふりをやめて曹操への出仕を決意します。任命されたのは孫悟空の弼馬温を思わせる馬の飼育係ですが、嫌そうな顔を見せずに職務に励んでおります。

ここで河北の名門、清河の崔氏の娘を曹植に娶せ、曹丕には河北平定時に捕らえた袁熙の側室・甄宓を与えています。二人の母親の卞氏が、弟の曹植の妻の方が身分高く、これでは曹植が後継者争いに妙な欲を持ってしまうと不満を漏らしますが、曹操は「それこそが目的なのだ。曹植にも野心を持たせ、二人を引くに引けない所まで追い込んで競わせるのだ!」とドヤ顔で真意を漏らします。


曹丕を演じるのは、『武媚娘伝奇』でヒロインの元恋人役の李牧を演じた李晨。

そうこうしているうちに曹操の愛児・曹冲が急死してしまい、その教育係を務めていた徐庶が母とともに帰郷したいと願い出ます。一旦は帰郷を承諾した曹操ですが、「あやつ、荊州に戻って劉備に仕えるつもりだな?」と、それならいっそ殺してしまおうと心変わり。それを察知した曹丕がこっそり徐庶親子を逃がしますが、追っ手として刺客の汲布が曹操より放たれます。しかしその汲布も老母を抱える身で徐庶の気持ちはよくわかると、二人を見逃したうえ、自分は旧知の司馬懿の家へと逃亡。

その汲布の上司は曹丕ということで、これを口実に曹丕から校事府の役職を取り上げてしまおうと目論み、汲布を捕らえられなければ処罰をすると難癖を付ける曹操ですが、司馬懿が市中の衆人環視のもとで「仁義」ののぼりを揚げて汲布の自首を待ち、民の声で汲布の免罪を勝ち取れと知恵を付けます。司馬懿の計略はまんまと功を奏し、曹操は汲布を赦免せざるを得なくなります。ここで素直に曹丕を褒めず、「これで民衆がお前の味方についたな?」と嫌味を耳打ちするのが今作の曹操らしいです……

この件により文学掾として曹丕に仕えることになった司馬懿ですが、その歓迎会で差し入れを持ってきた甄氏の顔を直視したということで、曹操の怒りに触れて曹丕の一党であった劉楨と呉質が左遷に。「お前が密告したのだろう!お前のせいで二人が!!」と妻を詰る曹丕が微妙にクズっぽくて辛い場面です……


「薄幸」「健気」という言葉がよく似合う甄氏。何となく『ジャクギ』の若蘭とイメージがかぶります。

密告したのは甄氏のだったのですが、周囲に信頼できる人間が必要ということで、司馬懿は前から曹丕を慕っていた張春華の義妹・郭照を側室として迎え入れることを提案。曹丕はその郭照も司馬懿の監視役として利用しようとして、彼女にドン引きされています……

さて、曹操は後継者争いを更に進めようと、曹丕と曹植にそれぞれ許都の東門と西門から出発して曹洪に伝令せよと、同じ使者の任務を与えます。しかしそれぞれの門番は別途曹操より開門を禁じられており、その反応を見ようというわけです。曹植の補佐役楊修は「邪魔するやつはこうだ!」と門番を斬り捨て、曹植に使者の任務を果たさせます。


今作では司馬懿のライバル的なポジションの楊修。配役は『蘭陵王』で高緯を演じた翟天臨。

一方、司馬懿は勝ち負けではなく、行為が正しいか誤っているかで競えとアドバイスし、父親の命で門を守っているのだからと使者の任務を果たさず引き返します。で、軍令に背いたということで二人は仲良く同じ牢に投獄され、君臣の絆を深めあいます。しかしその間に司馬懿の計算通り、群臣や甄氏・郭照と生母の卞氏、そして曹丕に命を助けられた形の東門の門番までもが赦免を願い出て、曹操も二人を釈放せざるを得なくなり……という所で次回へ。

今のところ戦争の場面らしい場面は出てませんが、ちゃんと面白いですね。中国ドラマでもそれだけリアルな戦争の場面を挿入するのが難しくなっているということでしょうか。日本の大河ドラマでも戦争の場面がまったくない、あるいは少ないという批判を目にしますが、それはどうも無い物ねだりに近い要求なのではないかと思います。そして今は人前では君子然としている曹丕ですが、これからどう変わっていくのか……
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『大軍師司馬懿之軍師聯盟』その1

2017年07月01日 | 中国歴史ドラマ
初夏の話題作『大軍師司馬懿之軍師聯盟』を見始めました。タイトル通り司馬懿が主人公の三国志物です。今回は第1~6話まで鑑賞。

物語は、董承・王子服らの曹操暗殺計画のあたりから始まります。


曹操を演じるのは、新版『三国』では劉備だった于和偉。曹操自身は暗殺計画などお見通しということで、おあつらえ向きに楊修に知恵者を評価させる「月旦評」を主催させ、暗殺者をおびき寄せます。董承らを処刑させ、更に関係者と見られる人物を投獄させる曹操ですが、その中には司馬懿の父・司馬防と、楊修の父・楊彪も含まれておりました。


ということで主役・司馬懿を演じるのは『趙氏孤児案』でお馴染み呉秀波。楊修とは当面のライバル関係になるようです。

その楊修が自分の父親を解放させるために、司馬防が袁紹と密通していたと彼の筆跡をまねて密書を捏造します。3日後に父親が処刑されるということで、荀彧らの力を借りて楊修の陰謀を暴き、父親の解放を勝ち取った司馬懿でしたが、今度は曹操から出仕を迫られてしまいます。

一族では長兄の司馬朗が董卓の長兄にそっくりだというので出仕させられたことがトラウマになっているらしく、何とか出仕を回避しようとします。 司馬懿「曹操から出仕を命じられたお」「でもあんなのに仕えたら一族にいつ何時どんなとばっちりが飛んでくるかわかったもんじゃないお…」「できれば穏便に断りたいお」「だから自分で両足の骨を負って出仕できないようにするお!( ・`ω・´)」


ということで自分ちの馬車で両足を轢かせ、日本のバニラ・エアの一件でのヘイトを嘲笑うかのように車椅子生活を満喫する司馬懿。自分で車椅子を引いて「たーのしー!」みたいなこと言ってますw

その間、袁紹との官渡の戦いに臨む曹操ですが、使用人に扮して屋敷にスパイを潜り込ませ、司馬懿の怪我が虚偽なら殺してしまえと命じておりました。司馬懿は司馬懿でとっくに歩けるようになっていたのに、妻の張春華(『琅琊榜』などでお馴染み劉濤が演じてます』と示し合わせて足が治らないふりをしていたのが、うっかり車椅子から立ち上がるところをそのスパイに見られてしまい、あっという間に逃亡するスパイに追いついて瞬殺する張春華。奥様は武闘派です。

一方、今際の際の郭嘉は、曹操に「司馬懿が殿に仕えるつもりがないようなら殺してしまいなさい」と遺言しており、司馬懿の受難はまだまだ続きそうです……


ということでスマホで投資に励むありし日の郭嘉さん。本作ではこういう作中の人物によるCMが毎回幕間に挿入されてます (^_^;)
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2017年6月に読んだ本

2017年07月01日 | 読書メーター
だまされないための「韓国」 あの国を理解する「困難」と「重み」だまされないための「韓国」 あの国を理解する「困難」と「重み」感想
「一段劣った国」「日本やアメリカより小さくて弱く、圧力をかければ言うことを聞く国」という決めつけが韓国理解を損ねるという点は同意だが、本書に頻出する「正しい××」、特に「正しい歴史(認識)」に関する議論にはやはり違和感がある。「韓国側にとって本来あるべき理想の歴史」に対応するのは本当に「史料に基づき客観的な考証を深めることで導かれた、より事実に近づいた定説」なのだろうか?「学術的な考証によって日本側に一方的に不利な結論を突きつけられた場合、日本人は「客観的に」それを受け入れられるのだろうか?
読了日:06月01日 著者:浅羽 祐樹,木村 幹,安田 峰俊

目録学に親しむ―漢籍を知る手引き (京大人文研漢籍セミナー)目録学に親しむ―漢籍を知る手引き (京大人文研漢籍セミナー)感想
三編のうち宇佐美文理「子部の分類について」の、四部分類の子部は他の三部に収まらないような雑多な残り物を収める部であるという指摘、永田知之「目録学の総決算」の、紀昀が『四庫全書』の編纂に関与したことで、逆に経学を至上とする伝統的な学術観から自由になれたのではないかという指摘が面白かった。孫悟空の『西遊記』と『長春真人西遊記』とが混同され、この二つがそもそも別の書であることがわからないまま『西遊記』の著者が邱長春というのは仮託であるというもっともらしい考証がなされるのは、笑っていいのか悪いのか…
読了日:06月03日 著者:古勝隆一,京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情

21世紀の「中華」 - 習近平中国と東アジア21世紀の「中華」 - 習近平中国と東アジア感想
同じ著者による『中国のフロンティア』の姉妹編ということで読んでみることに。こちらは2012~16年までに新聞・雑誌等で発表した時評をまとめたもの。中国が国際秩序の挑戦者か貢献者か、あるいは、イギリスに挑戦しつつも既存の秩序を受け入れたアメリカのようになるのか、それとも二度の世界大戦で英米に挑戦したドイツのようになるのかが主要なテーマとなっている。本書を読む限り、その二つの顔を使い分けているということになりそうだが…
読了日:06月06日 著者:川島 真

