博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『太子妃升職記』その4

2016年02月28日 | 中国歴史ドラマ
『太子妃升職記』第25~32話まで見ました。

斉晟は第31話で描かれた「あの晩」以来張芃芃とは距離を取るようになり、更に皇后派と目される九王や楊厳の楊家、更には実家の張家の横暴を臣下に告発させて厳しい処分を行います。

その一方で江映月に毒酒を賜ったり(実際はそう見せかけて密かに宮廷の外へと逃亡させているのですが)、張芃芃さんに自ら帝王教育ならぬ皇后教育を施したりしておりますが、これは斉晟が北漠(=モンゴル)に親征し、それによって万が一自身が陣没した後、彼女が幼い皇子を後見することを想定してのものなのでした。そして「あの晩」とは異なり、張芃芃さんの方から斉晟を求め、「中の人」張鵬も遂に女の体を受け入れます。


中盤ぐらいまではたびたび「中の人」張鵬の声でカメラ目線でツッコミを入れるというシーンがあったのですが、それが段々少なくなっていき、この場面以後はまったく見られなくなっていきます。

で、いよいよ趙王・九王らとともに北漠親征の途につく斉晟。九王はこの機に斉晟暗殺をはかりますが、土壇場で幼い頃からともに育った弟を裏切れないと趙王が逡巡したこともあり、あっさり一網打尽に。九王は謀反人として囚われの身となります。

一方、暗殺計画に張芃芃が関与していたのではないかという疑念が捨てきれない斉晟は、自分が九王に襲撃され、毒に冒されて瀕死の状態で、最後に一目会いたいという手紙を盛都に送り、彼女を戦地に呼び寄せます。張芃芃さんも自分が試されているのではないかという疑念は抱きますが、本当に今際の際の状態ならと居ても立ってもいられず、緑籬とともに北漠との前線へ。


張芃芃さんもいよいよ軍装に……

途中で彼女を止めに来た楊厳に解毒剤を捨てられて必死の思いで薬を探したり、彼と一緒に竹林の中で道に迷ったり(前から思ってましたが、楊厳は色々と頼りにならないw)する彼女ですが、やはり斉晟が自分を試していたと察知して絶望。更に楊厳の手引きで脱獄した九王が敵の北漠の首領のもとに身を寄せ……ということで次回へ。

ファッション面など初回から一貫してふざけた描写を続けているかと思えば、テーマ性というかメッセージ性の強い展開を盛り込んできたりして視聴者を困惑させますが、それはそれ、これはこれということなんでしょう。
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『太子妃升職記』その3

2016年02月19日 | 中国歴史ドラマ
『太子妃升職記』第17~24話まで見ました。

張芃芃さんは斉晟と対抗するための盟約を更に固めようと、九王の弟分にあたる楊厳と、自分の従妹にあたる張麗麗との婚姻を進め、楊厳とその父親の大将軍楊豫を盟約に引き入れます。


カッコつけのため、なぜかバットマンに扮して飛び降りる楊厳……

しかし結婚後も楊厳は九王といつも一緒なので、皇室一同が集う酒宴でイチャイチャしてる2人を目にして太皇太后は不審に思いますが、張芃芃はすかさず「あの2人は『基』(=ゲイ。中国語ではこう書く……らしい)なんですぅ」と耳打ちして納得させています (^_^;)

そして張芃芃さんは男児を出産。男性からいきなり女性にということで何となく懐かしの『らんま1/2』を思わせる設定ですが、生理や出産をネタにするあたり、かなり踏み込んでる印象を受けます。そして九王らとの盟約上の元来の計画では、斉晟を排除して九王を新たに皇帝として推戴するという話だったのが、段々我が子を後継に据えたくなってくる張芃芃さん。このあたり、自分でも知らず知らずのうちに発想が「中の人」張鵬ではなく、母親としてのそれになっています。

