博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『トキメキ!弘文学院』その9(完)

2015年02月23日 | 武侠ドラマ
『トキメキ!弘文学院』(原題『犀利仁師』)第39~最終44話まで見ました。

弘文学院再建のために動き出した教員&学生たち。聶文星も協力をしようとしますが、宋文文を密告して学院閉校の片棒を担いだ裏切り者ということでみんなから受け入れてもらえず、唯一事情があることを察した柳傲天が公孫毅打倒を彼に呼びかけます。

で、2人で芝居して聶文星が父親の公孫毅に従順なふりをしたり(ここで聶文星が公孫毅の実子であったことが視聴者に明かされます)、はたまた柳傲天が聶文星と剣を交えて重傷を負わせて敵対するふりをしたりと、あれやこれやと手を尽くして公孫毅に聶文星のことを信用させます。

公孫毅が謀反のために武器の密造を進めているという情報を聶文星より得た柳傲天は、公孫毅の配下が武器を運搬しようとする現場を押さえますが、いざ取り押さえてみると武器の運搬に当たっていたのは雲霏の父親の路不凡でした。聶文星が柳傲天と結託していると百も承知の公孫毅は、敢えてそれに気付かないふりをし、匿名で路不凡に宝箱を運搬するよう破格の報酬で依頼し、宝箱の中には密造した武器を詰めていたという次第。

謀反に関与したということで捕らえられ、処刑が決まる路不凡。そしてこれと前後して父親が柳傲天の父の仇であるという事実を公孫毅より知らされた路雲霏は、柳傲天が父の仇を討つために路不凡を破滅させようとしていると思い込み、父親の免罪と引き替えに柳傲天を討つことに。剣を交える2人ですが、柳傲天との戦いに迷いが隠せない雲霏。そこへ背後から公孫毅が放った暗器が……

【総括】
日本語版DVDも出るということでラストは省略。武侠ドラマ脳の持ち主としては、柳傲天・聶文星・路雲霏の3人のうち最低1人は死なないとウソではないかと思いましたが(^^;)

若曦のニッキー・ウー&劉詩詩カップルによる学園ラブコメ歴史劇ということでさして期待もせず見始めたのですが、目立った破綻もなく(=ツッコミ所がなく)、安心して見られる良作に仕上がってました。女帝武則天の治世(あくまでもそう匂わせているだけで作中には実在の人物は登場せず、唐・周など具体的な王朝名も出てこなかったと思いますが)に、最高学府で男女平等の教育の実現がはかられる一方で、旧勢力側がその妨害をはかり……と、学園物というジャンルと時代背景とがうまく融合している点が評価のポイントです。同じく学園ラブコメ歴史劇ということでやっている大河の『花燃ゆ』がこのクオリティに達することができるのかと不安になってきますが……
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于正版『神雕侠侶』その1 小籠包革命はじまる

2015年02月15日 | 武侠ドラマ
『弘文学院』と平行して、色々不穏な噂が聞こえる于正版『神雕侠侶』を見始めました。今回は第1~3話まで。

古墓をこっそり抜け出して江湖で腕試し中の李莫愁は、早速武林の人士から女魔頭と恐れられるようになります。で、自分を殺す依頼を受けたはずの陸展元と恋仲になりますが、殺戮を厭わない李莫愁に愛想を尽かした陸展元は、うっかり武三通に惚れられて逃亡してきた何沅君との暮らしを望むようになり……

ということで序盤は李莫愁が「赤練仙子」となるまでの過程が描かれます。李莫愁を演じるのは最近古装で出ずっぱりの張馨予。



美人すぎて今後が不安になるレベルですね。『笑傲江湖』の時も思いましたが、于正はヒロインのライバル役を容赦なく美人にしないと死んでしまう病気にでもかかっているのでしょうか?

対するヒロインの小龍女は……



……中国ではこの陳研希演じる小龍女に小籠包という心ないあだ名が付けられたとのことですが、取り敢えず甄志丙が一目惚れしたという展開は説得力が無いなと。

ちなみに陸展元は、『続・宮廷女官若曦』で劉詩詩の元カレを演じていた陳翔です。例によって軽い性格のキャラとなっていますが、この人、こんな役ばっかりやっているのでしょうか……

で、李莫愁に追い詰められた陸展元・何沅君のカップルは一度は一灯大師に救われますが、10年後に再び李莫愁が来襲し……というところで次回へ。

于正作品らしくテンポよく話が進んでいきますが、「李莫愁の莫愁は愁い無しという意味だが、李とは離、すなわち李莫愁は結局は愁いの意味となる」というような、小龍女による意味の無い意味深なナレーションが挿入されたり、何沅君の武功の修得が速すぎるんじゃないだろうか(武三通に点穴を習ってあっという間に修得する……)とか、ツッコミ所の多いのも于正作品らしいなと。こういう底に穴が空きまくったようなドラマも久しぶりだなと(^^;)
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『トキメキ!弘文学院』その8

