博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『怪侠一枝梅』その2

2012年11月28日 | 武侠ドラマ
『怪侠一枝梅』第5~7話まで見ました。

張豹率いる馬賊「豹子幇」に長年貢ぎ物を強要されてきた苗家村で村娘たちが攫われ、馬賊の手から逃げ延びた小青が「一枝梅」に助けを求めます。実は柴胡も幼い頃に張豹に拐かされ、悪行を無理強いされてきたという過去があり、昔と変わらぬ張豹の所業を知っていきり立ちますが……

このドラマ、ショート・ストーリーの連作という形になっているようで、今回は「最強兵器」編というタイトルが付いています。。

離歌笑は張豹と駆け引きをして小青の姉の小英ら村娘を救い出し、かつ官憲の財貨運送の情報と引き替えに苗家村から手を引くよう求めますが、その話に乗ろうとした張豹がナンバー2の陳烈に暗殺されてしまいます。で、陳烈は張豹が「一枝梅」に謀殺されたことにして張豹の遺児張忠を新幇主に擁立。仇討ちと称して苗家村の殲滅を図ることに……

ということでいきなり張豹の息子が登場したりして話がいい具合にややこしくなっております(^^;) 柴胡と張豹との因縁といった思わせぶりな設定を出しておきながら、その設定がほとんど生かされることなく張豹が死んでしまったのが何とも…… しかも何が「最終兵器」なのかもよくわからないまま話が終わってしまいましたが、これは馬賊に扮して「豹子幇」に忍び込み、張忠に正体をあぶり出されようとした時の賀小梅の行動を指しているのかなと。
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『四大名捕』(映画版)

2012年11月24日 | 映画
『四大名捕』

時は北宋。官府から銅銭の鋳型が盗まれ、偽の貨幣が都で流通。特務機関の捕神率いる「六扇門」と諸葛正我率いる「神侯府」がそれぞれ捜査に当たることになりますが、自分達の領分を侵す「神侯府」を快く思わない捕神は部下の冷血を「神侯府」に潜入させ、様子を探ることに。冷血は同僚となった下半身不随で車椅子の美女無情・メカニック担当の鉄手・元借金取り立て人の追命らとともに行動することになりますが、無情には人の心を読む能力があり……

ということで、温瑞安の武侠小説『四大名捕』の映画版です。「四大名捕」の筆頭無情の性別が女性に変更され(劉亦菲が演じてます)、読心術やテレキネシスが使えるなど大幅に設定が変えられているほか、冷血・鉄手・追命や、偽金造りの黒幕の安世耿が使う武功が武侠物の内功というより超能力に近いものになっていたりと、『X-MEN』のようなマーベル・ヒーロー物に近い演出になっています。本作は差し詰め『ファンタスティック・フォー』の中華版といったところでしょうか。

本作で「四大名捕」の出会いが描かれ、かつ続編を意識した終わり方になっているので、今後作品のシリーズ化及び積極的な海外展開を図っていきたいということなんだろうと思うのですが、肝心の中身がそれほどでもないんですよね(´・ω・`) 出来が悪くないかわりに物凄く良いというわけでもない微妙な感じです……
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『怪侠一枝梅』その1

2012年11月22日 | 武侠ドラマ
既に日本語版がリリースされている作品ですが、なかなか評判がいいので見てみることにしました。ということで『怪侠一枝梅』第1~4話まで鑑賞。

なお、韓国ドラマにも『一枝梅』というのがありますが、今回鑑賞するのは上海唐人制作の中国ドラマです。『一枝梅』は元々中国の古典小説集『二刻拍案驚奇』などに見える物語ですが、その後この話が朝鮮半島に伝わり、独自の発展を遂げたようです。

時は明代嘉靖年間。霍建華(ウォレス・フォ)演じる主役の離歌笑はかつて錦衣衛の頭目でしたが、愛妻を亡くして辞職してからは地下の闘技場で「豹子胆」というリングネームで戦って日銭を稼いだりと、荒んだ日々を送っておりました。

