博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『トキメキ!弘文学院』その2

2014年12月26日 | 武侠ドラマ
『トキメキ!弘文学院』(原題『犀利仁師』)第4~8話まで見ました。

弘文学院に新たに女子学生と女性教師を迎え新学期を迎えたと思ったら、新入生の呉天宝・范大同らが寮(弘文学院は全寮制の学校)を脱け出し、料亭で同級生同士の懇親会、更にはやはり同じ料亭に遊びに来ていた上級生の元芳(則天武后の時代ですが、『神探狄仁傑』の李元芳ではない……はず)と喧嘩になったり、おまけにその元芳らが女性教師の授業を受けるのはイヤだと路雲霏追放運動を起こしたりと、トラブル続きです。

路雲霏追放の声を封じるため、聶文星の提案で教員・男子学生・女子学生から代表を一人ずつ選び、彼らに路雲霏が学院の教師としてふさわしいかどうか審査させることに。教員代表聶文星が彼女に与えた試練は、柳傲天のサポートもあって何とかクリア。普段は路雲霏と仲良く喧嘩しつつ、いざとなったらさり気なく彼女をサポートする柳傲天はツンデレというやつなのかもしれませんw

しかしそれと前後して寮内で謎の発疹が流行。しかしこれも高額の制服代を払えず、制服を自作した宋文文だけが発症していないということで、守銭奴の学監(校長)が仕入れてきた安い制服の生地が汚染されていたということで、柳傲天が原因を突き止めます。ここで何の偶然か今日本で話題のゴキブリの死骸が登場(^^;) 死骸が混ざってたのは食品ではなく反物ですがw 

そして原因究明に貢献したということで、路雲霏は女子学生代表慕容月の審査もクリア。残るは追放運動の急先鋒元芳のみ。その頃、学生最年長の孫大山の学費滞納を問題視した学監は彼の茶畑を譲り受け、茶葉販売の儲けを学費の穴埋めにしようと計画。そこで教員・学生を言いくるめ、入学早々寮を脱け出した罰ということで呉天宝・范大同・元芳らに泊まり込みで茶摘みをさせることにしますが……

ドラマのテイストとしては『花より男子』の古装版といったところでしょうか。男装して男子学生ということで通している宋文文なんてキャラもおりますし。(しかし彼女は因縁のある男子学生范大同と寮で相部屋なのですが……)弘文学院の校章が現代中国の大学の紋章のパロディだったり、大学の給食が日本の弁当だったりとお遊び要素もたくさん盛り込まれています。しかし上司の東方婉児(則天武后の腹心上官婉児がモデルでしょう)に「お前は密偵として任務に取り組んでいるのか、教師として取り組んでいるのか」と詰問されていた柳傲天が、気がつけばすっかり教師らしくなっております(^^;)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『トキメキ!弘文学院』その1

2014年12月19日 | 武侠ドラマ
BSジャパン放映の『続・宮廷女官若曦』の後番組『トキメキ!弘文学院』(原題『犀利仁師』)ですが、作品自体の評価が上々ということでそのまま見続けることに。今回は第1~3話まで見ました。

時は則天武后の時代。男女平等の教育を達成するため、女帝の肝煎りで弘文学院に女子の入学を認めることに。しかし公孫毅ら旧朝の勢力がその教育改革を阻もうと画策。そこで女帝の腹心東方婉児は密偵柳傲天を学院の武術師範として潜り込ませ、旧朝の勢力から学院の改革を守らせることにします。が、柳傲天は学院の師範試験と間違えて不凡鏢局の一人娘路雲霏の比武招親に参加してしまい……

ということで『続・宮廷女官若曦』のカップル呉奇隆(ニッキー・ウー)が柳傲天を、劉詩詩が路雲霏を演じています。他には十阿哥・ジャック役の葉祖新が高官の息子で学院入学を望む范大同を演じています。今んとこアニメのアイキャッチを挿入したりして、ゆる~い感じのコメディになってますね。テンポがいいので無理なく見続けられそう。

今回は学院の教員となった柳傲天を見返すために路雲霏が師範試験に合格して彼の同僚となり、また権門出身の范大同とトラブルがあった一文無しの宋文文や、范大同との婚約を破棄した慕容月が学院への合格を決め、父親に受験を反対された范大同が無理矢理学院に入り込むあたりまで。先輩教員の聶文星はイケメンで人格者ですが、こいつが旧勢力のスパイなんだろうなあと思いつつ次回へ……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『続・宮廷女官若曦 輪廻の恋』その8(完)

