博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ(2024年7月)

2024年07月03日 | 中華時代劇
『玫瑰的故事』
劉亦菲の新作。亦舒の有名小説を原作としたもので、2001年の北京から物語が始まります。黄亦玫は名門の芸術大学を卒業後に展覧会の企画会社に就職。女社長のティナや上司の蘇蘇に揉まれつつ仕事の関係で知り合ったエリックと恋人同士になるが、彼はフランスに異動。遠距離恋愛は長く続かず…… ということで彭冠英、林更新、林一、ウォレス・フォと相手役が次々と入れ替わるのが売りのようです。ヒロインはどうも地雷男をつかんじゃうタイプのようです (^_^;)

『金庸武侠世界』
金庸生誕百周年記念作という鳴り物入りで登場。『射鵰英雄伝』の物語が展開される『鉄血丹心』全30話を皮切りに、親世代の物語を描いた短編の前伝を数作並べて全60話構成という風変わりな構成。パートごとに監督が変わるのも売りです。『鉄血丹心』は『三体』の楊磊が監督を務め、『射鵰英雄伝』の話をすっ飛ばし気味に展開。元の話を知らない人がどれだけ着いていけるのか疑問に思わないでもないですが、とにかく映像が綺麗でアクションも見応えがあります。アレンジは従来作と同様に控えめですが、楊康や欧陽克といった悪役に対するフォローが多い感じです。

『墨雨雲間』
沈家に嫁いだ薛狸は実家の没落により夫一家に殺害されたはずが、姜家の嫡女の姜梨に助けられ、死んだ彼女と入れ替わって姜家に迎えられ、姜梨の、そして自らの無念を晴らすために尽力することになる。そこへ曲者の粛国公も絡んできて…… 仇討ちが目的の大家族物ということで序盤のフォーマットは『瓔珞』と一緒です。というか制作会社と主演女優も一緒です (^_^;) 1話平均50~55分と変則的ですが、暗い内容に比してあまりストレスを感じずに見られる仕様になってます。
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最近見てるドラマ(2024年6月)

2024年06月06日 | 中華時代劇
『慶余年』第2季
殺害されたと見せかけて実は生きていた范閑。彼は亡き母の理想を実現させるために動き出す。ということで前作から5年を経て放送された待望の続編……なんですが、どうもイマイチ。個別のシーンは悪くないんですが、全体で見ると10点満点で6~6.5という感じです。ストーリー展開、駆け引き、アクション、細かいギャグのどれを取ってみても次に紹介する『天行健』にまったく及んでいません。おまけに中盤の科挙のあたりから『雍正王朝』など90年代末~2000年代中盤の反腐敗古装で見たような展開が今更出てくる始末。どうしてこうなってしまったのか……

『天行健』
ということで、こちらは辛亥革命前夜の清朝末期が舞台。光緒帝の元侍衛で戊戌の変法に関与していたことにより12年間獄中にいた使い手門三刀、しがない天津の捕快王家洛、弱小門派の掌門卓不凡、この3人が主人公で、彼らにプラスして日本のスパイが文淵閣に残されていた「蔵宝図」を手がかりに南少林の残した秘宝・秘伝を求めて丁々発止の駆け引きと抗争を繰り広げるという武侠大作、もとい「時代劇の時代」の終わりを描く作品です。『慶余年』でもなく『狐妖小紅娘 月紅篇』でもなく今作こそが今月のお薦め作品です!
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最近見てるドラマ(2024年5月)

2024年05月05日 | 中華時代劇
『惜花芷』
祖父を中心とする大官一家の花家。しかしその祖父が皇帝に諫言して不興を買ってしまい、花家の男たちは北方へと流刑、女と子どもたちは屋敷を追われ、財産を奪われて城外の荘園に逼塞することに。花家の長男の長女である花芷は花家の掌家となり、厳しい祖母やくせ者の叔母たちを説得して商売を始め、謎の青年顧晏惜の力も借りつつ花家の復興をめざすことに。アイデアと誠意を武器に世間の荒波に立ち向かっていく細腕繁盛記的な内容ですが、面白いです!ここんところ時代劇の大作がこけ続けていますが、ようやく心からお薦めできる良心大作が来たという感じです。