2015年02月13日 | 武侠ドラマ
『トキメキ!弘文学院』(原題『犀利仁師』)第34~38話まで見ました。

一旦は退学の決意を固め、行く宛てもなく学院から飛び出した宋文文でしたが、范大同らの捜索と説得により復学することに。聶文星も退学を促した自分の誤りを悟り、学院の中で彼女を守る決意をします。

一方、20年前に柳原(柳傲天の父)の任務を失敗させ(重病の先帝のための薬草を運搬中にその薬草を奪われ、結果先帝は病死……)、流罪に追い込んだ実行犯ということで東方婉児に監禁されていた路不凡ですが、彼の黒幕については黙りを決め込みます。しかしそれでも自分のことをバラされるのではないかと不安を覚えた公孫毅は娘の雲霏を人質に取ります。

ここで聶文星が路雲霏の釈放を公孫毅に要求するも、そのかわりに弘文学院を閉校に追い込める口実を探せと命じられ、宋文文が女性であることを教えてしまいます。折角女性にも入学を認めているのに、男性のふりをして入学するのは武則天による男女平等の教育改革を愚弄する行為という理屈ですね。しかしその頃には柳傲天が「悪いのは実行犯ではなく黒幕の公孫毅。過去のことは水に流すべき」と東方婉児を説得し、路不凡を釈放させたうえで2人で雲霏を救出していたのでした。この聶文星のタイミングの悪さと言ったら……(´・ω・`)

そして宋文文が入浴しているところを見てしまったことから、范大同は彼女が女性であることを知ってしまい、「自分が恋した相手は男性ではなく女性だった!」(彼はしばらくこのことで悶々と悩んでおりました)と歓喜したのもつかの間、官兵が学院に突入し、文文が罪人として捕らわれてしまいます。

で、文文の死罪と学院閉校を求める公孫毅と、亡き恋人柳原を擁護した人物の遺児ということで彼女を救おうとする東方婉児との論戦が武則天の面前で繰り広げられますが、結局宋文文は死罪を免れ杖刑百回、弘文学院は閉校との沙汰が下ります。そして宋文文が20回ほど打たれて限界に達したあたりで、師としての監督不行届を名目に柳傲天が替わりに刑を受けることに…… 

柳傲天が漢ぶりを上げる一方で、公孫毅に宋文文を密告した男という情報を流され、聶文星の評価がガタ落ちになっていくのを見るのが辛いw このパートは孫大山の料理に「黯然銷魂飯」(『神雕侠侶』に出てくる必殺技名をパロディにした周星馳の『食神』の更にパロディ)というのが出てきたり、鄭佩佩演じる雲霏の祖母が獅子吼ならぬ獅吼功を披露したりと、お遊び要素もなかなか目を惹かれます。しかし孫大山が料理人の家系というのはあからさまに後付け設定でよろしくないですな(^^;)
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『トキメキ!弘文学院』その7

2015年02月07日 | 武侠ドラマ
『トキメキ!弘文学院』(原題『犀利仁師』)第29~33話まで見ました。

「梁山伯と祝英台」の公演が近づく中、旧勢力の首魁公孫毅の命によって覆面をした路不凡が東方婉児を襲撃するも、柳傲天によって阻まれたうえ、20年前に自分を襲ったのも同じ人物ではないかと東方婉児に感づかれます。このあたり公孫毅がなぜわざわざ足が着くようなことをさせるのか理解に苦しみます。というか公孫毅さんはアホなのではないかという疑惑が…… 旧勢力が武則天に押さえ込まれているのも残念でもなく当然ということなのかもしれません。

そして柳傲天宅の風呂で刀傷の療養している東方婉児を路雲霏に見られてしまいますが、彼女と二人っきりになってキスで何となく誤魔化してしまう柳傲天。強いリア充力を感じます。一方の聶文星は路雲霏への態度なんかを見てると何となくDT臭が漂っていますね。

一方、学院では公演一日前のリハーサル中に、祝英台役の慕容月に嫉妬した劉瑶瑶が彼女を傷つけようと舞台装置を落下させ、彼女をかばった梁山伯役の呉天宝が負傷するなどのトラブルが続発。范大同が天宝の代役となりますが、台詞も碌に出てこない彼に愛想を尽かして公演直前に慕容月が降板。ここで范大同が「僕の祝英台は君じゃない」と心の中で述懐してますが、范大同の心はすっかり小月から離れてしまったようです。

そして急遽祝英台役に抜擢された「大同の祝英台」こと宋文文の好演により、公演は好評のうちに終了。女性なのに男装して学院に潜り込んでる宋文文はリアルで祝英台状態なわけですが、「祝英台は女に戻れたから羨ましい」という彼女の心の声のように、宋文文は今のところ正体を明かせない状態なんですよね…… で、このあたりから柳傲天と聶文星との間に友情が芽ばえはじめ、聶文星の考え方とか性格が少しずつ変わっていきます。

その聶文星、宋文文が罪人の子で女性であることを知ってしまいますが、かつての柳傲天と同じく即刻退学と、性別を偽って入学した罪に問われないよう長安からの逃亡を命じます。実は宋文文の父親は柳傲天の父柳原がかつて罪に問われた時に弁護し、自分も流罪に処されたといういきさつがあったのでした。そして柳原と若い頃の東方婉児が恋仲で、幼少の頃の傲天の母親がわりだった(傲天の母親は出産時に亡くなった模様)という事情も明らかに。路不凡はその柳原が罪に問われたいきさつにも関わっているようですが……?
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2015年1月に読んだ本

2015年02月01日 | 読書メーター
宗主権の世界史―東西アジアの近代と翻訳概念―宗主権の世界史―東西アジアの近代と翻訳概念―感想
宗主権・主権・外交・属国・独立…… 近代のアジア諸国はこれらの概念をどう飲み込んでいったのか。「東方問題」などオスマン帝国での事例が日本を含む東アジア諸地域での先例となっているということで、オスマン帝国の話によって東アジアの話をサンドするという構成。門外漢にとってはオスマン帝国がムスリムの頂点に立つとともに、モンゴルの大ハーン、東ローマ帝国の後継者を体現する存在であり、これらが19世紀以後剥ぎ取られていったという視点が目新しい。
読了日:1月5日 著者:

禹王と日本人―「治水神」がつなぐ東アジア (NHKブックス No.1226)禹王と日本人―「治水神」がつなぐ東アジア (NHKブックス No.1226)感想
日本と中国、そして分量としては少ないが朝鮮半島における禹王伝説の受容史。禹が活躍したとされる「夏」代の話になると途端に話が怪しくなるのは仕方ないのか……
読了日:1月7日 著者:王敏

馬賊 日中戦争史の側面 (中公新書)馬賊 日中戦争史の側面 (中公新書)感想
今回Kindle版で読み返してみて、日露戦争のあたりから注目され始めた馬賊が日中戦争の頃には既に日本側にとって用済みとなりつつあり、歴史的な役割を終えつつあったということで、その活躍期間は案外短いと感じた。本書で何度か出てくる「御用馬賊」という言い方には笑ってしまったが。
読了日:1月9日 著者:渡辺龍策

族群―現代台湾のエスニック・イマジネーション (台湾学術文化研究叢書)族群―現代台湾のエスニック・イマジネーション (台湾学術文化研究叢書)感想
閩南人・外省人・客家人・原住民という台湾の四大族群がどのように形成されたのか……ではなく、四大族群という認識がどのように形成されたのかという話。こういうのを読むと、日本人である我々が台湾の植民地統治の功罪とか大陸の経済進出への反発といった話題に安易に踏み込むのが躊躇されるようになる。同時に原著者の政治的立場も少々気に掛かるが……
読了日:1月11日 著者:王甫昌

佯狂―古代中国人の処世術 (汲古選書 62)佯狂―古代中国人の処世術 (汲古選書 62)感想
楚狂接輿などを模範に狂人じみた振る舞いによって政治からの韜晦をはかった六朝人の処世と、唐詩などにおける接輿の受容史について。大室幹雄的なアプローチを期待したら当てが外れた。正直これを読むなら井波律子の本でも読んでおいた方がいいです。
読了日:1月14日 著者:矢嶋美都子

日韓歴史認識問題とは何か (叢書・知を究める)日韓歴史認識問題とは何か (叢書・知を究める)感想
日韓歴史認識問題の歩みを当時の日韓の政治的・国際的背景の中で位置づける。従来政治家や専門家の間でしか知られていなかった両国の歴史認識の溝が、ネットの普及によって一般の人々にも知られるようになったこと、両国の相互理解が進んだことが、近年になって日韓関係が急速に悪化した原因のひとつとしているが、そうであるとすれば嫌韓感情の広まりも将来の日韓友好達成のために必要な過程ということになるのかもしれない。過去のように歴史認識問題が両国の政治家間のみのやりとりでなあなあで済まされるよりは健全なのではないか。
読了日:1月18日 著者:木村幹