2014年12月16日 | 中国近現代ドラマ
『続・宮廷女官若曦 輪廻の恋』(原題『歩歩驚情』)第38~最終39話まで見ました。

釈放された殷正は張暁と雲南移住を計画。しかし康司瀚は復讐を諦めておらず、お別れ会と称して2人を招き、いけない薬を混ぜた酒を飲ませようと計画。だが張暁が所用で一時離脱し、その間に毒酒を口にした殷正と喧嘩となり、止めに入った馬伊諾を殴りつけて昏倒させ、気がつけば近隣住民に通報されて殷正が警察へと連行。このドラマで2回目の逮捕です。実は司瀚を庇うために殷正が敢えて罪をかぶったのですが……

そして馬伊諾も藍蘭と名乗っていた頃と合わせて2回目の入院。司瀚が彼女を連れ出して心中を図ったりして更に状況が悪化し、大量の輸血が必要な状態に。馬伊諾の正体が藍蘭、すなわち双子の姉であると知った張暁は献血を申し出て伊諾は快復しますが、今度は献血の負担に体が耐えきれなかった張暁が昏睡状態に……

【総括】
ということで、あっという間に最終回です。前作からの男優陣があまり出演していないということで、さして期待もせずに見始めたのですが、康司瀚の二股が発覚したあたりから展開にはまり始めましたね(^^;) 登場人物の性格は前作から役者さんが引き継いでいる/いない関係なしに前作とは変わっているパターンが多いのですが、ニッキー・ウー演じる殷正が前作の四阿哥と同じ厨二病系イケメンだったのもポイント高いです。(もっとも、ニッキー・ウーはこういう役柄しかできないという説もありますが)

しかし妙峰山で殷正&張暁を雍正帝&若曦と勘違いした老婆の正体とか、康震天らが25年前に甘粛の砂漠で発掘した宝物の詳細など、前作との関連を思わせる要素の説明が投げっぱなしになったのは残念です。甘肅の砂漠で発見されたのは単なる高価な骨董品ということでいいんでしょうか…… 

そして最終回は夢オチが多用されますが、あのラストシーンも実は夢……ということはないですよね?そもそも冒頭の博物館での殷正との出会いからして張暁の妄想だったという可能性もあるわけですがw
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の『続・宮廷女官若曦』その7

2014年12月12日 | 中国近現代ドラマ
『続・宮廷女官若曦 輪廻の恋』(原題『歩歩驚情』)第33~37話まで見ました。

震天集団の会長の座を奪取した後も執拗に康震天への復讐を果たそうとする殷正。そんな彼を見かねて母親の趙嵐が彼に康震天との真実を明らかにします。ここで1978年とかバレエダンサーとかベトナム戦争といった何となく不穏なキーワードが出てきますが、要するに学生の頃相思相愛だった康震天と趙嵐との間に殷正の実父殷成義が割って入り、趙嵐を無理矢理妊娠させて結婚したとのことで、実父がクズだったことを知った殷正は、これまでの康震天への仕打ちを後悔することに……

一方、張暁は亡き親友孟心怡の夢を叶えるため、雲南の奥地で小学校教師のボランティアをしていましたが、殷正出演の化粧品のCMを目にして彼が改心したことを察し、迎えに来た康司宇とともに北京に戻ることに。しかし震天集団は会長自ら出演してタイタニックの真似をしているような、あんな自己満足なCMを流していていいんでしょうか(^^;)

殷正が復讐心を捨てたのとは対照的に、康司瀚は殷正が甘粛の誘拐犯と結託して自分を死地に追い込んだと思い込み、復讐心を燃やします。自分の葬式にドヤ顔で「実は生きてたんですよねー」と現れ、震天集団に復帰した後は元カノの張暁にも辛く当たります。「殷正がオレから君を奪った」などと言っていますが、そもそもあんたの二股発覚が張暁と別れた原因だったんじゃ……

一方、ギラギラ感が脱けてすっかり白くなった殷正は張暁の求めに応じて会長職を康司瀚に譲り、「オレ、会社を辞めたら張暁と雲南で茶館を開くんだ」などと第二の人生の計画などを立てていますが、司瀚がこのまま見逃してくれるはずもなく、彼の陰謀で会社の金を横領した容疑をかけられて資産凍結→警察に連行されることに。