で、九王に皇位を諦めさせつつ、かつ盟約を継続させるために、お手製の刺繍を施した巾着袋をプレゼント。


刺繍のデザインの元ネタは絵文字の😂ですね 。

斉晟にも同様の、というかもっと刺繍の出来が悪い巾着袋を贈っていたのですが、その斉晟が九王の巾着袋を目にして立腹。とばっちりで侍女の緑篱を杖殺しようとしますが、お付きの宦官・強公公から事態を知らされた張芃芃さんは、彼女の命を助けるために太皇太后に緑篱と趙王との婚約を認めさせ、杖殺できない状況にしてしまいます。斉晟としては、張芃芃が詫びを入れたら杖殺を免除する腹づもりだった模様。このあたり男性相手に政治的な駆け引きしかできない張芃芃の怜悧さが仇になっている感があります。

そして彼女との間で心の通い合いなど期待できないと悟った斉晟は、またぞろ江映月に接近。屋外での酒宴で江映月改め蘇小柔(斉晟のはからいにより改名)を太皇太后や後宮の妃嬪たちにお披露目。


酒宴の舞台でなぜか孔雀の舞的なものを披露し、参列者をドン引きさせる「緑帽子」(=中国語で寝取られ男の意味)趙王。元妻江映月が斉晟とともに現れたことに動揺が隠せません……

かつ、九王らとの盟約で自分の排除を謀っていたことを知った斉晟は、ひと思いに張芃芃さんを殺害しようと寝室に足を踏み入れ……というところで次回へ。


まじめなシーンもいちいち構図がカッコいいw
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『太子妃升職記』その2

2016年02月13日 | 中国歴史ドラマ
『太子妃升職記』第9~16話まで見ました。

江北視察中に一行を襲撃した黒装束軍団の黒幕は、太子斉晟に嫉妬した趙王でありました。で、刺客の掃討が終わった頃合いで届いた皇太后からの密書により、出番もないまま皇帝が崩御したことを知らされた斉晟は急ぎ盛都へと帰還し、そのまま新皇帝として即位を果たします。

趙王は死罪を免じられて幽閉処分となり、江北視察に同行して張芃芃を守ったイケメン九王は、昇格と見せかけて実権のない内朝の総管に祭り上げ。で、我らが張芃芃さんは太子妃から順当に皇后に冊封されますが、趙王妃の江映月が趙王のもとから引き離され、宮中の幽蘭殿に移されたのが気になる様子。


江映月は、もともとは張芃芃の実家の親戚だったのが、身寄りがないということで張家に引き取られて冷遇されていたところ、斉晟に愛されてしまったという、まあ後宮物のライバルとしてはよくある設定の人物です。

斉晟は、いずれは自分を廃后にして江氏を皇后に立てるつもりだと察した張芃芃は、密かに九王と盟約を結んで対抗することに。(張芃芃と九王の密会場所はいつも男子トイレ……)更に後宮の妃嬪たちのために、宮廷御用達通信販売「楽視商城」を開業し、九王やその弟分の楊厳を速達事務作業員としてこき使っております (^_^;)

そんな中、実家の張家が宮廷の太医を買収し、張芃芃が懐妊したことにさせられてしまいますが、時を同じくして江映月も斉晟の子を懐妊。と思いきや、こちらも偽装妊娠であることが発覚。江映月さん、以前から大人しそうな顔をして腹黒いところがあり、(これも後宮物によくある設定です)張芃芃さんが自分の絵を盗んだと濡れ衣を着せようとしたりしておりました。斉晟も性格についてはは承知の上で彼女を宮廷に住まわせていたのですが、偽装妊娠発覚で遂に愛想を尽かします。

これで張芃芃さんも一安心かと思いきや、太医の言により、彼女が本当に妊娠していたことが判明。一体どうなる!?という所で次回へ。このドラマ、本当に次から次へとアホなネタを思いつきますw

今回のギャラリー


張芃芃さん(赤い花模様の衣装)と、侍女の緑篱(緑の衣装)。張芃芃さんは彼女を「宝貝児」(ベイビー)と呼んでます。


斉晟(赤い方)と趙王(緑の方)。背中の旗指物は、欧米のファッションショーで出展されていたものをもとにしたそうで……
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『太子妃升職記』その1

2016年02月08日 | 中国歴史ドラマ
中国のウェブチャンネル楽視のオリジナルドラマ『太子妃升職記』を見始めました。1話あたり20~30分前後と、通常のドラマの約半分の尺です。今回は第1~8話まで鑑賞。