華族誕生 名誉と体面の明治 (講談社学術文庫)華族誕生 名誉と体面の明治 (講談社学術文庫)感想
華族に関する総論ではなく、叙爵の基準や陞爵をめぐるエピソードに的を絞った論著。総論を期待する向きは中公新書の『華族』を読んだ方がいいだろう。諸侯の叙爵は明治の時点での現高を基準としており、戊辰戦争時に賊軍となった藩主の爵位が低くなったのは、賊軍だったからではなく、賊軍となったことで領土が削減され(=現高が減り)、その結果叙爵の基準に照らし合わせて低い爵位となっただけで特に他意は無いとのことであるが、そういう基準を採用したこと自体に他意を感じるのは私だけだろうか?
読了日:1月20日 著者:浅見雅男

ヒゲのウヰスキー誕生す(新潮文庫)ヒゲのウヰスキー誕生す(新潮文庫)感想
マッサンこと竹鶴政孝氏のスコットランド留学、リタとの出会いからニッカの創業、経営が軌道に乗るまでをコンパクトにまとめる。朝ドラではスルーされている当時の時代背景(ウイスキー国産化計画と大戦景気・戦後恐慌との関係など)もちゃんと触れられているので、副読本としてはお薦め。ドラマでは戦時中の統制経済がニッカの経営にプラスに作用したことなどにちゃんと触れるのだろうか…… そしてニッカ創業後もマッサンこだわりの製品は「爆死」を続け、経営が安定してくるのは戦後に入ってからなんですね。
読了日:1月24日 著者:川又一英

地域論 (岩波講座 日本歴史 第20巻(テーマ巻1))地域論 (岩波講座 日本歴史 第20巻(テーマ巻1))感想
北海道・対馬などの辺境や対外交易に関する論考を収める。「環日本海交通圏」では満州国への海上交通を念頭に「日本海を我らの湖水に」というスローガンが謳われ、それが戦後日本海沿岸の自治体とロシア極東地域との友好につながったことなどに触れる。「近代日本における国籍と戸籍」では最後まで国籍法案が制定できなかったこと、中国人が不法営業や脱税の摘発を受けた際に日本の保護を得るため、中国国籍を保持したまま植民地台湾の戸籍を取る動きがあったことなどに触れる。月報は羽田正氏のグローバルヒストリーに関するものなど。
読了日:1月25日 著者:

殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)感想
甲骨文を主要な史料として殷代の王権のあり方について論じる。内容としては氏の学術書『殷代史研究』を一般書としてトレースしたものになっている。氏のこれまでの一般書の中では最もよくまとまっているが、近年の中国人研究者の成果をあまり重視していない点が気になる。過去には氏の指摘するように伝世文献の記述を重視しすぎているといった問題があったが、近年若手研究者の論著を中心にその問題は改善されつつあり、見るべき研究が多くなっているので……
読了日:1月26日 著者:落合淳思

中国古代の貨幣: お金をめぐる人びとと暮らし (歴史文化ライブラリー)中国古代の貨幣: お金をめぐる人びとと暮らし (歴史文化ライブラリー)感想
タイトルに「貨幣」とあるが、銅銭だけでなく黄金や布帛など貨幣の役割を果たしたものも念頭に置き、また市場など貨幣が使われた場についても論じるといった具合に、中国古代生活史といった趣きとなっている。盛り込まれているトピックも幅広い。個人的には今年最初のお薦め本。
読了日:1月27日 著者:柿沼陽平

ビスマルク - ドイツ帝国を築いた政治外交術 (中公新書)ビスマルク - ドイツ帝国を築いた政治外交術 (中公新書)感想
ビスマルクが政治家として伝統と革新の両面性を具えていたこと、その都度場当たり的な対応で危機を乗り切ってきた「急場しのぎ」の天才であったことを強調する。本書第8章ではあまり知られていない帝国宰相辞任後のビスマルクについて触れているが、良くも悪くも「老害」としか言いようがない存在だなと思った。本書のまえがきに、ビスマルクの異名としてお馴染みの「鉄血宰相」「誠実な仲買人」などとともに「魔法使いの弟子」を挙げているのには笑ってしまったが。
読了日:1月30日 著者:飯田洋介

中国嫁日記(四)中国嫁日記(四)感想
今回の特別編は男性不妊についてということで、いつもより(ついでに本編の反日デモの話より)雰囲気が重いです。
読了日:1月31日 著者:井上純一

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