「殷正を一体どこまで追い詰めたら気が済むの?」と詰め寄る張暁に対し、「オレとよりを戻したら殷正を助けてやってもいいぜ?」と笑顔でツーショットを撮るよう強要する司瀚。(そして弁護士を通じてその写真を殷正に見せつける……)司瀚のクズ化が止まらない(´;ω;`) しかしさすがに横領の濡れ衣を着せてまで殷正を追い詰めようとする司瀚にドン引きして会社での後見役がわりの劉東海や親友の卓越たちが離れていき、渋々殷正の釈放に協力しますが……

ということで司瀚がすっかり「こんな人じゃなかったのに」状態に…… 気がつけば今作でもすっかりニッキー・ウーの方を応援していますw
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『古典注釈入門』を読んで Let It Go のことを考えた

2014年12月07日 | 雑記
鈴木健一『古典注釈入門』(岩波現代全書)をぼちぼちと読んでます。この本の第一章で古典を読むことで得られる違和感について述べています。違和感というのは古典を読んでいて内容についてどこか理解しがたいものがあったとして、ある時に突然意味がわかるというものですが、このような感覚こそ古典を読む上で必要なものであり、違和感を内に秘める古典を共感を持てるものに導くのが注釈の役割なのだとしています。

これと似通った経験を最近しましたよね?とよくよく思い返してみたら、ディズニーの『アナと雪の女王』でエルサがLet It Goを歌う場面で感じた違和感でした…… YouTubeでこの歌の動画を見た時はいい歌だと思いましたが、ところが劇場で日本語吹き替え版を見た時に、どうしてあの場面でこういう内容の歌をうたうのか理解できず、また歌の内容がその後の展開ともすんなり結びついてこないのに酷く違和感を感じたものでした。

『アナと雪の女王 MovieNEX』レット・イット・ゴー ~ありのままで~/エルサ(松たか子)<日本語歌詞付 Ver.>


その後、以下の記事などを見て、日本語版の歌詞は確信犯的に誤訳されたものであり、劇中歌としての文脈を無視して、本編から独立した歌として日本人の感覚に合うように翻案というかローカライズされたものであることを知り、自分の違和感の原因がわかり、非常に得心がいきました。

"Let it go"と「ありのまま」の違い
(こちらはその「誤訳」に対する批判)

『ありのままで』の歌詞はトンデモ訳?→日本語版に合わせたプロの仕事!
(こちらが「誤訳」に対するポジティブな評価)

思うに本書で言われている違和感や注釈の役割というのはこういう感じのものなのかなと。

なお、この「誤訳」に対して個人的には、ある程度の「ローカライズ」はやむを得ないとしても、劇中歌として映画の前後の展開と辻褄が合わないのはイカンでしょと思います。Let It Goのフレーズの日本語訳としては、「ありのままで」よりも、有志による文語訳版の「ままよ」の方が原義と合っているのかなと。

で、なぜアナ雪の感想を今までブログに書かなかったのかと言うと、これまでの経験上公開当時にあの手の作品のネガティブな感想を書くと100%荒れるという確信があったからです…… 年の瀬が近き、この本を読んでアナ雪のことを思い出したついでに今年感じたことを年内に書き残しておこうと思った次第。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の『続・宮廷女官若曦』その6

2014年12月05日 | 中国近現代ドラマ
『続・宮廷女官若曦 輪廻の恋』(原題『歩歩驚情』)第28~32話まで見ました。

亡き娘心怡の夢だった個展を開くからと張暁を呼び出し、マスコミまで招待して衆人環視の中で「娘を殺したのはこいつです!」と断罪する孟亦男。しかしそこを殷正が「オレの彼女に何をする!」と庇い立て。そしてその様子を監禁中の康司瀚がテレビで見て「俺の彼女だったのにいつの間に……」と絶望。メシウマ展開はまだ終わっていなかったようです。しかし康司瀚が「あの愛は嘘だったのか」みたいなことをつぶやいてますが、自分だって二股しておきながら一体何言ってるんですかねえ…… しかし孟亦男は今回の黒幕が殷成貴であることをあっさりバラしちゃってるんですが(^^;)

そしてこの頃になってようやく康司瀚が誘拐されたことが判明し(今まで殷正派の重役汪鉄城が司瀚を見殺しにするため情報を隠していた)、何とか身代金をかき集めようとする康震天ですが、孟心怡の死以来ストップ安だった震天集団の株を買い占めた殷成貴が筆頭株主となり、会社の金を身代金に充てるのを阻止しようとした矢先に、密かに殷正がこれまでの違法行為を通報したことにより逮捕。彼は叔父になりかわって筆頭株主となる算段を付けていたのでした。

