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博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『宮』その5 未来人との邂逅

2011年10月25日 | 中国歴史ドラマ
『宮』第24~27話まで見ました。

僖嬪は康熙帝の寵愛をつなぎ止めるために偽装妊娠をはかりますが、いよいよ本当に子供が産まれないとまずいという所まで追い詰められ、宮廷内をうろついていた衣服の御用商人で晴川とも旧知の顧小春をムリヤリ種馬にし、見事懐妊に成功。で、邪魔者となった小春に窃盗の罪をなすりつけて処刑させようとしますが、小春の危機を知った晴川が替わりに罪をかぶり、宮女からの身分に落とされます。

その後も小春の不幸は続き、晴川と仲がいいということでとばっちりを受け、良妃の手先に家を放火されたり、重病となった母の薬代をまかなうために晴川から宮廷内の物資を横流ししてもらおうと思ったら、八阿哥に阻止されてそのまま母が病死してしまったりと散々な目に……

で、小春は母の仇である八阿哥を倒すために素言の弟子となることに…… そう、前回晴川の目の前で自害したはずの素言は、実は小春に救われて一命を取り留めていたのです!その小春ですが、これまた「その3」で登場した年羮堯が殺害される現場にうっかり出くわしてしまい、そのまま彼とすり替わって年羮堯のふりをし、将軍として宮廷に出入りすることになります。そして素言の計らいにより四阿哥に接近。

一方、晴川をこころよく思っていなかった良妃ですが、八阿哥の晴川への思いが厚いのを知ると、彼女を手元に引き取ることにしますが、ここから花嫁修業と称して良妃の強烈ないびりが始まります(^^;) しかしここで晴川は良妃が夜な夜な怪しげな儀式を行っていることを目撃してしまいます。そう、実は良妃は晴川と同じく21世紀の世界からやって来たタイムトラベラーなのでありました!晴川はこれにより、八阿哥を自分とともに現代へとタイムスリップさせ、将来訪れるはずの破滅の運命から救うというアイデアを思いつきます。

その頃、僖嬪は怪しげな薬を服用して女児を早産し、妊娠期間の帳尻を合わせることに成功しますが、薬の副作用により髪が抜け落ちてしまったので、腹心の宦官に夜な夜な宮女を襲わせて髪を切らせ、その髪でカツラを作らせて取り繕うことに。で、良妃の怪しげな儀式を目撃してしまった徳妃と康熙帝は彼女が犯人だと思い込んで良妃の処罰を決意。

晴川は良妃の疑いを晴らすために奮闘し、僖嬪の仕業であることが明るみに出ます。そしてこの件がきっかけとなって良妃は晴川に心を開き、お互いに自分が未来人であることを告白。

ということで、今回も超絶展開が炸裂です(^^;) 終盤に近づけば近づくほど話の密度が濃くなるとはどいうことかっ!w
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『日本政治思想史[十七~十九世紀]』

2011年10月22日 | 日本史書籍
渡辺浩『日本政治思想史[十七~十九世紀]』(東京大学出版会、2010年)

江戸時代から明治にかけての日本の政治思想史をまとめた本ですが、著者の専攻が中国思想史の方面にも関わっているということで、類書とはかなり趣の違った内容になっており、なかな面白い指摘が多いです。例えば科挙制度導入の可能性がない江戸時代の日本で儒学が広まるのは実は危険なことだったとか、中国で「公用」とは、誰でも使える、誰もが使うという意味であるとか…… 以下、例によって面白いトピックを挙げておきます。

日本人と儒学
江戸時代の儒学者は、日本では儒学の「聖人の道」が広まっていないにも関わらず、どうして天下太平を保っているのかということについて真剣に思い悩んでいた。それに対する服部南郭の結論は……「それは……日本人が中国人より優れているからなんだよっ!」「な、なんだってーーーー!!」

黙ってても年貢が入ってくるのってやっぱり異常じゃね?
そして本書でも農民がどうして従順に年貢を納め続けたのかが問題に。(この項については「黙ってても年貢が入ってくるのって異常じゃね?」を参照。)著者の推測によると、おそらく農民自身が過酷な処罰を恐れていたから、あるいはは百姓とはそういうものだと信じていたから。……やっぱり怖い人にボコボコにされるから、もしくは昔からの習慣なので何となくということじゃないかっ!w 