そこへかつての部下で現在の錦衣衛の頭目の応無求が現れ、災害に遭った湘北の民の救済金として輸送中だった黄金十万両が賊に奪われてしまったので、何とか賊の手から取り戻して欲しいと彼に依頼。離歌笑は怪力自慢の柴胡、京劇の女形で変装と暗器の名人賀小梅、女盗賊で軽功の達人燕三娘の3人の仲間を募り、黄金を取り戻します。しかしそれは離歌笑を陥れようとする応無求の罠なのでした。朝廷の権臣厳崇の腹心となっていた応無求は、離歌笑らを利用して救済金を手に入れ、厳崇に引き渡します。そしてあべこべに離歌笑ら4人を救済金の強奪犯として指名手配。お尋ね者となった4人は黄金を取り戻すため、厳崇の屋敷に潜り込もうとしますが……

ということで今回は離歌笑らがミッション・コンプリートの後、桃園ならぬ梅園で契りの酒を飲み交わして義賊集団「一枝梅」を結成する所まで。ここまで物凄くテンポ良く話が進んでおり、この後の展開も期待できそうです。

本作では厳崇・嘉靖帝・海瑞と実在の人物が登場しておりますが、厳崇と嘉靖帝は『大明王朝1566』の時とだいぶ雰囲気が違ってますね。まあ、あっちの描写の方が異常なんですが(^^;) そしてその厳崇に足蹴にされたり罵倒されたりしてもひたすら従順に仕え続ける応無求の社畜ぶりが泣ける……と思ったら、離歌笑とは彼の亡き妻荊如憶をめぐって因縁があったようで……?
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『天涯明月刀』その7(完)

2012年11月14日 | 武侠ドラマ
『天涯明月刀』第35~最終40話まで見ました。

傅紅雪は自分が花白鳳の子ではないと知らされ、虚脱状態となった隙を突かれ、燕南飛によって穴道を封じられて廃人と化してしまいます。そして彼を助け出した明月心はその治療法を探ることに……

一方、葉開は南宮翎との婚礼を進めようとしますが、母親の花白鳳の陰謀により、南宮翎の父親の南宮博が楊常風殺害に関与していたことが明らかとなり、婚礼の場が一転して修羅場に。そして召使いに化けて南宮世家に潜伏していた楊夫人により、彼女が南宮博の妹であり、そして彼女こそが楊常風殺害を指令した「梅花令主」であったことが明らかにされます。で、楊夫人すなわち南宮協が夫の殺害を主謀した理由は、夫が実家を捨てて妻となった自分を省みず、花白鳳らと浮気したから。……なんか工工エエエ(´Д`;)エエエ工工と言いたくなるような理由なんですけど……

傅紅雪を陥れた後、主君を裏切って自分こそが武林盟主になるという野心に取り憑かれた燕南飛は、公子羽のもとから武林三大武功のひとつ「大悲賦」を盗み出そうとしますが、公子羽の方はそんな彼の性根などお見通しで、罰として燕南飛のなけなしの武功が奪われしまいます。ここで公子羽が実は二十年以上前に死んだと思われていた楊常風と楊夫人との間の子で、父親の嫡子として武林盟主となるのが目的であったことが明かされます。

そして花白鳳と葉開は廃人となった傅紅雪を治療するには「大悲賦」の力に頼るしかないということで、二人して「大悲賦」の在処である敵の本陣「雲天之巓」に乗り込むことに……

【総括】

以上が終盤の大まかなストーリー展開です。特にこの部分では、知ってはいけない秘密をうっかり立ち聞きで知ってしまう、他人に見られてはいけないアイテムをうっかり落としてしまい、一番見られたくない相手に拾われてしまう、一番なって欲しくないゲスキャラがラスボスになるなど、武侠ドラマでありがちな展開がてんこ盛りとなっております(^^;)

傅紅雪の出生の秘密もここで明らかにされますが、むしろ花白鳳がこのことを隠さずに最初から葉開と傅紅雪に伝えておけば、2人との母子関係もここまでこじれずに済んだのではないかという気が…… まあ、花白鳳が重度のツンデレだったのがすべての元凶だったということかもしれません。

で、この作品の全体の評価ですが、特に飛び抜けて面白い部分があるというわけではないのですが、かと言って展開が中だるみすることも全くなく、平均して常に70点ぐらいのクオリティを保った良作の部類ではないかと思います。(最終回では胸糞な展開がありますが……)今CSで放映中の『浣花洗剣録』や最近日本語版がリリースされた『流星蝴蝶剣』など、古龍原作ドラマは数が多い割には作品に恵まれていなかったのですが、本作は『PRIDE』以来のヒット作ではないかと思います。
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『天涯明月刀』その6