その頃、親友の死に傷心の張暁は甘粛の父親のもとに戻り、彼女の動向が気になる殷正がストーキング。しかしちょっとしたすれ違いからまた張暁は殷正を避けるように……

一方康司宇と汪鉄城が現地に赴いて誘拐犯と身代金交渉をすることになりますが、その頃、司瀚は誘拐犯たちから拷問の連続で死んだと見なされて土中に埋められたところを殷正への憎しみから復活し、若蘭そっくりの馬伊諾に介抱されることに。ここで馬伊諾の正体が整形した藍蘭であったことが明かされますが、さすがにちょっと無理がありませんか?司瀚と心怡のブラッディーウェディングがバレンタインにあり、張暁との香港ディズニーランドデートがクリスマス、藍蘭の失踪がその少し前(たぶん秋頃)だから、失踪してから司瀚さんと出会うまでの間がせいぜい半年ぐらいでしょう。

藍蘭失踪→大火傷の療養&(たぶん妙峰山の寺廟で)仏門に帰依→蘭州で整形&犯罪グループと出会って食堂を開店→司瀚が蘭州に到来して彼女と出会う、ここまでが半年前後の出来事というのはちょっと詰め込みすぎですね。

そして汪鉄城らに妨害されながらも、司宇は張暁・張沢江父子の協力を得て兄の身柄を保護。しかし現地からの連絡が通じないのを良いことに、北京に戻った汪鉄城が康震天に司瀚は死んだと適当なことを吹き込み、それを信じた康震天は記者会見で涙ながらに司瀚の誘拐と死を公表。そして心労から脳出血で卒倒した康震天から筆頭株主殷正が会長の座を奪取。この件から、なぜ中国では政治家とか有名人の死亡説がしょっちゅう流れるのかというメカニズムがわかったような気がしました。政治家とか有名人の周囲には汪鉄城みたいなのがたくさんおるんですよ。たぶん。

そして救出された司瀚は張暁が殷正になびいたと逆恨み。二股野郎のくせに一体何を言ってるんですかね…… そして事の次第を知った彼は、殷正への復讐のため、敢えて生存情報を伏せて暗躍することにしますが……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2014年11月に読んだ本

2014年12月01日 | 読書メーター
今月からKindleを導入しました。Kindle購入の青空文庫版が増えてます。

猫の古典文学誌 鈴の音が聞こえる (講談社学術文庫)猫の古典文学誌 鈴の音が聞こえる (講談社学術文庫)感想平安文学から夏目漱石まで日本の古典に現れる猫のあれこれ。猫が虎の子孫あるいは虎の師匠とされるなど、古くは虎に関係づけられていたという話と、島津義弘が戦場で猫の目の形から時刻を確認するために、朝鮮出兵に七疋の猫を帯同したという話が面白かった。冒頭の「猫」と「狸」の話は、猫型ロボットと言いつつたまにタヌキみたいと言われてしまうドラえもんを何となく想像してしまうがw読了日:11月5日 著者:田中貴子

廃藩置県近代国家誕生の舞台裏 (角川ソフィア文庫)廃藩置県近代国家誕生の舞台裏 (角川ソフィア文庫)感想府藩県三治制の徹底によって中央集権化をはかるというのが当初の明治政府の既定路線であり、完全に藩を廃止してしまうことまでは考えていなかったこと、廃藩置県はそれを断念せざるを得なくなった状況で、西郷・大久保・木戸らによる一種のクーデターとして断行されたことなどを論じる。こういうのをクーデターと言うのかどうかわからないが、廃藩置県をめぐる動きが版籍奉還より段階的・計画的に進められたものではなく、かなり「グダグダ」なものであったことはよくわかった。読了日:11月9日 著者:勝田政治

満韓ところどころ満韓ところどころ感想青空文庫版を読書。夏目漱石による日露戦争後1909年の満洲探訪記だが、芥川龍之介の中国旅行記なんかに比べるとだいぶ中国に対する温度差があるなと。こちらの方が良くも悪くも中国に対して無関心。この無関心さが、探訪記が中途で終わっていることとも関係しているのかなと。小ネタとしては、途中で現地人が麻雀らしき遊びをしている場面があるが、麻雀という言葉は出てこない。この頃にはまだ麻雀が日本で知られていなかったということか。読了日:11月10日 著者:夏目漱石

