博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『武媚娘伝奇』その5

2015年06月25日 | 中国歴史ドラマ
『武媚娘伝奇』第23~28話まで見ました。

「唐三代にして滅び、女主武氏これに代わる」の予言の一件から、群臣より媚娘排除を進言され、一度はその気になるも未練が断ちきれない太宗。そこで驪山での狩猟に媚娘を同行させ、山中にわざと彼女をおきざりにしてそのまま民間で暮らさせることにします。

この驪山狩猟の場面より、雉奴こと後の高宗が子役から成長。ちゃんとイケメンになっていますw



で、太宗の意を承けた侍衛が手筈通り一行からはぐれた媚娘を民間へと導くはずが、その侍衛が突如彼女を殺害しようと襲撃。太子李承乾と、異変を察知して駆けつけた太宗によって救出されます。太子は師の魏徴の入れ知恵で、韋貴妃と結託した同母弟の魏王李泰と対抗するために媚娘と誼を結ぼうとしていたのでした。

その魏徴ですが、「女主武氏」の予言を太子排斥に利用しようとする魏王・韋貴妃一派の動きを抑えるため(唐が三代で滅びると予言されているのは、三代目になるはずの太子が無能だからという理屈)、「予言に言う女主武氏とはこの人です!( ・`ω・´) 」と、韋貴妃派の李君羨なる人物をスケープゴートに仕立て上げます。媚娘を排斥したくない太宗もその案に乗ることに。ただし太宗は一方で今後媚娘に皇子を産ませないことも決意します。

そして太宗は太子の品格を問う声を封じるために「男寵」称心の殺害を命じ、太子は逡巡しながらも自らその首を取り、太宗に差し出すことに。太子と称心に関してはドラマ中でそれらしいシーンが出てくるわけではありませんが、設定としては「そういうこと」になっているのかもしれません……

この前後にこれまで何かと媚娘や徐慧に絡んで波風をおこしてきた蕭薔が太宗の子を懐妊。しかし叔母で後ろ盾の韋貴妃が出産後に自分を殺害して生まれた子の養母に収まる腹なのを知ってしまい、何とかその運命から逃れようとしますが…… また一つ死亡フラグが立ってしまったようです (^_^;)

最後に、太宗から媚娘の代用品としてしか扱われないことに憤懣を抱き、ダークサイドに落ちてしまう徐慧さん。


この子は『後宮甄嬛伝』で言う沈眉荘的な役回りだと思っていましたが……
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『武媚娘伝奇』その4

2015年06月16日 | 中国歴史ドラマ
『武媚娘伝奇』第17~22話まで見ました。

大朝会での功績により太宗から「武媚娘」の名と、御書房(太宗の書斎)で太宗に仕えるという特典を賜った如意。(以下、媚娘と表記)しかしこのあたりから親友の徐慧との仲が微妙なものになっていきます。

そして大朝会と並行し、殷宏智(殷徳妃の兄。隋末の大乱で一族を太宗に殺された怨みがあるらしい)が斉王(太宗と殷徳妃の子)を担ぎ上げてクーデタ計画を進行しており、宮中にも叛徒が押し寄せてきましたが、その動きは太宗によって察知されており、あえなく鎮圧。クーデタには反対であった殷徳妃も「毒を食らわば皿まで」ということなのか、媚娘を利用して太宗に毒入りの甘露羮を太宗に進めるものの、たちまち見破られ、結局媚娘に見守られながら入水自殺することに……

いつぞやの鄭婉言といい、媚娘の目の前で妃嬪が死にすぎじゃないでしょうか。終盤で媚娘がこれまで死んでいった妃嬪たちのオーラを背に無想転生を披露してくれるんじゃないかという気がしてきましたがw

大朝会からの一件に片が付いたと思ったら、今度は白昼に太白(金星)が輝くという異変が発生。これを受けて欽天監の李淳風は「唐三代にして滅び、女主武氏これに代わる」という予言を導き出します。この「女主武氏」が媚娘を指すのではないかということで、韋貴妃はこれを利用して媚娘を陥れようと、李淳風を謀殺したり、媚娘に巫蠱の罪を着せようとしたり、はたまた太宗が媚娘に賜った名馬の飼い葉にいけない薬を混ぜて馬を暴走させようとしたりと、あれこれ画策。あまりにも執拗でベタな嫌がらせの数々に、韋貴妃と結託する魏王(太子の同母弟)も「何やってんだ」と呆れております (^_^;)