現代中国のプレーボーイ張鵬が、ディスコに備え付けのプールで溺れて気がつけば異世界の中華王朝の太子妃張芃芃に転生と、近年数多製作されているタイムスリップ物なんですが、本作の特徴のひとつは、男から女性に転生するという点。


「見た目は美女、頭脳はスケベ男性」のヒロイン張芃芃さん。得意技は人の背後から蹴りを入れることと、後宮の美女たちへのセクハラ。

初めての生理に戸惑い、後宮の美女たちを集めて生理に関する討論会を開いたり、夫である太子・斉晟が、相思相愛の仲の趙王妃・江映月と密会している現場をのぞき見し、自分の立場も忘れて「キッス!キッス!キッス!」と煽ったり、はたまた太子との夫婦生活に困惑したりしておりますw 実は早々と太子に「実は異世界から来た」と打ち明けているのですが、イマイチ信じて貰えない様子……

で、本作のもうひとつの特徴は、奇抜な衣装。


ヒロインの夫である太子。背中に背負ってる旗指物のようなものが軍装らしい…… 転生前の張芃芃とは、皇太后の命令で渋々娶った愛情のない形だけの夫婦だったようですが?


こちらは太子のライバル九王。本作随一のイケメン(ということになっている人)。転生前の張芃芃とは相思相愛の仲だったらしい。


女性陣。このドラマでは、男も女もノースリーブで登場することが多いです……

今回は張芃芃さんが太子の命で江北への視察に同行したところ、謎の黒装束集団に襲撃され、九王とともに逃亡したところまで。
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『琅琊榜』その9(完)

2016年02月04日 | 中国歴史ドラマ
『琅琊榜』第49~最終54話まで見ました。

夏江は梁帝に、梅長蘇の正体が謀反人で「赤焔軍」の一党林殊であると告発。梁帝の面前で、梅長蘇を召し出し、夏江と靖王が首実検を行うことになります。告発は、梁帝が梅長蘇の正体を信じなかったことで、夏江の敗北に終わります。しかし一抹の疑いを捨てきれない梁帝は、自らの手で梅長蘇の毒殺をはかるものの、靖王が決死の覚悟で阻止。靖王はこの首実検で、梅長蘇が林殊であると、却って確信を深めていたのでした。梅長蘇の方も、これ以上は正体を隠し通せないと悟り、以後は林殊として靖王を支えることになります。

折しも流罪となっていた謝玉が、おそらく夏江の刺客の手にかかって流刑地で死亡し、服役に赴く前に妻の莅陽長公主に託していた告発文の扱いが問題に。これには13年前の「赤焔案」は謝玉と夏江によって仕組まれたものであるということが書かれているのですが、謝玉が服役中に死亡したらその内容を公開するよう言い残していたのでした。

梅長蘇と靖王は、いよいよ積年の目標である赤焔軍の名誉回復のため、近々行われる梁帝の誕生会で彼女に告発文を献上させようと計画。一旦は尻込みした長公主も、2人の要望を受け入れて誕生会に臨むことに…… いつぞやの蕭景睿の誕生会といい、このドラマでは誕生会が地獄展開への入り口になっているんですね。


最後に立ちはだかる壁となった梁帝。これまで猜疑心の塊でありながらも、(あるいはそれ故に)臣下の思惑に乗せられないという人物描写でありましたが……

【総括】
ここまでが第52~53話あたりまでの内容ですが、日本語版の放映が決定したとのことで、ここから先の内容は省略。全54話を振り返ってみると、南朝の梁をモデルにした架空歴史ドラマと武侠ドラマ・BLドラマの3つの要素が高度なレベルで融合した傑作でしたね。映像面では印象的なカットが多く、所々で演劇的な演出も見られます。また、数は少ないものの、見応えのあるアクションシーンも盛り込まれています。以前に鑑賞した古龍原作ドラマ『流星蝴蝶剣』が、やはりアクションシーンの数は少ないのの、そのアクションのクオリティは高い水準を保っていたことから考えると、『流星蝴蝶剣』が武侠ドラマであるならば、本作も武侠ドラマと言ってしまっていいのではないかと考えた次第です。武侠物でお馴染みの門派などの要素や、怪しげな薬なんかも出てきますし。