日本は小国か?
18世紀の日本は3000万を越える人口を擁しており、世界的には巨大であると言える。にも関わらず自らを小国と見なしていたのは、大国としての比較の対象がカラと天竺だったからである。

このあたりの根拠のない小国意識は今でも変わりませんね。考えてみれば人口1億人を越える国家や、日本より人口の多い国家が世界でどれだけあるというんでしょうか。いわゆる先進国に限っても、西欧諸国など日本より人口が少ない国が多数を占めるんじゃないかと思うのですが。にも関わらず、今の日本が何となく小国であるというイメージが流布しているのは、比較対象がアメリカ・中国・ロシアあたりに限定されているからじゃないかなあと。

蘭学者と「支那」
学ぶ対象を「中華」から西洋に切り替えた蘭学者たちは、もはや大陸のことを「中華」、すなわち世界の中心とは呼べなくなり、オランダ語からインド由来の「支那」という呼び方を取り入れた。これは同時期に使われ始めた「皇国」という自称と対をなした。

これは前に読んだ『江戸の思想史』でも同様のことが指摘されていましたが、蘭学のダークサイドを見てしまった気分になります……

幕末の尊王攘夷と現代中国の反日
明治維新は当時の社会にあって最も鬱屈を抱えていた下級武士による革命だった。で、彼らが信奉した尊王攘夷の思想だが、これは西洋人や西洋文明に対する反発というよりも、当時の政府(すなわち江戸幕府)に対する抗議の表明であり、彼らは政府を苦しめ、打倒するための手段として攘夷思想を利用した。

この構図って、現代中国における反日と似てますよね。反日暴動も政府や官憲に対する不満の表明、あるいは嫌がらせとしての側面が見られますし。自らの存在意義にも関わる問題なので政府が表立って反日を否定できないというのも、江戸幕府と攘夷思想との関係に似てるなあと。

以下は本書401~402頁からの引用。「『ご威光』でいかめしく輝いていた『幕府』を『尊王』を掲げて罵れば、溜飲が下がったであろう。『攘夷』のできない臆病で『不忠』な『幕吏』を脅迫し、『天誅』を下すのは、快感だっただろう。『公論』に従えと叫んで、家中の『門閥』をやりこめ、さらには『藩主』までをも操作するのは、小気味よかったことであろう。『志士』たちの居丈高な姿勢と往々サディスティックな暴力の背後には、ルサンチマンと『正義』の結合があったのであろう。」

読んでて何だか泣けてきた(;´д⊂) 尊王攘夷派の志士だけでなく、新選組の隊士たちの心性もこれと似たり寄ったりだったのだろうなと。
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『宮』その4

2011年10月20日 | 中国歴史ドラマ
『宮』第18~23話まで見ました。

皇太子の二阿哥は四阿哥の生母徳妃の画策により、かつての部下の軍人たちとともに康熙帝の居所を襲撃しますが、事前に謀反の情報を察知していた八阿哥によって鎮圧され、再び皇太子の位を剥奪されたうえに宗人府に幽閉されてしまいます。徳妃の行動は自分の産んだ四阿哥・十四阿哥を後継者の地位に近づけることを謀ったものですが、土壇場で自分の体に矢を突き刺して二阿哥に襲われたふりをするなど、この母にしてこの子ありを体現してますね(^^;)

一方、晴川は色々あって康熙帝の侍女に復帰。彼女と互いの気持ちを確かめ合った四阿哥は、晴川との結婚(と、現在の妻金枝との離婚)を決意。ここで晴川への愛に目覚めた四阿哥が「オレは今まで皇位を争うために生きてきたが、これからはオレ自身のために生きるんだ(キリッ」とか言い出すあたり、この人はひどい厨二病なのではないかという気がしてきます……

