博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『精忠岳飛』その4

2014年01月31日 | 中国古典小説ドラマ
『精忠岳飛』第16~21話まで見ました。

曹成軍の口袋陣に追い詰められる岳飛ですが、弟岳翔の犠牲によって陣を突破して敵軍を打ち破り、凄腕の槍の使い手楊再興を配下に加えます。本作では楊再興は楊家将の子孫ではなく、楊家将の子孫から槍法を学んだという設定なんですね。しかしその後、高宗に睨まれた宗沢を弁護し、主戦論を唱えた上疏を行ったことにより、岳飛は軍務を解かれることに……

一方、金国の五国城で捕虜生活を送っていた秦檜ですが、二太子の斡離不(オリブ/完顔宗望)に才覚を見出され、金の太宗に宋との和睦を提案しますが、金国では粘罕や兀朮らの主戦論が強く、聞き入れられません。そこで斡離不は自分の独断で秦檜夫妻を宋へと帰還させることにし、秦檜に南宋宮廷で和平論をリードさせ、2人で協力して金が華北、宋が華南を分け合うという形での両国による南北画分を実現させることに。このドラマでは秦檜は金国の手先ではなく、金国非主流派の斡離不の協力者というポジションなんですな。どっちにしろ我らが岳飛は割を食うことになるんでしょうけどw

このあたりでやはり捕虜というか人質になっている高宗の母韋氏が兀朮と「清明上河図」を卓上に広げて語り合うなんて場面も挿入されています。

さて、南宋では主戦派の宰相李綱が高宗と衝突して辞任し、同じく主戦派の重臣張所の思し召しで、帰郷していた岳飛が軍務に復帰することに。(軍務を解かれてから2~3年経過していることになっている模様。)ここで岳母が岳飛の背中に「盡忠報國」の刺青を入れるシーンとなります。



しかしその張所も、黄河を越えて金軍を攻める作戦を実行しようとしたことにより、高宗の怒りに触れて更迭されてしまいます…… このあたりで高宗は母の韋氏や愛妻の邢妃が金の捕虜となったままであること、重臣たちが捕虜となっている徽宗・欽宗を重んじて自分を軽んじていると思い込んでいることなどが重圧となり、次第に精神を病んでいきます。(作中では邢妃が粘罕に手籠めにされたことを苦にして自害する場面が挿入されているのですが、高宗が彼女の死を知っているのかどうかは判然としません。)

で、たまたま街で見かけた露店店主の妻呉氏が邢妃の生き写しであったので、彼女を強引に入内させてしまいます。こんな人では無かったのに…… どうしてこうなった(´・ω・`) そして秦檜が金より帰還。韋氏の書を預かっていたことにより、一気に高宗の信頼を得ます。ここからずっと秦檜のターンとなるのでしょうか?
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『精忠岳飛』その3

2014年01月22日 | 中国古典小説ドラマ
『精忠岳飛』第10~15話まで見ました。

蜈蚣山に突入し、敵側の「迷魂陣」に足止めされたり、密偵張用の用意した山の地図がまるで役に立たなかったりりして苦戦を強いられつつも、岳飛は100人の劣勢で8万人の山賊に打ち勝ち、敵将の吉倩・吉勇を捕らえることに成功。正直、ここでどうやって100人で8万の軍勢に勝ったのかよくわからないのですが(^^;)

さて、金国ではいよいよ本格的に北宋侵攻を開始。北宋では張邦昌・秦檜と九皇子の康王を使者として派遣することに。康王は使者と言いつつ体のいい人質がわりです。彼の身を案じる母妃のために、秦檜はボディガードとして岳飛を推薦。一同、金軍の駐屯地帰徳へと向かいます。

金側の総大将兀朮の前でも物怖じしせず、文武両道、出来る皇族っぷりを見せつける康王ですが、そのために却って警戒されてしまい、金側の康王暗殺の動きを知った岳飛は帰徳より一同を脱出させます。民間愛国団体「忠義社」の有志に守られつつ何とか汴京へと帰還した康王ですが、金軍は既に汴京へと迫っており、兄帝欽宗から兵馬大元帥に任命されて休む間もなく宗沢らが駐屯する相州へと赴任。

しかし宋側の抗戦も空しく汴京の宮城は金軍の手に落ち、徽宗・欽宗は金へと連行、徽宗の畢生の美術コレクション()も灰となります。この時に秦檜夫婦も捕虜となり、牛馬に等しい扱いを受け、文字通り臭い飯を食わされる日々を送りつつ雪辱の日を待つことに。こうやってこの夫婦がダーク化していくわけですね……


ありし日の秦檜。羅嘉良が演じてます。

そして相州では宗沢らが康王を新帝として擁立。すなわち南宋の初代皇帝高宗です。


この高宗は今のところ出来そうな顔をしておりますが……?