『烈焔』
人族が䰠族に支配されている世界。辛王は䰠族からの人族の解放をめざして戦いを決意するも、䰠王の黒瓏に敗北。その息子の伍賡は母親の差配により難を逃れ、貧民として少女白菜たちとともに再起を期すことに…… 原作のアニメは『武庚紀』ということですが、もともとは殷末周初の時代を舞台にしたファンタジーだった模様。紂王っぽいやつや哪吒っぽいやつが出て来ます (^_^;) わかりやすさに満ちたB級大作です。何も考えずに楽しめますw 鉱山での強制労働の場面とか、見ようによっては中国政府のウイグル族弾圧が投影されていると見えないこともないですがw
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最近見てるドラマ(2024年4月)

2024年04月10日 | 中華時代劇
Netflix版『三体』
予告編を見た段階では明らかに西洋人が主人公という風な扱いでイヤな予感がしていました。中身も実際その通りだったわけで、第1部から第2部の序盤までの話に第3部までの主要な登場人物を投影したキャラクターたちがヴェラ・葉=原作の楊冬の教え子たちとして主役を務めるという無茶な設定。しかし蓋を開けてみると原作に対するリスペクトは感じられたので、まあこれもありかなと思います。不満があるなら中国ドラマ版を見ればいいわけですし。

『金枝玉葉』
Netflixオリジナル作品ということで『三体』のついでに見てみることに。『瓔珞』の続編というか番外編です。全6話ということもあってか、肩の力を抜いてというか手を抜いて作ってるなという印象。いつもの于正ドラマと見せかけて終盤で突然サイコホラーの世界に突入したりもしますが、『瓔珞』と比べるとかなり落ちます。最初から最後まで三下同士の小競り合いを見せられてるような気分です。そんなクソ作品でもそこは于正作品なのでテンポよく見られてしまうのがムカつくw
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最近見てるドラマ(2024年3月)

2024年03月10日 | 中華時代劇
『大理寺少卿遊』
頭脳明晰な大理寺卿の息子李餅は父の葬儀中に悪漢に襲撃された際に猫の霊に取り憑かれ、猫としての姿と能力を手に入れる。その彼が兄を探しに洛陽にやって来た純朴な青年陳拾とパートナーを組み、大理寺少卿として陳拾や頼りない大理寺明鏡堂の面々を率いて洛陽で発生した難事件の解決に当たることに。『大唐狄公案』と同じく武則天の時代が舞台ですが、こちらはコメディです。アニメ原作で、アニメの方では李餅はずっと猫ということですが、実写版ではそうもいかず人間の姿でいることが多いのですが(いっそ着ぐるみでやって欲しかった気も…)鄭禹兮が猫のしぐさを取り入れたうまい演技をしています。

『宣武門』
清末に玉職人の李雲棉が崑崙玉から彫り出した「玉石榴」は皇室に献上されるが、「これを手に入れた者は天下をも得る」と喧伝されて官民の争奪の的となり… ということで主役の李天順を『月に咲く花の如く』の趙白石役の任重が演じ、その父親の李雲棉を趙豊毅、西太后を斯琴高娃が演じています。李天順は妻や友人とともに義和団事件、辛亥革命、日中戦争といった歴史的事件で試練に晒されるらしいです。MVでその様子を伺うだけでもワクワクしてきますw 今回の趙白石はとにかく単細胞ですね。序盤からトラブルばっかり起こしてます。しかし思わせぶりに出て来た「玉石榴」が序盤からうっちゃられてますが、どうなるのか (^_^;)

『歓楽英雄之少侠外伝』
古龍の『歓楽英雄』を『武林外伝』の尚敬がドラマ化ということで思い切りお笑いになってます (^_^;) 正直原作は古龍作品の中で一番好きな小説なので、あんまりお笑いにはしてほしくなかったんですが、字幕のフォントやなぜかクラシックの劇伴も含めて随所にこだわりの見える作品に仕上がってます。古龍ドラマの宿命か、キャラクターの名前を借りた程度にしか原作には沿ってませんが(林太平が王動より老けて見えるのが酷いw)。しかし同じ武侠コメディでも『鵲刀門伝奇』なんかと比べると三倍ぐらい見る気になりますね。あっちは金庸パロディしか能がないような作品でしたし。
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最近見てるドラマ(2024年2月)

2024年02月17日 | 中華時代劇
『阿麦従軍』
靖国公の一人娘阿麦は幼少の頃に父母を義兄の陳起に殺害され、それ以来男装してインチキ商売に励みつつ仇の行方を追う日々を送っている。そんな彼女がある日頑皮公子の商易之と出会う。実は彼にも出生の秘密があり…… 『太子妃狂想曲』の前伝ということで、同じく張天愛が主演しています。男装の女性が従軍してキップのいい将校の唐紹義と義兄弟の契りを交わすというあたりは花木蘭を思わせます。小ずるい阿麦が毎回ピンチを切り抜けていくさまが面白い。今年のダークホースその1ですね。