「棲み分け」の世界史―欧米はなぜ覇権を握ったのか (NHKブックス No.1222)「棲み分け」の世界史―欧米はなぜ覇権を握ったのか (NHKブックス No.1222)感想「棲み分け」をキーワードに、なぜ西欧でサイエンスと資本主義が発達したのかを探究。広範な分野の研究・著作を参照しているが、どうも著者の専攻の西欧史以外の理解が大雑把だなと。例えば中国では権力の棲み分けが無かったとしているが、中国の王朝が「小さな国家」として位置づけられる幇や会党を基本的に放置していたのは、西欧のそれとは異なる形態であるかもしれないが、やはり権力の棲み分けと言えるのではないか。近年與那覇潤『中国化する日本』などグローバルヒストリー的な著作の刊行が相次いでいるが、同様の問題を抱えている印象。読了日:11月14日 著者:下田淳

上海 (岩波文庫)上海 (岩波文庫)感想青空文庫版で読む。五・三〇事件をテーマとしているが、主役の参木が「巻き込まれ型主人公」のせいもあってか、イデオロギー性はそれほど感じない。「魔都」上海的な描写も盛り込まれており、当時の雰囲気はそれなりに感じられる描写になっているか。読了日:11月15日 著者:横光利一

幕末史 (ちくま新書)幕末史 (ちくま新書)感想題名の通り幕末の政治通史。「攘夷」という言葉が単に排外主義と鎖国の堅持を意味するだけでなく、条約改正交渉なども含めて外国に対して強い行動に出ることを広く指した言葉であったとか、面白い指摘が盛り込まれている。開国派・尊攘派・公武合体派等々「~派」というくくりが幕末政治史の理解を無駄にややこしくしているという指摘には納得。読了日:11月19日 著者:佐々木克

古寺巡礼 (岩波文庫)古寺巡礼 (岩波文庫)感想青空文庫版で読む。以下、第十三節より印象に残った部分の抜き書き。「固有の日本人の「創意」などにこだわる必要はない。天平の文化が外国人の共働によってできたとしても、その外国人がまたわれわれの祖先となった以上は、祖先の文化である点において変わりはない。」読了日:11月22日 著者:和辻哲郎

達人伝 ~9万里を風に乗り~(1) (アクションコミックス)達人伝 ~9万里を風に乗り~(1) (アクションコミックス)感想Kindle版99円セールで購入。『蒼天航路』の初期のようなノリで出だしはいい感じ。中盤以降の超人大決戦みたいなノリにならないことを祈るばかり…読了日:11月24日 著者:王欣太

〈運ぶヒト〉の人類学 (岩波新書)〈運ぶヒト〉の人類学 (岩波新書)感想「運ぶ」という営みについて、著者お馴染みの「文化の三角測量」によって考察。日本・中国絡みだと天秤棒による運搬が取り上げられています。『天工開物』の挿画の中の天秤棒がおそらく竹ではなく木製だとしているが、絵で見ただけでそのようなことが判断できるのだろうか?本書の図版から見る限り木製と確定する根拠は薄いように思えるが… 読了日:11月24日 著者:川田順造

王道の狗3王道の狗3感想加納は大阪事件以来の因縁があった金玉均のもとを離れ、上海へ。加納と風間についてはあれで結着がついたということだろうか?方向性が定まらないまま上海までたどり着いて孫文と出会ってしまったという感じがするが…読了日:11月24日 著者:安彦良和

私本太平記〈巻1〉あしかが帖 (1959年)私本太平記〈巻1〉あしかが帖 (1959年)感想昔の大河ドラマの原作にもなったということで、青空文庫版で読書。藤夜叉とか一色右馬助のキャラクターなんかもここから借りてきたものなんですね。今回は高氏青年が藤夜叉と再会し、後の直冬となるはずの息子の顔を見るまで。読了日:11月25日 著者:吉川英治

豊臣秀頼 (歴史文化ライブラリー)豊臣秀頼 (歴史文化ライブラリー)感想これまで何となく凡庸とされ、母の茶々ともども嫌悪の念や悪意が向けられがちであった豊臣秀頼の再評価をはかる。秀吉死後の豊臣家も単なる所領65万石の一大名以上の権威を誇り、第二の天皇家的な存在となりつつあったということで、(著者の意図とはずれるかもしれないが)なぜ豊臣家が徳川幕府によって滅ぼされねばならなかったのかが再認識できた。読了日:11月28日 著者:福田千鶴

MASTERキートン Reマスター (ビッグ コミックス)MASTERキートン Reマスター (ビッグ コミックス)感想あれから20年、マスターに新たに修士という意味が加わってしまった。キートン先生が博士号を持ってないからと揶揄されるところなんて見たくなかった… ノリは前作とまったく変わりません。読了日:11月30日 著者:浦沢直樹,長崎尚志
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする