博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『七侠五義 人間道』その1

2012年12月31日 | 中国古典小説ドラマ
宋の都汴梁城に夜な夜な幽霊の扮装をした集団が「代州有冤」と書かれた紙銭を撒き散らすという怪事件が発生し、新任の開封府尹包拯が捜査にあたることに。実はこの事件、「苦配軍」(=苦役兵)のあだ名を持つ盧方ら4人の義兄弟が仕組んだことで、10年前、遼国によって抑留されていた盧方や白玉堂の父親ら三千人の宋の民が遼国から脱出して宋に帰還しようとしたところ、代州の地に駐屯していた龐吉が彼らを遼の手先として虐殺したという事件を訴えるための行動なのでした……

ということで、『七侠五義 人間道』第1~6話まで鑑賞。本作も既に『七侠五義』のタイトルで日本語版DVDがリリースされております。これまで主役の展昭を演じる趙文卓(チウ・マンチェク)がイマイチ好きじゃないのでスルーしていたのですが、意外と出来がいいらしいということで見てみることに。

「代州有冤」の文字から背後に何やら事情が隠されていることを察する包拯ですが、今や仁宗皇帝の岳父として権勢を誇る龐吉が息子や手下を使い、あの手この手で捜査を攪乱。それに対して包拯も、知り合いとなった展昭や蕭(実は遼国の王女様で、身分を隠している)ら義侠の士に守られつつ対抗。仁宗皇帝の腹心の宦官陳琳もスパイによって逐一状況を把握し、丁兆を派遣して密かに包拯を護衛させたりしております。

初っぱなから展昭・盧方ら古典小説『三侠五義』でお馴染みの面々が登場しておりますが、もちろん包公物で欠かせないこの人、白玉堂も登場。



しかし龐吉に騙されて盧方が父の仇だと思い込んだり、その後龐吉が黒幕であることを知ると、粋がって太師府に潜入するもののその手下にやられそうになったりと、今回のドラマでもまるでいい所がありません(^^;)

そして盧方ら一党は包拯こそが自分達の頼るべき人物であると認め、盧方が10年前の代州での虐殺事件を訴え出たところで次回に続きます。
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『怪侠一枝梅』その8(完)

2012年12月25日 | 武侠ドラマ
『怪侠一枝梅』第24~最終30話まで見ました。最終シリーズのお題は「陰謀陽策」。

嘉靖帝が自らの信奉する天母娘娘の祭祀を終えた後、何者かに攫われて行方不明になるという大事件が発生し、大騒ぎとなりますが、実はこれ、厳崇の良からぬ企みに騙されて嘉靖帝が自ら行方をくらますことにした狂言なのでありました。嘉靖帝がいぬ間に、厳崇は天母娘娘の託宣を利用して朝廷内の邪魔者を次々と排除していきます。一方、海瑞は離歌笑に嘉靖帝の捜索を依頼。離歌笑は事件の背後で厳崇の息子の「独眼竜」厳世蕃が暗躍していることを察知し……

ということで、最終シリーズにしてようやく厳崇の息子の厳世蕃が登場。『大明王朝1566』などこれまでの明朝物では、父親や皇帝の威を借りるアホぼんという描かれ方が一般的でしたが、本作では離歌笑に匹敵する才智の持ち主という設定になっております。「こんなんが出て来たら応無求さんが霞んでまうやん!何かキャラもかぶってるし……」と言いたいところですが、応無求は応無求でこれまで以上のクズっぷりを披露してくれます。そして最後には彼が実は単なるブラック上司の手先の社畜さんではなかったという衝撃の事実が明らかに!

