博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『十月囲城』その7

2014年09月27日 | 中国近現代ドラマ
『十月囲城』第37~42話まで見ました。

重甲は李府で持てあまされ気味の叔父玉庵を妓楼で豪遊させ、それとなく重光の正体が阿四であることを悟らせます。そして玉庵は遊興費の使い込みを阿四に批判されると、腹いせに李府の人間が集う場で重光が替え玉であるとぶちまけます。が、一家の人間で知らなかったのは侍女・下男を除けば老太太・重甲の母親・重光の義母(李玉堂の後妻)だけなのですが(^^;) そこで舒雲が阿四の子供を懐妊したと偽り、玉庵に「お腹の子の父親がどこの馬の骨とも知れない人力車引きとでも言うの!?」と脅しつけ、老太太も阿四を庇って玉庵から証拠となる阿四の写真を奪い取り、取り敢えず一件落着……?です。

しかし重甲はなおも阿四追い落としを諦めず、玉庵を唆して阿純を誘拐させ、阿純の解放と引き替えに老太太に替え玉であることを自白するよう脅迫。半狂乱になる阿四ですが、事件を知った老太太が黒幕と睨む重甲を呼び出して説教。かわりに飴と鞭というわけか、かねてから重甲と相思相愛だった侍女夏荷との結婚を認めます。無事救出された阿純ですが、舒雲の妊娠を知って傷ついており、妊娠が嘘だと知らされても阿四まで騙されていたのは身に覚えがあるからだということで、(実際は阿四と舒雲が酔っ払って寝て翌朝目が覚めたら、阿四だけ裸になっていたので、行為があったと思い込んでいたというだけの話なのですが……)阿純は阿四のもとを離れて看護婦の道を選ぶことに。

そして玉庵と弟重甲の動きを懸念する念慈は大房(重甲一家)・二房(重光一家)・三房(玉庵)の分家を老太太に提案。しかし分家決定を告げられると、今度は重甲・玉庵は仲直りと称して阿四を宴席に招き、毒殺を謀ります。立ち聞きで毒殺の陰謀を知ってしまった夏荷は悩みながらも老太太に密告。阿四が毒杯を仰ぐ寸前に老太太が夏荷らを従えて宴席にやって来て毒殺を阻止。重甲はその場でうまく立ち回って自分は重光を助けようとしたとひとまず老太太に信じ込ませ、玉庵一人が悪者にされてしまっていますがw

その後老太太の命で玉庵が李府に出入り禁止となり、重甲も夏荷と結婚して李府を出ることになりますが、そんな最中に老太太が昏倒し、死期を悟った彼女は阿四を寝室に呼び寄せ、彼が替え玉であることを察知していたと告白されます。やっぱりお婆ちゃんにはわかっていたんですな…… 

老太太の葬儀後に玉庵・念慈・重甲への財産分与が行われますが、その重甲、区肇新の深謀遠慮により製造局の総裁補佐として阿四を補佐することになり……
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『十月囲城』その6

2014年09月20日 | 中国近現代ドラマ
『十月囲城』第31~36話まで見ました。

製造局の第2回株主総会で株主たちから出資金をせしめてから、革命党の一味ということで李父子の摘発に取りかかるつもりだった鉄山。しかし李玉堂は区肇新と示し合わせ、製造局が官府の役人への接待費によって大赤字を抱えていると告発し、経営責任を香港に逃亡した重光(阿四)に押っつけ、株主たちに暗にこれまでの出資金の払い戻しを促し、議場は大混乱に。そこへ李玉堂を見捨てて自分だけ逃げられないと、香港行きの船から戻って来た阿四が登場。李玉堂と区肇新の秘策が水の泡に……

鉄山はこれを奇貨として総会を一旦中断させ、李玉堂に秦少白逃亡の罪をすべて阿四に押っつけて大人しく製造局の運営を続ければ、阿四は革命党の一味として処刑されることになるが、李玉堂は見逃してやる、逆に取り引きに応じなければ自分が死ぬことになるぞと取り引きを持ちかけます。が、総会が再会されると李玉堂は鉄山の手に乗らず、自分が秦少白を逃亡させたと株主や官府の人間の面前で明言し、隠し持っていた短刀で自害。