しかし四阿哥と晴川との仲を知った素言は激しく動揺。彼女は晴川の同僚であり親友でもありましたが、実は四阿哥に惚れ込んで彼のために宮廷内での密偵を務めていたのでした。思い余った彼女は、四阿哥がかつて八阿哥に与する存在して晴川の殺害を謀っていたと暴露し、そのまま自害。衝撃を受けた晴川は四阿哥への思いが一気に覚めてしまい、「こんな冷酷な人が次の皇帝になるなんて許せない!」と、八阿哥を助けて皇位に就ける決意を固め、歴史の改変に挑むことに。

で、晴川は八阿哥のために血滴子(空とぶギロチン)を作らせたり、明朝の末裔を称する朱三太子の追跡に協力したりします。血滴子は元々雍正年間を舞台にした小説や映画などでネタにされていた武器ですが、このドラマでも出て来るとは思いませんでした(^^;) 朱三太子も『康熙王朝』など清朝物のエンタメ作品でお馴染みのネタですね。

ここで四阿哥は唯一の心の友十三阿哥を助っ人として宮廷に呼び寄せますが、この十三阿哥が色々と姑息な手を使って僖嬪と八阿哥・晴川を離間させたり、晴川を罠に掛けて四阿哥と坤寧宮で密会させたり、兄に劣らず汚いなさすがの人なのでありました!w 八阿哥の生母良妃も十三阿哥の画策により晴川に悪い印象を持つようになり、晴川と引き離すために八阿哥とモンゴルの凝香格格との縁談をまとめようとしますが……

ということで、トンデモ展開が楽しすぎて最早どこからツッコんでいいかわかりません(^^;)
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『世界史をつくった最強の三〇〇人』

2011年10月16日 | 世界史書籍
小前亮『世界史をつくった最強の三〇〇人』(星海社新書)

中国史物を中心に歴史小説を発表されている小前亮氏による世界史人物伝です。新書のページ数でどうやって300人も紹介するのかと思ったら、1人につき1ネタを紹介というスタイルなんですね。クフ王から始まってヒトラーで締めていますが、割と時代・洋の東西偏らずバランス良く紹介されています。人物の選定基準は教科書に載ってるような人+著者が小説の題材にしたい人物(もしくは過去に題材にした人物)ということですが、ビザンツ帝国の人物が割と多く拾われているのは著者の趣味でしょうか。

本書では人物ごとにそれぞれキャッチフレーズがつけられているのですが、竹林の七賢の1人嵆康のフレーズが「働け!」だったり、耶律楚材のフレーズが「嘘・大げさ・まぎらわしい」だったり(これは杉山正明氏の評伝『耶律楚材とその時代』の内容を反映したものでしょう。)なかなか気の利いたものが多いです。もっとも、私が嵆康と同じ時代の貴族に生まれていたとしたら、やっぱり「清談が楽しすぎて生きるのが辛いw」とか言いながら同じようにニート生活を送ってたと思いますが。 

そして本文のネタ部分。足利義満の項で「『一休さん』の将軍様だが、小僧の知恵でどうにかできる人物ではない。」なんて書いてますが、あれは子供のやることにまともに取り合っている将軍様が実は偉いというアニメだと思うのですが(^^;)
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『宮』その3

2011年10月12日 | 中国歴史ドラマ
『宮』第12~17話まで見ました。

晴川に真剣に恋をしている八阿哥と、晴川を福の神と信じている二阿哥との間で、晴川をめぐって深刻な対立が発生。徳妃(四阿哥の生母で、二阿哥と八阿哥の母親替わりでもある)に諭された晴川は亡くなったばかりの太妃の墓守に志願し、二阿哥と八阿哥との双方から身を引いて二人の対立を収めることに。

ということで太廟の女官として仕えることになった晴川でしたが、太廟は紫禁城の後宮より更に過酷な女の世界だった!太廟に一歩足を踏み入れた途端に宮女の首吊り死体が出て来てワロタw このドラマ、こういう演出がムダにうまいんですよね(^^;) で、「こんな所にいたら身が持たない!」とばかりに仲間の宮女とともに太廟の警備隊長を人質に取って脱出する晴川ですが、この警備隊長こそが後年ジュンガル平定の主将、雍正帝の功臣となる年羹堯なのでありました!……こんな適当な扱いでいいのだろうかw