これまでのシリーズの登場人物も再登場しますし、最終シリーズにふさわしい話に仕上がってます。

【総括】
全30話で短編連作という形なのでボリューム的には物足らないかなと思ってましたが、毎回テンポよく話が進み、大満足でしたね。しかしまさか「一枝梅」の4人組ではなく応無求さんの方に感情移入することになろうとは(^^;)
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『銅雀台』

2012年12月22日 | 映画
『銅雀台』

玉木宏演じる穆順と劉亦菲演じる霊雎は幼い頃に「虎の穴」のような所へと拉致され、周潤発(チョウ・ユンファ)演じる曹操を殺すための暗殺者としての訓練を受けることになります。そしてそれから10年。王朝交替を示す「四星聚合」を翌年に控えた建安24年、穆順は宦官として、霊雎は曹操の愛姫としてそれぞれ宮中に送り込まれ、曹操暗殺の機会を狙うことになりますが……

時系列としては関羽の死から曹操の死の間の話ということになります。穆順役として玉木宏がキャスティングされているのは、日本での公開を見据えての起用なんでしょうけど、その割には扱いが雑な気が…… 何か『天地英雄』(ヘブン・アンド・アース)での中井貴一の扱われ方を思い出させるものがありますね。

作品の主役自体も劉亦菲と玉木宏のカップル2人と見せかけて、実はチョウ・ユンファの曹操だったりします。『関雲長』がドニーさんの「俺様カッコいい」な作品だったのと同じような感じで、本作はチョウ・ユンファの「俺様カッコいい」な映画です。このあたりは『満城尽帯黄金甲』(王妃の紋章)でのチョウ・ユンファの役回りを思い出して頂ければよいかと。

『三国志』映画としてはアンディ・ラウの『三国之見龍御甲』(三国志)や『関雲長』よりはまじめに作ってますが、三国マニアにとっては五十歩百歩かもしれません……
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『怪侠一枝梅』その7

2012年12月18日 | 武侠ドラマ
『怪侠一枝梅』第20~24話まで見ました。今回のお題は「忘了、忘不了」。意訳すると「忘れようにも忘れられない」といったところでしょうか。今回は離歌笑編ということで、離歌笑・応無求と、離の亡き妻の荊如憶との因縁が語られます。

「まだ応無求が包来硬であった時のこと……」という出だしで話が始まりますが、応無求というのは後からつけた名前だったようです。包来硬青年と荊如憶は同じ村で暮らし、包来硬は彼女のことを心憎く思っておりましたが、荊如憶の方は彼のことを親切な近所のお兄さんとしか見ていない模様。ここから早くも後の悲劇の種が(´・ω・`)

荊如憶の父親は元々将軍の地位にあったものの、厳崇に睨まれて罪人として村に送られ、娘に自分の無罪を訴えた血書を託して病死。二人して都に赴く途中で山賊に襲われたところを助けに入ったのが、錦衣衛であった頃の離歌笑であったという次第。その後も厳崇の手先の梁大人の手から二人を救出したりして、急速に深まっていく離歌笑と荊如憶の仲。それと同時に包来硬の離歌笑に対する嫉妬というか憎悪も深まっていきます。

そして二人は結婚し、どういうわけか包来硬も錦衣衛に入隊。厳しい修業に絶えてメキメキ頭角を現していきますが、次第に残忍な本性を示すようになります。そして二人の上司で師匠の鄭東流が政敵の厳崇に捕らえられると、離歌笑と包来硬は身分を擲って救出をはかりますが、その過程で荊如憶が犠牲となってしまいます。

離歌笑がお尋ね者になる一方で、包来硬はうまく厳崇に取り入って錦衣衛の指揮使の地位に納まり、厳崇より新たな名前を授けられてお馴染みのブラック上司に仕える社畜さん応無求が誕生したという次第。荊如憶の中で次第に包来硬の人間的な評価が下がっていく様子が見ていて辛いw そして現在に至るまで荊如憶を忘れられず、ヤケ酒を飲んでは自分が金で買い集めた妻妾を「お前らがオレに媚を売るのはカネがめあてなんだろう!」と当たり散らす始末…… アカン、こんな様子を見せられたら応無求さんに同情してまう(´;ω;`)
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『怪侠一枝梅』その6 一枝梅ですか?いいえ八つ墓村です

2012年12月14日 | 武侠ドラマ
『怪侠一枝梅』第17~20話まで見ました。今回のお題は「空山霊呪」。「一枝梅」のメンバー4人の中でこれまで唯一語られてこなかった賀小梅の過去というか出生がテーマとなっています。

賀小梅こと賀雲虎(小梅は京劇役者としての芸名だったらしい)は、突然母方の祖父と従姉妹と称する賀東と蘇桜に、賀家村の次期頭領として迎えられることになりますが、賀東は小梅と会ったと思ったら目の前で血を吐いて突然死。仕方ないので蘇桜とともに村に到着すると、現頭領である小梅の異母兄賀雲龍も同じように死んでしまいます。