鉄山と密談中の李玉堂さん。重光=阿四は所詮アカの他人なんだから見捨ててしまえと唆されますが……

事の成り行きにさすがに驚きを隠せない鉄山ですが、なおも阿四を捕らえようとしたところ、株主たちは鉄山の李父子への仕打ちに激怒。議場に入ってきた鉄山の配下の兵士たちと一触即発の事態に。裏で総会の進行を見守っていた区肇新も阿四を守ろうとして鉄山と口論に。結局広州総督が間に入って阿四の身柄を保護することとなり、製造局の施設も総督の一時預かりとなります。

そして阿四の釈放と遺体の送還を待って李玉堂の葬儀が執り行われます。この時に区肇新から阿四に対して暗に替え玉の件を察知していると臭わせ、「仮作真時、真亦仮」(偽物が本物となる時、本物もまた偽物となる。『紅楼夢』からの引用)という言葉を授けます。その後にヌケヌケと弔問にやって来た鉄山から「お前の正体は阿四だとわかっておるぞ?大人しく香港に帰って車引きに戻れ」と脅しをかけられると、その区肇新から授けられた言葉をそっくりそのまま引用して言い返しております。阿四哥、やっぱり度胸と機知が備わってますなw しかし阿四の正体を知らないのは、もう老太太・重甲の母・李玉堂の後妻(重光の義母)ぐらいしかいないんじゃ……

更に鉄山から李家が所有する製造局の株を原価の2割で買い取り、製造局を完全に官営にしたいというお達しが届くと、老太太から「この際だから株を全部手放してしまい、お前は舒雲とともに留学先のイギリスに戻りなさい」と諭され、一時はその気になる阿四ですが、カナダに亡命中の孫文から生前の李玉堂に宛てた手紙が届いたのを機に李玉堂の意志を継ぐ覚悟を決め、寸手の所で株の売却を拒否。株主たちから改めて製造局の総裁に選ばれます。かわりにとばっちりで重甲が鉄山から製造局代表の座を取り上げられることに(^^;)

そこへ突然李玉堂の三弟玉庵が李府に帰還。遊び人の玉庵は財産目当てで李府の当主の座に納まろうとしますが、思いがけず重甲の支持により阿四が新当主となることに…… ここで老太太が玉庵・重甲・阿四に「お前の姓は何だ?」と問いかけ、内心老太太にも替え玉の一件がバレてるんじゃないかと焦る阿四ですが、十中八九バレてると思いますw
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『十月囲城』その5

2014年09月12日 | 中国近現代ドラマ
『十月囲城』第25~30話まで見ました。

区舒雲は好意で阿純を重光(阿四)の第二夫人として迎えようとしますが、それが2人の心を傷つける結果となり、阿純は李府を出て念慈の支援で看護婦の勉強をすることに。舒雲はガサツ系というか無神経系のヒロインですな…… その念慈がボランティアをしている教会の孤児院に、なぜか貿易商に扮した鉄山が来訪。革命党のテロの巻き添えになって殺された亡き妻との間の子を預けているということですが、なぜ正体を隠す必要があるのか(^^;)

そして李玉堂は重光と舒雲の結婚式の後に鉄山に拘禁された一件以来、本格的に革命党の活動に肩入れを開始。秦少白と制造局で生産した銃弾を革命党に横流ししようと密談。舒雲も秦少白と会いたさのあまり阿四の金庫から銃弾の設計図を奪い、秦少白に手渡そうとしますが、制造局の動向を監視していた鉄山たちに追われることとなり、革命党と関わったということで舒雲と、彼女を助けようとした阿四を拘束。秦少白はと言えば鉄山より一足先に区肇新の手の者が捕縛。病的に手回しがいいですなw 秦から娘が渡した銃弾の設計図を応酬したりと、娘が関わったという証拠の隠滅をはかります。

で、結局区肇新と鉄山が共同で秦少白を拷問のうえ審問。釈放された阿四と舒雲はあれこれ手を尽くして秦の救出をはかります。最終的に阿四が区肇新に頼み込んで牢内の秦と接見し、妻の舒雲と密会した怨みを晴らすということで手ずから毒酒を飲ませると見せかけて仮死薬を飲ませ、遺体の埋葬にも付き添って秦の身柄を応酬、舒雲とともに秦を蘇生させて逃亡させようとしますが、事態を察知した鉄山が追っ手を派遣。結局秦少白は追っ手の一員である李重甲によって捕らえられますが、どういうわけか一旦は捕縛したものの護送中に秦を逃します。