『大唐狄公案』
周一囲主演の狄仁傑物で、ヒューリック原作を謳っています。スタッフにも総編劇にイギリス人が参加。小説のディー判事のエピソードをドラマ化したようで、喬泰・馬栄など原作(あるいは原典『狄公案』)のキャラクターも登場。人体発火など『神探狄仁傑』やアンディ・ラウ主演の映画版を思わせるような伝奇風味も盛り込まれています。しかし周一囲が武功高手なのが違和感 (^_^;) これでは李元芳の出る幕がないw
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最近見てるドラマ(2024年1月)

2024年01月13日 | 中華時代劇
『天啓異聞録』
明朝天啓年間、錦衣衛の褚思鏡は任務中行方不明になった双子の弟を探すため、韃官のバヤンとともに遼東の烏暮島に上陸する。島では奇病が蔓延し、おまけに怪物が出没するというが…… ということで黄軒主演のサスペンス・ホラーです。全12話と短いですが、中国時代劇には珍しい伝奇です。怪物のほか、邪教集団だの何だのが関わってきます (^_^;) バヤン役に久しぶりに見る呉樾、西洋の女航海士(彼女の兄がやはり怪物に関わって行方不明らしい)の安大人ことアンジェリカ役に、『妖猫伝』の楊貴妃役だった楊榕容がキャスティングされてます。映像の暗さに反してB級のノリで気楽に楽しめる作品ですw

『三大隊』
凶悪犯の王大勇兄弟を追っていた公安局三大隊隊長程兵は、犯人の片割れの王二勇を取り調べ中にぶん殴って急死させてしまったことにより、罪に問われて投獄。免職となって約10年後に出所し、新しくやり直そうとするが、事件のことを忘れられず単身捜査を試みることに…… 実在の事件に取材した作品というのが売りで、秦昊が服役刑事の程兵を好演してます。映画版とほぼ同時公開ということで映画版の方が評価が高いようですが、ドラマ版もまあまあの出来です。話が始まる1998年から程兵が服役して出所する2007年までの社会の変化の急激さが序盤でうまく表現されており、当時中国にいた人が楽しめるポイントかもしれません。

『大江大河之歳月如歌』
突然放映が始まったシリーズ3作目。今作は1993年から開始。宋運輝が彭陽の農薬工場に飛ばされてから2ヶ月。工場の改革を成し遂げ、部下には慕われと順風満帆かと思われましたが、そこへ突然の大事件が。一方、雷東宝は鎮政府、県政府の支援を得て電線工場を開業。楊巡は故郷で母の死を承けて実家の後始末。それぞれ新たな出発を迎え…… ということで出だしは上々です。今作は全33話ということですが、年頭で一番続きが楽しみな作品です。韓磊によるEDテーマもいいです。

『繁花』
ウォン・カーワイ初のドラマ監督作品、胡歌ら有名俳優が出演ということで2024年年頭の最大の話題作。上海が舞台、しかも原作が上海語による小説ということでドラマの方も上海語版を用意したりしていますが、個人的にどうも作品に入り込めず…… 『大江大河3』の序盤と同様に1993年が主要な舞台ということになるようですが、ストーリーと映像に対するシンパシーは圧倒的に『大江大河』、あるいは『三大隊』の方が上なんですよね……
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最近見てるドラマ(2023年11月)

2023年11月04日 | 中華時代劇
『田耕紀』
学費に困っている女子学生がバイト代目当てにVRゲームのテストプレーに応募し、南宋時代の富農の家の三男の娘・連蔓児に転生。一千金を稼ぐというミッションを課せられるが、祖父母以下一癖も二癖もある同居の家族に振り回され、郷紳の家の息子との婚約と見せかけて人身御供にさせられそうになったり、カネと食いもんをめぐってみみっちい争いを繰り広げたりします (^_^;;) そして水害の被災民と称する青年・沈諾と出会い、彼も連家で暮らすことになりますが、これがどう見てもカタギの者ではなく…… 

ということで、最初の印象は中華版サンシャイン牧場みたいなほのぼの田園ライフを描くのかな?と思わせておいて、実は光栄のSLG『水滸伝』に雰囲気が近いという作品です。ほのぼのどころか下手したら殺伐としてますw アイドルドラマなのに非常にみみっちい話が出て来くるのも珍しいですね。

『繁城之下』
テンセントのサスペンス枠で配信されている古装怪奇ミステリー。60分×12話という構成です。明代万暦年間を舞台として、地方の街の連続殺人事件が描かれます。最初の被害者は役所の捕頭。その部下だった曲三更が捜査を行うことになりますが、被害者の同僚の易捕頭の圧迫に四苦八苦したり、被害者である上司の隠し財産の存在を知ってしまったりして捜査は難航。そして第二、第三の殺人が発生しますが、事件の被害者が20年前に陸家で発生した火災事件に関係していことが判明し…… 

という展開で、万暦37年の曲三更たちの話と万暦17年の陸家の話がともに展開していきます。映像に最近の作品には珍しい独特の味わいがあります。アイドル俳優が出ているわけではないですが、日本でも是非放映・配信してほしい作品です。
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最近見てるドラマ(2023年10月)

2023年10月02日 | 中華時代劇
『異人之下』
張楚嵐はぼっちの普通の大学生……と見せかけて、実は異能力を持つ異人で「八奇技」のひとつ「炁体源流」の使い手だった。それが故郷の村でたった一人の身寄りだった祖父の遺体が盗まれた日からすべてが一変し…… ということで『少年歌行』の現代版みたいなノリの、夢のあるアクション満載のドラマです!異能力アクションと見せかけて武当山とか龍虎山も登場しますw 『陳情令』以来の修慶とか大物おっさん俳優も続々登場。しかし今年は本当に武侠が豊作ですね。

『九義人』
煙雨繍楼で針子の修業をする孟宛と藺如蘭はルームメイト同士。しかし楼主の呉廉は針子たちを次々と我が物にし、孟宛たちもその毒牙にかかる。藺久々如蘭は呉廉を告発しようとするが、街の人々の信頼が厚く有力者とも結びついている彼を訴えるのは並大抵のことではなく、様々な困難に見舞われた末に自害の道を選ぶ。そして7年後…… ということで昨今のジャニーズ問題を投影したようなドラマです。久々に(なぜか)日本の時事問題とシンクロしてしまったような作品が来ました!しかも如蘭への二次加害など、胸糞が悪くなるレベルで嫌なリアリティに溢れています (^_^;) 今年の暫定ナンバーワンドラマです!
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最近見てるドラマ(2023年9月)

2023年09月11日 | 中華時代劇
『歓顔』
1930年の広東汕尾。東南アジアの農園主の息子・徐天が上陸する。彼は三本の金塊を上海に届け、自身の婚約者に会うという使命を託されていた。父親の同志・老孫を案内人に列車で上海に向かうが列車強盗に金塊を奪われてしまい、途中下車。福建で頼みの老孫が死亡し、土楼に住まう土地のボス兪亦秀が新たなパートナーとなるが、彼も徐天と同様に世間知らずで…… ということで全18話のロードムービー。お坊ちゃんが数々の試練に見舞われて成長していくという物語になるようですが、段々徐天の目付きが険しくなってきます (^_^;) 主人公徐天が董子健、兪亦秀が張博等々キャスティングも豪華。

『鵲刀門伝奇』
趙本山主演の武侠パロディで、1話30分サイズ。イケメン美女が登場せず、衣装やセットもダサさというかイモさを強調。毎回のように金庸ネタをぶっ込んできますが、『武林外伝』あたりと比べるとパロディの引き出しが少ないなと。それにダサさは感じられても『武林外伝』のような安っぽさは感じられず、また『武当一剣』のようなガチの古くささも感じられません。お笑い武侠として足りないものがたくさんあるという残念感漂う作品に…… 評価できる点があるとすれば、台詞なんかで東北の地方性を押し出してる所ぐらいでしょうか。

『雲之羽』
武林で覇権を握る無鋒に対し、唯一対抗できる力を備えた宮氏一族の宮門。無鋒は少主の婚姻を機に宮門にスパイを送り込むことにする。最下級の雲為衫は花嫁候補のひとりとして身元を偽装して宮門に潜り込むが、無鋒からは彼女以外にもスパイが送られているようで、更には宮門の当主にあたる「執刃」と少主がともに急死。急遽四公子の遊び人、宮子羽が新執刃として立つことになるも、一族の宮尚角が物言いをつけ…… ということで最近流行りの騙し騙されのストーリー展開になる模様。ヒロインを演じる虞書欣もなかなかいい演技をしていますが、1話55分~70分という尺はつらいです (^_^;) 正直話的には1話45分程度に収まりそうな感じですが…… アクションは美麗で見せます。
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