しかし李淳風は自分でも媚娘が「女主武氏」であると考え、媚娘に「少数の犠牲(媚娘ら宮中に仕える武氏の死)によって大勢の人間が救われることになる」と自信満々に語っていたのですが、その当人が真っ先に犠牲になってしまうんですよねえ……

太宗は何とか予言を否定し、媚娘をこれまで通り寵愛しようとしますが、唐王朝を保つために媚娘を殺すよう求める群臣の訴えを受け、次第に彼女を遠ざけていきますが……
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『武媚娘伝奇』その3

2015年06月08日 | 中国歴史ドラマ
『武媚娘伝奇』第11~16話まで見ました。

如意が掖庭に送られてからおよそ1年。李世民は謎の老婆こと彭夫人から玄武門の変の許しを請おうとしますが、彼女は加齢から痴呆が進んでおり、太宗と亡き李建成の区別もつかなくなっておりました。太宗はその事実を受け入れ、彼女を自分のもとで養うことに…… 何で劇画に出てきそうな雰囲気の老婆が登場したと思ったらこんな悲しい展開になってしまうんでしょうか(´;ω;`) 

彭夫人の一件もあり、恩赦によって才人に復帰した如意。宮廷では諸国の使者が集う3年に一度の大朝会を控え、太宗は諸国の使者をもてなす瑠璃宴の主催を後宮のトップの韋貴妃ではなく楊淑妃(隋の煬帝の娘で呉王の母)に命じます。如意と徐慧も韋貴妃と対抗するためには楊淑妃をもり立てねばならぬと、彼女を補佐して準備にあたることに。

で、諸国の使者を迎えて瑠璃宴が開幕。高昌国の琵琶の女名手と唐の国一番の女楽師が腕前を競うはずが、瑠璃宴の主催から外された韋貴妃の陰謀により、宴の直前に唐の楽師の手が負傷してしまいます。そこで如意が腕の劣る楽師を単なる宮女に変装させて高昌国の名手の弾いた曲を演奏させ、「唐では一宮女もこれぐらいの腕前はある」と高昌国の名手を心服させます。

そしてお次は東瀛(要するに日本。ここで出てくる国名は高昌国以外仮名になってます)の舒明天皇の使者で囲碁の名手物部天守(イケメン)と、やはり囲碁に造詣が深いことで知られる徐慧が対局することになります。


物部天守を演じるのは松島庄汰という日本人俳優とのこと。

しかし対局中に徐慧が昏倒。実は韋貴妃→楊淑妃→如意→徐慧のルートで譲られた扇に毒薬が仕込まれていたのでした。そしてその毒薬を仕込んだのは韋貴妃……ではなく、将来のライバルになりそうな如意が瑠璃宴で活躍するのを阻もうとした楊淑妃なのでした。しかし案に相違して如意が扇を徐慧に譲ってしまったという次第。何ですか、この地獄展開は(´Д`;) そしてここでも如意がピンチヒッターとなり、徐慧が物部天守の棋譜を研究していたのを横から見ていたお陰で何とか勝利。そして最後の天独(=天竺)の僧が持ち込んだ「聖物」の正体も金剛石と見破り、瑠璃宴はひとまず閉幕。

その後、楽師の負傷と徐慧の昏倒について太宗の命で楊淑妃が捜査・審問を取り仕切ることになります。少なくとも楽師の負傷は韋貴妃が黒幕になっているので、彼女を弾劾する絶好のチャンス……と思われましたが、瑠璃宴では第三勢力の立場に置かれた殷徳妃も巻き込みつつ極めて高度な後宮政治が展開された結果、韋貴妃は無関係ということで幕引き。徐慧の昏倒については如意が毒を仕込んだという噂まで流されてしまいます。

そして大朝会のトリを飾る北漠(=突厥)の北図王子と呉王によるポロの勝負が行われることになりますが、北漠側のラフプレーによって呉王が負傷してしまい…… ここで如意がポロに飛び入り参加かと思いきや、頓智勝負で結着がつくことに (^_^;)
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『武媚娘伝奇』その2

2015年06月02日 | 中国歴史ドラマ
『武媚娘伝奇』第5~10話まで見ました。

文徳皇后に瓜二つの鄭婉言は先輩の如意らを差し置き、あっという間に婕に出世しますが、顔やしぐさだけでなく言動まで文徳皇后にそっくりなことをさすがに不審死する太宗。そらそうやろとツッコミたくなりますが (^_^;) 実は彼女、殷徳妃の実家の殷氏により幼少の頃から太宗の心を虜にすべく、文徳皇后のコピーとして仕込まれてきたのでした。