賀家村の初代賀長勝は百年前にお尋ね者となっていた白蓮教教主張太保を匿いますが、報奨の黄金に目が眩んで張太保を官憲に引き渡し、巨万の富を得るも、突然発狂して村人7人を殺傷し、自身も張太保の墓前で自ら首を切り落として死んでしまいます。村ではこの一件を張太保の祟りであるとし、以来彼を神として祀ることに。しかし賀長勝の子孫である賀家の頭領は張太保の霊に呪われているかのように、代々病弱に生まれついて病に苦しめられるか不審死を遂げ、小梅の父の賀山も祖先と同様に突如発狂して村人28人を殺傷して自害してしまい、恐れをなした小梅の母親が乳飲み子の小梅を連れて村を離れたという次第。

で、小梅が村にやって来てから賀雲龍をはじめとして村長や賀家の長老の大姑婆(小梅の大伯母にあたるらしい)らが次々と不審死を遂げ、小梅は村人から村に禍を持ち込んだ疫病神と見られていくようになります。小梅自身も父や祖父と同様に頭痛や幻覚に悩まされるようになりますが、そこへ小梅の窮状を知った離歌笑らが村に駆けつけ、事件の背後に隠された陰謀を暴くことに……

小梅の祖先が白蓮教主を匿ったことがすべての始まりとなっているわけですが、これは日本だと差し詰め落武者が関わるところですよねとWikipedia先生の「八つ墓村」の項目を見てみたら……どう見ても基本設定やプロットが『八つ墓村』です。本当にありがとうございました\(^o^)/ 「たーたーりじゃー!」的なことを叫ぶキャラも出て来ますし…… ここまであからさまなパクリを久し振りに見たような気がします。

中国ドラマでこの手のパクリ事件と言うと、『少年包青天』が『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』のトリックなどを剽窃したことがよく知られており、この手の剽窃事件が起こると現地の新聞でこれまでの代表的な事例として取り上げられたりするんですが、この作品もそういった事例のひとつとして扱われることになるんでしょうか。
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『怪侠一枝梅』その5

2012年12月09日 | 武侠ドラマ
『怪侠一枝梅』第14~17話まで見ました。今回のお題は「馴獣記」。

突然柴胡の娘と称する小嫣が「一枝梅」一同の前に出現。柴胡と15年前に別れた妻双双との間の子ということですが、離歌笑ら3人が本当に彼の娘なのかと疑う中で、小嫣が15年前に柴胡が双双に託したイヤリングを持っていたことで、柴胡1人彼女が自分の娘だと信じ込みます。

この小嫣、大変なじゃじゃ馬娘で、「一枝梅」一同を散々に引っかき回したあげく、財貨を盗み出して夜逃げしようとしたところで、なぜか韃靼人の兵士が彼女を襲撃。ここで双双が韃靼人の将軍哈剌に囚われの身となっていることが判明します。事の次第を知って気が気でない柴胡は、哈剌の駐在する屋敷に猪突猛進して彼女を救出。しかし双双の方は自分を捨てた柴胡にわだかまりがあり……

ということで今回は柴胡の過去編です。アクション・シーンを中心に柴胡の見せ場が多く用意されていますが、柴胡が双双を捨てた理由が「盗賊団を結成して一旗揚げ、一攫千金を狙う」なもんですから、彼女が柴胡に愛想を尽かすのも仕方がないと思います(^^;) 

そしてお約束通り、双双が柴胡と別れた後に芻狗という男と再婚していたことが判明し、小嫣の父親は柴胡と芻狗のどちらなのかということに…… そもそも韃靼の将軍哈剌の狙いは双双ではなくこの芻狗の方で、宿屋の小二をしていた彼が、明の役人が国を裏切って軍隊の機密情報を記した軍用地図を哈剌に譲り渡そうとする現場をうっかり目撃してしまい、情報の流失を阻むために地図を奪って逃走したのが事の始まり。双双は芻狗をおびき出すための人質として捕らわれていたのでした。その芻狗が家族を救うために敢えて哈剌のもとに出頭してしまい、柴胡らは彼の救出をはかることに……
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『怪侠一枝梅』その4