2012年11月07日 | 武侠ドラマ
『天涯明月刀』第29~34話まで見ました。私がチンタラこの作品の中文版を見ている間に日本語版のレンタルが開始されたようですね。

さて明月心の説得に心を動かし、「誅天大会」での証人となる決意を固める斉一心さんですが、「雲天之巓」の刺客によって帰らぬ人に…… そして斉一心の正体が長年自分の面倒を見てくれた鬼爺爺であると気づき、彼と結婚するつもりで駆けつけた周婷は、彼の遺体を前に明月心が彼を殺したと思い込み、復讐のために「雲天之巓」に復帰。李莫愁並みの恐るべきヤンデレ女魔頭となり、公子羽によって四大使者より上位の「烈焰戦神」に抜擢されます。やはり飛雲使に抜擢されていた燕南飛はそれが面白くないようですが?

向応天を告発する証人が不在のまま侠客山荘で「誅天大会」が開催されますが、かつて魅影に命を奪われかけて傅紅雪に危うい所を救われた点蒼派の跡取り息子の駱少客が、恩返しのために六大門派の領袖の面前へと魅影をおびき出し、また向応天の裏切りに怒った楼蘭国の王子赫連鵬=雀奴が彼の悪事を告発。そしてとどめを刺すが如く、死んだはずの楊常風夫人が突如出現し、向応天こそが20年以上前の楊常風殺害の下手人であると告発。向応天は散々悪あがきをした揚げ句に傅紅雪に追い詰められ、山荘ごと爆死してしまいます。

これで武林の大患が取り除かれたはず……でしたが、山荘跡から彼の遺体が発見されないことから、死んでから10分か20分後ぐらいに生存疑惑がささやかれてしまいます。果たして向応天は山荘の地下道から密かに「雲天之巓」の裏山へと逃れ、魅影の功力を吸い取って恐るべき魔人と化していたのでした。

葉開と傅紅雪はタッグを組んで何とか向応天を倒しますが、その際に葉開が向応天から「西域尸毒」を受けてしまい、それを治せるのは近親者の内功によってのみというところで、実は葉開こそが楊常風と花白凰との間の子で、赤ん坊の頃に傅紅雪と取り替えられたことが明るみに出てしまいます。自分が楊常風の子ではなかったと知り、アイデンティティ崩壊の危機を迎えてしまう傅紅雪さん……

そして明月心と南宮翎は楊常風夫人の正体を不審に思い、孔雀山荘に潜入して彼女が南宮世家の関係者であったことを突き止めます。どうやら彼女は南宮翎の父親南宮博の妹であったようですが、彼女には更に謎が隠されているようで……?
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『リンカーン/秘密の書』

2012年11月04日 | 映画
『リンカーン/秘密の書』

幼い頃に母親をヴァンパイアに殺されたエイブラハム・リンカーンは、母親の仇を討つためにヴァンパイア・ハンターのヘンリーに弟子入り。ヘンリーの指令によって夜な夜なヴァンパイア狩りを続けるリンカーンですが、当時アメリカの南部は白人がヴァンパイアに「餌」として黒人奴隷を供給するという体制が確立され、ヴァンパイアたちの帝国と化しておりました。そこでリンカーンは奴隷制の廃止がヴァンパイアの根絶につながると考え、政治家としての道を歩むことになります。

そしてリンカーンは大統領として北部の世論を奴隷制の廃止へとまとめあげ、南北戦争の火ぶたが切って落とされるわけですが、ヴァンパイアたちのボスのアダムは当然南軍に肩入れし、北軍は南軍のアンデッド軍団に苦戦を強いられることに……

奴隷解放宣言で知られるリンカーン大統領が実はヴァンパイア・ハンターだった!という衝撃的な設定も、上記のようなストーリーだとごく自然に感じられますよね?……ね? こういう伝奇作品が歴史大作のふりをして堂々と上映されてしまうということは、荒山徹の小説の映画化も意外とイケるんちゃう?と思ってしまったのですが……

しかしこの映画の上映時によりによってスビルバーグ監督の『リンカーン』(こちらはたぶん真面目な歴史感動巨編) の予告編が流れたのは、悪い冗談であるとしか思えません(^^;)
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