しかし太宗は次第に鄭婉言より却って如意に惹かれていきます。そのことを察した婉言は嫉妬心から如意を毒殺しようと、庇護者の殷徳妃から毒殺用の酒壺(普通の酒と毒酒の両方を注げる仕掛けがある)を借りてきますが、如意を毒殺するはずが逆に自分が毒酒を飲んで死んでしまうことに…… 実は殷徳妃は自分をサポートするべく実家の殷氏から送り込まれてきた婉言の存在が、却って自分の産んだ斉王のためにはならないと判断し、この機会を利用して彼女を死に追いやったのでした。

鄭婉言は思わせぶりに登場した瞬間から死亡フラグが立っているような娘でしたが、さすがに死ぬのがちょっと早すぎやしませんかね(´Д`;) で、如意は婉言の死んだ現場に唯一居合わせたということで殺害容疑者として審問にかけられ、疑いが晴れた後もその責任を問われ、掖庭で服役することに……

その間、如意の疑いを晴らすべく奔走した親友徐慧は太宗の寵愛を受け、才人から婕に出世。そして皇太子李承乾は怨みを持つ者の手によって街中で落馬させられ、片足が負傷して生涯歩行が困難となってしまいます。韋貴妃の兄韋源承は彼を太子の座から引きずり下ろそうと、ここぞとばかりに彼の日頃の素行を弾劾。この李承乾ですが、称心というお気に入りの従僕がおり、正妃の蘇氏より彼と一緒にいることを好むという状況。何となくBLとかカップリングという言葉が思い浮かんできましたが……


太子李承乾(向かって右側)と称心。

一方、掖庭に送られた如意は、韋貴妃の意を承けた「羅将軍」こと羅玉珊に付け狙われますが、掖庭の影のボスである謎の片目の老婆と仲良くなります。


劇画に出てきそうな雰囲気の曰くありげな老婆。服役囚に辛くあたる宦官もなぜか彼女にはぺこぺこと頭を下げます。

実はこの老婆・彭夫人は李建成・李世民(太宗)・李元吉兄弟の乳母で、玄武門の変の際に李建成・元吉が李世民を殺害しようとしているのを知り、李世民に知らせて難を逃れさせようとしたところ、李世民が却って建成・元吉を殺害してしまったことを強く憤り、以来太宗との対面を拒否していたのでした。如意は何とか彭夫人と太宗を仲直りさせようとしますが……

ここでしれっと如意の未来の夫少年李治が登場しています。ここでのエピソードが後々生かされることになるんでしょうか。
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2015年5月に読んだ本

2015年06月01日 | 読書メーター
南方熊楠 - 日本人の可能性の極限 (中公新書)南方熊楠 - 日本人の可能性の極限 (中公新書)感想
今の世に生きていればネット界隈の有名人となり、文化人・知識人の評価を得る一方で論争と炎上を繰り返すタイプではないかと思った。それまで否定的であったオカルティズムに対する態度がロンドンからの帰国後は一転肯定的となった点、かと思えば山男(山人)をめぐって柳田国男が先住民族の投影と見る一方で、熊楠は動物や人間の誤認と一笑に付した話などが印象に残った。あと、BL的なエピソードも盛り込まれています。
読了日:5月4日 著者:唐澤太輔

漢文入門 (現代教養文庫ライブラリー)漢文入門 (現代教養文庫ライブラリー)感想
漢文の入門書としては非常に取っつきやすい構成かつ文章になっている。例文には日本の漢文あるいは日本に関する漢文を多く取り上げている。ただ、Kindle版は例文の返り点・送り仮名を中心に極めて多くの誤脱が見られるのが残念。
読了日:5月6日 著者:魚返善雄

風と共に去りぬ 第3巻 (新潮文庫)風と共に去りぬ 第3巻 (新潮文庫)感想
南北戦争を経て南部のプランターの栄華も今や昔となり、スカーレットは「タラ」を残すために奮闘する。が、個人的にはスカーレットよりも彼女にたかられそうになっているフランク・ケネディさんの方に同情してしまう。声が届くなら「ケネディさん、彼女から逃げて!」と言いたくなるが……
読了日:5月9日 著者:マーガレットミッチェル