更に魅力的なおっさん・爺俳優もたくさん出演しており、武侠ドラマ=渋いおっさん・爺を鑑賞するドラマというイメージを持っておられる武侠ドラマファンの最右翼にも満足して頂けると思いますw(個人的には言侯こと言闕と夏江がお気に入りでした)
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2016年1月に読んだ本

2016年02月01日 | 読書メーター
杉原千畝: 情報に賭けた外交官 (新潮文庫)杉原千畝: 情報に賭けた外交官 (新潮文庫)感想
杉原千畝のヒューマニストとしての側面ではなく、抜け目のないインテリジェンス・オフィサーとしての顔を描く。ユダヤ系難民に「命のビザ」を発給する際に、難民が渡航先でビザが無効だと判断されないように、本国政府に対して二重三重に工作を施していたというのが印象的。また日独伊三国同盟の締結など、当時の日本外交についても紙幅を割いているが、「三国同盟締結は、日本にユダヤ人差別をもたらすことはなかった」という一文を見ると、そもそも三国同盟を締結する必要があったのかという疑問が浮かぶ。
読了日:1月2日 著者:白石仁章
炎の回廊: 満州国演義四 (新潮文庫)炎の回廊: 満州国演義四 (新潮文庫)感想
今回の山場は二・二六事件だが、印象に残ったのは抗日連軍の描写。三郎の「馬占山や蘇炳文は軍隊なので軍事理論で対処できるが、抗日連軍にはこれまでの軍事理論が役に立たないような気がする」という述懐が、やはり従来の軍事理論が役に立たない21世紀の武装勢力イスラム国を想起させる。
読了日:1月7日 著者:船戸与一
消えたイングランド王国 (集英社新書)消えたイングランド王国 (集英社新書)感想
同じ著者による『イングランド王国前史』の続編的内容。今作では七王国の後の、アングロサクソン・イングランドの時代が中心。とにかく人望がない「無策王」エゼルレッド、武勇で並ぶ者のないはずが、肝心なところでついておらず、ライバルのノルマンディ公ウィリアムに臣従せざるを得ない状況に追い込まれてしまうハロルド2世など、今回も主要人物の「キャラ付け」がバッチリで読みやすい。
読了日:1月9日 著者:桜井俊彰
一揆の原理 (学芸文庫)一揆の原理 (学芸文庫)感想
江戸時代の百姓一揆(とされるもの)が、当事者によって一揆と位置づけてられておらず、一揆が盛んに形成されたのはそれ以前の中世であったことや、一揆が革命運動につらなるものなどではなく、体制内運動である強訴の一種であることなどを説く。前近代の一揆のあり方を概観するとともに、現代日本のデモ論にもなっている。個人的には、台湾のひまわり運動も香港の雨傘運動も、やはり日本の運動と同じく「百姓一揆」の域を出ない体制内運動なのではないかと思うが……
読了日:1月12日 著者:呉座勇一
マルコ・ポーロ―『東方見聞録』を読み解く (世界史リブレット人)マルコ・ポーロ―『東方見聞録』を読み解く (世界史リブレット人)感想
『東方見聞録』で、他の同時代史料によって照合が可能な部分のほか、マルコ・ポーロが話を盛ったと思われる部分や、主にカトリックの信徒や僧侶が読むことを意識した部分などを指摘。近年流行のマルコ・ポーロが中国に行っていないという説については言及されていないが、本書を読む限りは、依然として同時代史料として有用かつ独自の価値を具えているということになりそうだ。
読了日:1月13日 著者:海老澤哲雄
民主主義の源流 古代アテネの実験 (講談社学術文庫)民主主義の源流 古代アテネの実験 (講談社学術文庫)感想
「アテネの民主政はペロポネソス戦争をさかいに衆愚政に陥った」と世界史の教科書などでは解説されるが、本書では混乱の時期を経て、ペロポネソス戦争後に民主政が再建され、制度としてより完成度が高められたと説く。この間のソクラテスも詳しく追っている。アテネ民主政の崩壊の原因は、その後に訪れるマケドニアの侵攻であり、マケドニアへの恐怖感が急激に民主政を劣化させたとする。これについては著者はあくまでも仮説と断っているが、現在のイスラム国が世界に及ぼしている影響を思うと、仮説だからと無碍に退けられないものがある。
読了日:1月15日 著者:橋場弦