金側は漢人の傀儡政権として、張邦昌を皇帝とする楚国を樹立させていましたが、南宋成立を承けて張邦昌が即位後32日で帝位を放棄し、「私、楚国の皇帝やめましたんで」と臨安の宮廷に駆けつけます。しかし高宗に「顔も見たくない」と拒絶されてしまい、自害することに。まあ、これはしゃーない……

一方、岳飛は戦乱のさなか一兵卒から宗沢の部将へと出世。先輩の王燮とともに20万の大軍を擁する山賊曹成を討伐することになりますが、曹成軍の「口袋陣」に苦戦を強いられます。で、岳飛を快く思わない王燮は苦戦を知りつつサボタージュを決め込みます。王燮曰く「オレが援軍を出して勝ってもヤツの手柄。援軍を出さずに負けたら(曹成討伐の将として立候補したのは岳飛自身なので)ヤツの自業自得。」……きたないなさすがw しかしその岳飛に思わぬ援軍が到来し……
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『精忠岳飛』その2

2014年01月14日 | 中国古典小説ドラマ
『精忠岳飛』第4~9話まで見ました。

遼国征伐のために手を組んだはずの宋国と金国ですが、宋国与しやすしと見た金国は宋領への侵犯を繰り返すように…… ここで後に対金国戦の立役者の1人となる韓世忠が登場。金側に捕らえられた王淵将軍を救出したり、その軍功を讃える酒宴で妓女の梁紅玉と出会い、結婚したりしております。


妓女時代の梁紅玉さん。後に夫とともに出征して「巾幗英雄」として知られるようになります。

一方、我らが岳飛さんは軍務から退き、李孝娥と結婚して家族とともに暮らしていましたが、元の上司劉韐が対金戦のために軍務復帰を要請。しかし折悪しく李孝娥が出産を控えておりました。せめてお腹の子の顔を一目見てから出征して欲しい……と彼女が思っていたところ、タイミング良く産気づいて次男の岳霆君が生まれました(^^;)

ということで心置きなく軍務復帰した岳飛ですが、そこで中央からの使者としてやって来た秦檜と初のご対面。彼の伝令により劉韐と岳飛は二人して金国の陣に和平の談判に向かうことになりますが、物別れとなった上に金兵に襲撃されてしまいます。負傷して二人一緒に逃亡することは不可能と悟った劉韐は断崖絶壁から身を投じて自害。……このドラマではさすがに「崖から落ちて死んだ人なんていません」という展開にはなりませんよね?

そして金国との関係に不安を感じた徽宗は、安史の乱の際の唐の玄宗と代宗の故事に倣って皇太子(すなわち欽宗)に譲位。この前後に朝廷で手腕を認められた秦檜が王夫人と結婚したりしております。この夫婦が後年岳飛を陥れることになるはずですが、今のところ王夫人は普通の知的な美人という印象です。

で、朝廷や金国の動きを受けて名将宗沢らが相州で義勇兵を募集。武勇にすぐれた梁王柴桂への挑戦者を募るという形で武術大会を開きます。劉韐が死んで行き場を無くした岳飛もこれに応じますが、実はこの梁王、金国と結託しており、武術大会の寸止めルールを無視して腕に覚えのある義勇兵の殺害をはかります。謎の女スパイ素素から梁王の陰謀を知らされた岳飛は、激闘のすえ、あべこべに梁王を殺害。貴顕を殺害したことで死罪に問われる岳飛ですが、彼の才覚を惜しむ宗沢の計らいにより、死罪を免じるかわりに蜈蚣山の山賊吉倩・吉勇を討伐することになり……

ということで、梁王との一騎打ちはアクション的にもストーリー展開的にもかなり盛り上がります。しかし金が攻めてくるとかどうとか言ってる時に、こんなちまい山賊を相手にしていて大丈夫なのでしょうかw
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『精忠岳飛』その1

2014年01月04日 | 中国古典小説ドラマ
時は北宋末期の宣和年間。宋国は新興の金国とともに長年の敵国である遼を攻め滅ぼす計画を練っておりました。この時岳飛は未だ劉韐将軍の一兵卒。金国の使者粘罕(ネメガ・完顔宗翰)との会談に向かう韓肖冑の護衛として同行することになり、山賊張超の襲撃を退けたりして頭角を現していきます。その張超が腕自慢の楊再興を従えてリベンジにやって来ますが、これも楊再興を打ち破って撃退。

そこへ黄河の洪水で家を失った岳母と、亡妻との間の子供岳雲・安娘らがやって来て一家で韓肖冑の世話になることに。岳母と韓肖冑は、父母を失った李孝娥と岳飛との縁談を取りまとめようとしますが……

ということで『精忠岳飛』の鑑賞を開始しました。今回は第1~3話まで。監督は新版『水滸伝』などでお馴染みのアクションシーンに定評がある鞠覚亮です。主役はこれまたお馴染みの黄暁明。



このほかにも李孝娥役のルビー・リン(林心如)など、どこかで見たような顔ぶれが続々と登場します(^^;)

史実ベースのドラマかと思いきや、人物設定などで白話小説『説岳全伝』の設定を取り入れているようで、それこそ『水滸伝』とか『隋唐演義』なんかと同じ感覚で見た方が良さそうです。岳飛の配下となる牛皋とか、岳家軍の強敵として立ちはだかることになる金兀术(ウジュ・完顔宗弼)、そして忘れちゃいけない秦檜も序盤から顔を見せています。

しかし白話小説での設定が基本ベースとなると、金国側の人物が単なる悪役になっちゃうんじゃないかと不安になってきます…… いずれにせよ宋の朝廷がクソという部分は安定なんでしょうけどw
コメント (2)
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