春秋時代の貴族政治と戦乱―宇都木章著作集〈第3巻〉 (歴史学叢書)春秋時代の貴族政治と戦乱―宇都木章著作集〈第3巻〉 (歴史学叢書)感想
かつて新人物往来社より刊行された『春秋時代の戦乱』等を収録。春秋時代の流れを見るのに手頃な概説書となっている。尻切れトンボのような感じで終わっているので、もう少しそれらしいオチをつけて欲しかった気もしますが……
読了日:5月11日 著者:宇都木章

骨が語る日本人の歴史 (ちくま新書)骨が語る日本人の歴史 (ちくま新書)感想
オビにも出ている縄文人・弥生人の話が一番のアピールポイントになる本なのだろうが、個人的には畿内の大型古墳の被葬者はおおむね高身長だったという指摘と、戦後70年間の日本人の体格・顔立ちの変化はかなり急激で、それ以前の日本人とは似ても似つかない存在となったという指摘が面白かった。無論終戦によって日本に住んでいる民族が入れ替わったはずもないので、民族の入れ替わりよりも、同じ民族間での階層分化や食生活の変化の方が体格・顔立ちの変化の大きな要因となるということのようだ。
読了日:5月17日 著者:片山一道

本当は日本が大好きな中国人 (朝日新書)本当は日本が大好きな中国人 (朝日新書)感想
タイトル通り、今流行りの「海外から見た日本すごい本」として読める作りになっている一方で、さりげなく中国人の気質や現代中国文化について理解が深められる作りにもなっており、また中国人が大好きな日本とは、中国も含めて外国の文化が大好きな日本であると釘を刺している。中国人の「反日活動家」が、(日本で批判されがちな)日本の「人権派弁護士」との接触などを通して、日本からは学ぶべきことが多いと評価しているというのも面白い。
読了日:5月20日 著者:福島香織

ふしぎの国のバード 1巻<ふしぎの国のバード> (ビームコミックス(ハルタ))ふしぎの国のバード 1巻<ふしぎの国のバード> (ビームコミックス(ハルタ))感想
今までありそうでなかったイザバラ・バードの紀行のコミック化。実際のバードはもう少し男らしくて旅慣れていたのではないかと思うが…… バードが日本の生活や風景が当時既に失われしつつあると感じているのは、『逝きし世の面影』の影響を受けた描写か。
読了日:5月21日 著者:佐々大河

朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)感想
韓国併合後の高宗(李太王)や李垠・梨本宮方子女王夫妻など韓国皇室の軌跡を追う。元の韓国皇室は朝鮮王公族として準皇族としての扱いを受けていたとしているが、待遇も本人たちのメンタリティも皇族そのものという印象。戦後の末路も、いわゆる「旧皇族」と似たり寄ったりだなと。李垠と方子の婚約が李王家の家格と巨額の歳費に目を付けた梨本宮伊都子妃の方から申し出たものであったことなど、個別のエピソードも面白い。
読了日:5月23日 著者:新城道彦

ヒストリエ(9)ヒストリエ(9)感想
今巻の読みどころは何と言ってもあの人との再会の場面。カイロネイアの戦いに突入し、話の流れも着々と進んでます。
読了日:5月23日 著者:岩明均

中国学入門 中国古典を学ぶための13章中国学入門 中国古典を学ぶための13章感想
中国学入門とあるが、正確には中国文学・哲学・書道・書誌学の入門書。専門柄最初の戸内俊介「中国古代文字論」と最後の家井眞「銘文から『詩経』へ」が気になった。戸内論文はコンパクトかつわかりやすい戦国竹簡入門に仕上がっている。家井論文は「はじめに」によれば「上級編」ということであるが、本書での位置づけに少々疑問を感じる。
読了日:5月25日 著者:

中国史(上) (岩波文庫)中国史(上) (岩波文庫)感想
文庫化されたのを機に読み直す。通史としては手頃な概説書・入門書と言うよりほとんど古典と化しているなと感じた。私が学部一年の頃にこの本(岩波全書版)の感想を書けというレポートが課されたことがあるが、もはやそのような用途としては適当でない書となりつつある。
読了日:5月29日 著者:宮崎市定

物語イギリスの歴史(上) - 古代ブリテン島からエリザベス1世まで (中公新書 2318)物語イギリスの歴史(上) - 古代ブリテン島からエリザベス1世まで (中公新書 2318)感想
上巻はイングランドが地方の一勢力から「帝国」へと飛躍していくテューダー朝の時代まで。著者の専攻が近現代史とあって内容に新見はないが手堅くまとまっている。コラムで三年前に発見されたリチャード3世のものとされる遺骨の話題などもあり。
読了日:5月31日 著者:君塚直隆

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