十字架と三色旗――近代フランスにおける政教分離 (岩波現代文庫)十字架と三色旗――近代フランスにおける政教分離 (岩波現代文庫)感想
フランスでのカトリックを対象とした「政教分離」の過程を概観。フランス革命期だけの話かと思いきや、それ以後の第三共和政の時期まで扱う。「イスラム・スカーフ問題」に代表される、現代フランスが直面している宗教問題は、カトリックを対象として進められてきた世俗化を、今度はイスラム教に対してもう一度繰り返すのか否かという位置づけになるようだ。
読了日:1月18日 著者:谷川稔
世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)感想
放送大学のテキストの文庫化ということだが、確かに教科書的な内容を手堅くまとめているという印象。アメリカがベトナム戦争以後、ヘゲモニーを喪失したというのは、この分野では通説になっているのだろうか?
読了日:1月20日 著者:川北稔
日本陸軍とモンゴル - 興安軍官学校の知られざる戦い (中公新書)日本陸軍とモンゴル - 興安軍官学校の知られざる戦い (中公新書)感想
モンゴル系の日本軍人ジョンジョールジャブの生涯を中心とする。ジョンジョールジャブは、兄のガンジョールジャブが川島芳子と結婚したと言えば通りがよいだろう。モンゴル人の求める「民族自決」を軽く考えるという点では、往時の日本も現在の中国も変わりはない。日本側に対する「しっぺ返し」が、本書の終盤で紹介されるシニヘイ事件ということになるだろうか。
読了日:1月21日 著者:楊海英
キャパの十字架 (文春文庫)キャパの十字架 (文春文庫)感想
キャパの代表作、スペイン内戦時に撮影された「崩れ落ちる兵士」は、兵士の戦死する瞬間を撮影したものではなく、死ぬふりをさせて撮影した「やらせ」によるものではないかという疑惑から出発し、そこから撮影された場所と時期、写真にうつる人物、撮影した人物(すなわち撮影者はキャパではないのではないかという疑惑)と、どんどんと問題が広がっていく。本書の結論は敢えて伏せておくが、キャパが偶然によって得られた名声に見合うカメラマンになろうと奮闘し、やはり偶然によってもうひとつの代表作「波の中の兵士」を得る過程は感童を覚えた。
読了日:1月25日 著者:沢木耕太郎
イタリア現代史 - 第二次世界大戦からベルルスコーニ後まで (中公新書)イタリア現代史 - 第二次世界大戦からベルルスコーニ後まで (中公新書)感想
割と首相が短期間で変わっていたり、憲法で国際紛争の解決手段として戦争放棄を定めていながら、アメリカに再軍備や他国への軍事介入を求められたり、高度経済成長のピークの頃にオリンピックを開催したり、極度の少子高齢化によって若年層の意見が政治に反映されていないことが問題となっていたり、キラキラネームの政党名が目立ったりと、意外なほど日本の現代史と同じような歩みをしているのが印象的だった。そもそも国家の統一が成ったのも1861年と、近代国家の出発点からして日本の明治維新とそう変わらない時期とそう変わらないわけだが…
読了日:1月27日 著者:伊藤武
私本太平記 13 黒白帖私本太平記 13 黒白帖感想
本作を原作に据えた大河と同様に、尊氏の死でもって幕を閉じている。「ましらの石」が途中でフェードアウトしたドラマとは違って、架空の人物にもそれなりにちゃんとした結末を与えている。しかし尊氏と直義の対立は、この小説の話の流れから見ると唐突感が拭えない。ここらへんはもう少し丁寧な伏線などが張られるかと思っていたが……
読了日:1月28日 著者:吉川英治
蘇我氏の古代 (岩波新書)蘇我氏の古代 (岩波新書)感想
蘇我氏のその後については、同時期に出版された倉本一宏氏の『蘇我氏』(中公新書)の方が詳細に追っている一方で、飛鳥時代の「氏」については本書の方が丁寧に解説している。一方で、蘇我氏と葛城氏との関係や、物部氏の「大連」という職位が実在したかといった点については見解が異なっている。
読了日:1月29日 著者:吉村武彦
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