阿四は李府に戻ったところを、今に官憲が捜索に踏み込んでくるということで、李玉堂の勧めで阿純とともに香港に逃亡することに。そして重甲は阿四の逃亡を鉄山に密告しております。こいつは革命に関与したいのか、叔父の李玉堂と重光=阿四を追い落としたいのか、一体何がしたいのかよくわかりませんな(-_-;)

一方、区肇新は重光が替え玉であることを察しながらも李家を助けることを決意。李玉堂に秘策(らしきもの)を授けますが…… ということで全60話中のちょうど半分までたどり着きましたが、展開的にはややダレ気味です……
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『十月囲城』その4

2014年09月04日 | 中国近現代ドラマ
『十月囲城』第19~24話まで見ました。

華南制造局の総裁はできれば亡兄の子李重甲が良いと考える李玉堂ですが、重甲が鉄山に接近しているのに不安を覚える上に、老太太からも「夢であの子の父親が重甲を総裁にしないようにと懇願した」とダメ出し。結局重光すなわち阿四を総裁として推すことに。重甲に関しては日頃の行いからm9(^Д^)という感想しか浮かんでこないわけですがw

さて、重光の正体を暴こうと画策する重甲は阿純の存在を突き止め、自動車で重光を連れ出して暴漢に阿純を襲わせ、反応を様子見。幸い入院先の病院のスタッフによって救出されたものの、阿純にまで鉄山・重甲側の魔の手が及んだということで、このまま替え玉を続けることに不安を感じる阿四。一方、区舒雲も恋人の秦少白から阿四と意に染まぬ仮面夫婦の関係をこのまま継続しろと言われて不満顔。阿四と喧嘩になって離縁をちらつかせたりして荒れまくります。秦少白って誠実そうな顔をしながら女を騙すタイプですよね…… この場面で阿四が舒雲のことをそのお転婆ぶりから扈三娘と呼んだりしてますが、舒雲を演じる劉小小(劉筱筱)は、同じ鞠覚亮監督の新版『水滸伝』で扈三娘を演じています(^^;)

その舒雲も阿純に対する阿四の思いの深さを知って態度を軟化。阿純を入院先から連れ出して阿四と三人で李府を脱出する計画を立てます。李玉堂は鉄山・重甲らへの用心に加えてそういう事態も見越して阿純の入院先を定期的に変更していたのですが、何とか阿純の入院先を突き止めて脱出を決行という土壇場になって、阿四が李玉堂への恩義や死んだ重光への思いによって躊躇し、計画はおじゃんに。

舒雲は土壇場で裏切った阿四への復讐のため、阿純を自分の従姉妹ということにして勝手に李府に連れ帰ります。自分が李重光の替え玉で舒雲と夫婦ということになっているという事実を知らない阿純をどう誤魔化そうかと困り果てる阿四。幸い阿純はまだ手術後の抜糸が済んでおらず目が見えないので、阿四は喉が潰れて声が出ないということにして乗り切ろうとますが、阿純の存在を不審に思った重光の母の横槍により阿純は阿四と舒雲の関係を知ってしまい、ショックを受けます……

阿純との関係を修復できないまま華南制造局総裁の選任式の日が来てしまい、関係者の投票によって予定通り総裁に選出された阿四は、不安な面持ちのまま就任演説に臨みます。元々文字が読めず学問が無いうえに、阿純の一件で李玉堂が作った演説の原稿も頭に入らない……はずでしたが、本番では抜群の記憶力と演技力を駆使して『大学』からの引用を踏まえた長時間の演説を披露し、聴衆は拍手喝采。李府に来てから阿四哥は見事な実はやれば出来る子っぷりを発揮してますね。そして抜糸が済んで視力を取り戻した阿純も舒雲から事の次第を説明され、現在の阿四の境遇を受け入れます。

一方、重甲と鉄山は重光の正体が人力車引きの阿四であることを突き止めます。重甲は叔父の李玉堂に重光の正体を知りつつも李家のために阿四を支えていくと約束しますが、どういう伝手によったのか広州総督から制造局の官府側の代表に任命されます。ということで重甲の動向に猛烈にイヤな予感を感じながら次回に続きます(^^;)
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2014年8月に読んだ本