一方、四阿哥は二阿哥に皇帝のみが着用できる龍袍を着させたり、南方で震災が発生すると、二阿哥の発案ということにして重臣たちから振恤のための多額の募金を巻き上げさせて重臣たちの不満を募らせようと、二阿哥を陥れるために色々と姑息な陰謀を仕掛けますが、龍袍の件は母親の徳妃に知られてしまい、募金の件は四阿哥が二阿哥に入れ知恵したとバレてしまい、四阿哥自身が重臣たちの総スカンを喰らうハメに。しかもその隙を突いて八阿哥が重臣たちの心をつかんで一気に後継者の座へと近づいてしまい、四阿哥がかなり涙目状態に…… 晴川が側にいたら「二阿哥は放っておいても勝手に自滅するから、下手に手を出さない方がいいよ」と的確なアドバイスをしてくれたはずなんですがw

で、四阿哥が街中で重臣たちの放った刺客に襲われた所を、太廟から脱出してきた晴川が身を以てかばいます。四阿哥は晴川を宿に預けて傷の療養をさせますが、夫が外で女を囲っていると勘違いした金枝が晴川を簀巻きにして川に流させてしまいます。そこを妓楼の女将に拾われて一命を取り留めた晴川は、花魁たちのプロデューサーとして手腕をふるうことに。

四阿哥の方は妻の金枝の身元が八阿哥に知られてしまい、更に大ピンチに陥りますが、(金枝は重臣の隆科多の隠し子ですが、別の家臣の娘ということにして四阿哥が嫁に取った。)四阿哥は事が公になる前に、たまたま屋根の上に登って下りられなくなっていた十九阿哥を助けるふりをしてわざと自分の足の骨を折り、療養と称して一切の公職から退きます。……汚いなさすがというか、一体どんな展開やねん!!(^^;)

その後、四阿哥は街中で晴川を見掛け、彼女のいる妓楼に入り浸るようになりますが…… ということで、超絶展開の連発にもうお腹がいっぱいです……
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『宮』その2

2011年10月04日 | 中国歴史ドラマ
『宮』第6~11話まで見ました。

八阿哥と四阿哥との間で心が揺れる晴川ですが、そこへ旧知の服屋の若主人顧小春も絡んできてますますややこしい事態に。そして康熙帝は皇子たちの後継者としての力量を計るために南苑で狩猟を催しますが、そこでも恋の鞘当てが繰り広げられます。……あんたら一体何やってんすか(^^;) 展開がどうにも少女漫画チックですなあ>

八阿哥の晴川への気持ちを知った僖嬪は、2人の仲を取り持つことで八阿哥と結びつきを強め、康熙帝にも後継者候補として八阿哥をプッシュ。一方、康熙帝が廃太子の二阿哥に未練があると察知した四阿哥は、二阿哥の赦免を上奏。この四阿哥のプッシュもあって二阿哥は晴れて太子の地位に復帰を果たします。しかし晴川が自分にとっての福の神と信じている二阿哥は宮中で彼女の姿を見掛けるたびに大騒ぎし、不審に思った康熙帝は晴川を妖女として火刑に処すことに。まあ、未来人も言ってみれば妖怪みたいなもんですしね。

八阿哥は晴川を助けようとして刑場へと乗り込みますが、それが父帝にバレて今度は自分が罪人として宗人府に軟禁されてしまいます。晴川はことまず罪を赦されますが、妖女かどうか自らこの目で確かめるということで、乾清宮の宮女として康熙帝に仕えることになります。

しかし八阿哥は軟禁後も態度が改まらずに賭け事をしていることが明るみに出て、康熙帝は八阿哥の処刑を決意。晴川は八阿哥の生母で、現在は承乾宮で幽閉同然の生活を送っている良妃に助けを求めますが……

ということでこのドラマ、まったく次から次へといろんな展開を繰り出してくるもんだなと毎回感心しながら見てます。今回も晴川が康熙帝のために足裏マッサージや車椅子を披露したりとトンデモ展開が続出です(^^;)
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