哲学の誕生: ソクラテスとは何者か (ちくま学芸文庫)哲学の誕生: ソクラテスとは何者か (ちくま学芸文庫)感想
サブタイトルの「ソクラテスとは何者か」が本書の内容を的確に言い表している。すなわち当時のソフィストの一人だったと思しきソクラテスが、プラトンら後人の残した「ソクラテス文学」と呼ぶべき対話篇の中でどのように描かれ、他のソフィストたちから切り分けられ、最初の哲学者とされるようになったのかという話。最終章の「無知の知」をめぐる議論とともに、たとえばソクラテスと同じく「述べて作ら」なかった孔子や『論語』について考える時に、応用が利きそうな議論となっている。
読了日:06月10日 著者:納富 信留

中国語はじめの一歩〔新版〕 (ちくま学芸文庫)中国語はじめの一歩〔新版〕 (ちくま学芸文庫)感想
中国語の基本的な解説のほか、語感として据わりのいい・悪い表現、「両」の単位で数えられる餃子、「你好」は日常的な挨拶か?といった文化的な問題、そして日本語と中国語との空間表現の違いなど、哲学的といっていい問題にも踏み込んでいる。折に触れて読み返したい。
読了日:06月13日 著者:木村 英樹

モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る (講談社選書メチエ)モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る (講談社選書メチエ)感想
考古学の成果から見るチンギス・カンとモンゴル帝国。特に鉄資源との関わりに重点を置いている。面白かったポイントは、一般的にチンギス・カンの盟友とされるジャムカとの関わりがほとんど触れられていないかわりに、ケレイトのトオリルとの関わりについて詳しく述べられている点、当時のモンゴル高原が金と西遼との勢力争いの場となっており、チンギス・カンは当初親金派として活動したことなど。あくまで「カン」として生涯を終えた等身大のチンギスが描かれている。
読了日:06月15日 著者:白石 典之

中世ヨーロッパの騎士 (講談社学術文庫)中世ヨーロッパの騎士 (講談社学術文庫)感想
物語に出てくる理想の騎士や騎士道に対して現実の騎士は……という話なのかと思いきや(まあそういった話が大半を占めるのだが)、アーサー王伝説が当時のブリタニアの実状を反映していないとしつつも、そのアーサー王伝説に出てくる円卓の騎士の影響を受けてガーター騎士団が結成されたり、そうした騎士道文学の語り手である吟遊詩人自身が実は騎士の家の出身であったり、ラストで引かれる『ドンキホーテ』など、現実と物語との関係を考える素材として面白く読んだ。
読了日:06月18日 著者:フランシス・ギース

大航海時代の日本人奴隷 (中公叢書)大航海時代の日本人奴隷 (中公叢書)感想
今まで存在は知られていたものの、細部に立ち入らないままだった日本人奴隷の姿を活写。序章で登場する日本人奴隷ガスパール・フェルナンデスが、主人一家がユダヤ人であったことによりアジア各地を転々と逃亡し、主人一家から引き離された後にメキシコで元の主人の息子と再会を果たしたという話を読むと気が遠くなるようである。世界各地にこうした事情で埋没していった日本人奴隷の子孫がたくさんいるのだろう。その一方で、当時の日本人奴隷は本書にも顔を出す中国人・朝鮮人奴隷と包括的に扱う必要があるようにも感じた。
読了日:06月20日 著者:ルシオ・デ・ソウザ,岡 美穂子

治安維持法 - なぜ政党政治は「悪法」を生んだか (中公新書)治安維持法 - なぜ政党政治は「悪法」を生んだか (中公新書)感想
もともとは日本共産党のような、ソ連やコミンテルンを背景とした結社を取り締まるための法律として制定されたはずの治安維持法。それが当時の政治状況の変化によって、この法律であれもしたい、これもしたいということになり、本文中に引く思想検事中村義郎の言葉のように「制度というものの通弊で、ひとりでに増殖していく」さまを描く。いま話題の共謀罪の行く末というよりは、既に運用が開始されて1年以上が経過したマイナンバー制度の行く末を暗示しているかのようである。
読了日:06月23日 著者:中澤 俊輔

中国ナショナリズム - 民族と愛国の近現代史 (中公新書)中国ナショナリズム - 民族と愛国の近現代史 (中公新書)感想
日本との関係については、二十一ヵ条の要求、済南事件、そして日中戦争でそれまで外国人と接触したことがなかったような農村にまで侵入したことなど、反日感情がナショナリズムと不可分の関係になった歴史的な経緯を的確に押さえている。その他の個別の議論は正直食い足りない部分もあるが、概説としてはこんなところだろうか。
読了日:06月26日 著者:小野寺 史郎

バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史 (中公新書 2440)バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史 (中公新書 2440)感想
こうして近代のバルカンの歴史を通覧すると、ナショナリズムのもたらす理不尽を一身に受けているように感じる。また、こうした理不尽は、やはりかつてオスマン帝国の統治下にあったアラブ諸国も受けているのではないか。西欧列強の思惑に振り回されたという点でも共通しており、近現代のバルカンとアラブの状況を比較すれば面白いのではないかと思った。
読了日:06月29日 著者:マーク・マゾワー

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