2014年09月01日 | 読書メーター
中国地名カタカナ表記の研究―教科書・地図帳・そして国語審議会 (中京大学文化科学叢書)中国地名カタカナ表記の研究―教科書・地図帳・そして国語審議会 (中京大学文化科学叢書)感想
明木茂夫氏と言えば、これまで論文や小冊子の形で地理の授業で使う地図帳などに出てくる中国地名のカタカナ表記(天津→テンチン、珠江→チュー川の類)の問題点やそのルーツについて研究されてたが、本書はその集大成。カタカナ表記が戦前の日本語表記漢字廃止論(カタカナあるいはローマ字での日本語表記を推進する動き)の影響を受けていると見られることや、日本語での読み方しか知らないと欧米言語での会話に出てくる中国の人名・地名に対応できないことが外交官を中心に戦前から既に問題視されていたことなど、興味深いトピックが多い。
読了日:8月7日 著者:明木茂夫

近世1 (岩波講座 日本歴史 第10巻)近世1 (岩波講座 日本歴史 第10巻)感想
冒頭の「近世史への招待」によると、近現代巻の始まりをペリー来航に合わせなかったのは、18世紀末には既に為政者の間でウェスタンインパクトが意識されていたからという。「織田政権論」では、織田信長が後に秀吉が行ったような大陸征服構想を抱いており、「中華皇帝」的な存在を目指していたとする。「キリシタンと統一政権」では、17世紀初頭に至っても為政者がキリスト教を南蛮渡来の仏教の一派と見なされており、一向宗のようにキリシタン勢力が団結によって政権を脅かす可能性があったことが禁教の背景にあるとする。
読了日:8月13日 著者:藤井讓治,堀新,中野等,李啓煌,牧原成征,岡美穂子,福田千鶴,伊藤毅,横田冬彦

竹簡学―中国古代思想の探求―竹簡学―中国古代思想の探求―感想
大仰なタイトルが付いていますが、要するに新出の戦国秦漢簡に関する同氏の論文集。『銀雀山漢墓竹簡[貳]』はスルーしていたんですが、[壹]で『孫臏兵法』の一篇と見なされていたものが[貳]で別の書(「論政論兵之類」)の篇として分類し直されたりしているんですね。しかし失礼ながら、最後の『楚地出土戦国簡冊[十四種]』の書評は、書評と言うより単なる紹介ではないかと思いますが…
読了日:8月18日 著者:湯浅邦弘

山県有朋―愚直な権力者の生涯 (文春新書)山県有朋―愚直な権力者の生涯 (文春新書)感想
桂太郎・寺内正毅については山県有朋の忠実な子分という程度の認識しか無かったが、本書によると山県とこの両人との間に確執があった模様。晩年には敵視していたはずの政党政治家である西園寺公望や原敬を高く評価するようになったとする。ただ、山県の失敗や「老害」ぶりを「愚直」の一言でフォローしようとするのには疑問も感じたが… また日清戦争までは限定的な形ではあるが陸・海軍に対するシビリアン・コントロールがはたらいていたと指摘している。
読了日:8月22日 著者:伊藤之雄

日本史を学ぶための〈古代の暦〉入門日本史を学ぶための〈古代の暦〉入門感想
「日本史を学ぶための」とあるが、太陽暦に関しては古代エジプトやローマの、太陰太陽暦に関しては中国の状況に触れるなど、広く暦や天文に関する入門書となっている。
読了日:8月25日 著者:細井浩志

「反日」中国の文明史 (ちくま新書)「反日」中国の文明史 (ちくま新書)感想
要するに平野氏視点での中国近現代通史。岡本隆司氏の『中国「反日」の源流』など一連の著作と比べると、より時事に即した記述が目立つが、その分底は浅くなっているなという印象。
読了日:8月30日 著者:平野聡

江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)感想
「こぶし腰浮かせ」や「傘かしげ」、はたまた江戸時代版野菜スープの「江戸ソップ」といった個々の江戸しぐさに対するツッコミだけでなく、創始者芝三光やその弟子で江戸しぐさの広報につとめる越川禮子氏の経歴にまで遡って江戸しぐさが作られ、広められた背景について考察している。生前の芝三光や和城伊勢氏が江戸しぐさのマニュアル化を警戒していたということだが、そもそも「江戸しぐさ」というネーミング自体が作法やマニュアルを連想させるものなので、今更一体何を言っているのだという気がするのだが…
読了日:8月31日 著者:原田実
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