2012年12月06日 | 武侠ドラマ
『怪侠一枝梅』第11~14話まで見ました。今回のサブタイトルは「決戦峨嵋山」。

都の薬局保善堂が新しい滋養強壮薬を売り出したところ、体の痛みを訴えたり失明したりする者が続出。保善堂の主人一家は毒を売りつけたとして錦衣衛に捕らえられますが、実はこの薬、世宗皇帝の奇病を治す薬をつくるために厳崇が保善堂を騙して製薬・販売させたもので、薬を買った人々を治験の材料にして副作用の強さなどを調べようとしていたのでした。(要するに人体実験ですね)

この事実が明るみに出る前に保善堂の関係者を処分して口封じしようとしたところ、保善堂主人の息子(保公子)が厳崇との契約書を持って逃亡。錦衣衛に追われていたところを「一枝梅」の面々に救われます。契約書を海瑞のもとに差し出して冤罪を訴えようとしますが、保公子が逃亡中に契約書を隠した荷袋がはるばる益州は峨嵋山へと運搬されてしまい、離歌笑と燕三娘は保公子をともなって峨嵋山へ。そして事の次第を知った応無求も3人を追って峨嵋山へと向かうのでした。

今まで「一枝梅」の面々の過去を交える形で話が展開していきましたが、今回は燕三娘編となっております。燕三娘がかつて峨嵋派の門徒であったこと、そして燕三娘が掌門の無垢師太が自分の実の母親であったことを知ってしまい、かつ師太が頑としてそのことを認めないのに失望し、峨嵋山を去って女怪盗になるまでのいきさつが明かされます。武侠物には峨嵋派をマイナスイメージで語らなきゃいけないという決まりでもあるんでしょうか……

で、彼らを追ってきた応無求とこの峨嵋山で決戦するのかと思いきや、決戦は別の場所で行われます。サブタイトルに偽りありですな(^^;) 終盤は護送中に「一枝梅」に救出された保善堂主人の身柄をめぐって離歌笑・応無求との間で丁々発止の駆け引きが繰り広げられますが、ラストは明朝物らしく(?)何ともすっきりしない終わり方です。まあ、こういう話の引き方もアリかなと。
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『怪侠一枝梅』その3

2012年12月02日 | 武侠ドラマ
『怪侠一枝梅』第7~11話まで見ました。今回のサブタイトルは「虫之患」。

闘蟋賭博を生業としている梁月が大官の子の蕭本に十年ものの蟋蟀「飛将軍」を奪われ、殺害されるという事件が発生。息子の梁日は「一枝梅」の面々に仇討ちとして蕭本の殺害を依頼しますが、梁日の妻の氷氷は、義父の遺言はあくまで「飛将軍」の奪回で仇討ちではないと主張。夫婦の意見が食い違ったまま依頼に臨むことになり……

と、仇討ちが絡んで何だか深刻そうに見えますが、ここからはほとんどコメディとなっていきます(^^;) 当初あんまり依頼に乗り気でなかった離歌笑ですが、蕭本の父親が厳崇の側近と知ってやる気となり、新進の商人に扮して蕭本に接近。蕭本との闘蟋に勝って両腕を突き出し「イエーッ!」と叫んでガッツポーズを取ったり、蕭本が氷氷に横恋慕したと見るや、燕三娘を彼女に変装させて嫁入りさせ、賑やかしと称して結婚式当日の初夜の寝室に乗り込んだり、挙げ句の果てに「彼女は実はオレの昔の恋人だったんだ!」と、誰が聞いてもおかしいと思うような大嘘をついて蕭本から彼女を取り戻したり……何だかノリノリじゃないですか!

悪役のはずの蕭本とその取り巻き連中もノリの良いキャラなので、依頼者の梁日夫婦(この2人だけが暗い表情で暗い話ばかりしてます)を蚊帳の外に置き、離歌笑と蕭本との掛け合い漫才というかコントみたいな展開になっていきますw そして物語終盤、蕭本父子と同じく厳崇の側近ということで応無求が登場し、蕭本すらも外野にはじき出されて離歌笑と応無求との駆け引きが繰り広げられることになりますが……
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